このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

最新+無料のHyper-V Server 2012 R2に触れてみよう!最終回

初めての仮想化でも大丈夫!な仮想化プラットフォーム入門

物理マシンからの仮想化(P2V)、Azureクラウドへの展開

2014年01月08日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 この連載では、無料で使える最新の仮想化ソフトウェア「Hyper-V Server 2012 R2」について、基本的な使い方から少し進んだ使い方までを紹介していく。初めてHyper-Vに触れるという読者の皆さんにも、できるだけわかりやすくお話していきたい。最終回の今回は、物理マシンを仮想化する「P2V」、仮想マシンのエクスポート/インポート、そして仮想マシンを「Windows Azure」クラウド上へ移し、実行する方法を紹介する。

“P2V”で物理マシンを仮想化の世界へ

 第1回記事で簡単に触れたが、仮想化には「サーバー統合」や「仮想デスクトップ環境(VDI)」といった活用法がある。いずれも、これまで多数の物理マシンとして存在していたものを仮想化し、1台の(または少数の)物理マシン上に集約するのが主な目的となる。

 こうした作業の際、いちいち新しい仮想マシンを作成し、元の環境通りにOSやアプリケーションをセットアップして、大量のユーザーデータをコピーし……といった操作を繰り返すのは現実的ではない(面倒だ)。そこで、物理マシンのディスク(ボリューム)を丸ごと仮想ディスク化して、そのまま仮想環境に移して使おうという発想が生まれた。物理環境から仮想環境に移行するので「P2V(Physical to Virtual)」と呼ばれる。

 話はさかのぼるが、筆者は第2回記事で組み立てた「Intel NUC」にWindows 8.1 Enterprise 評価版をインストールした。これは通常の、仮想マシンではなく物理マシンへのインストールである。今回はこれをHyper-V Server上にP2Vして、動かしてみたい。

P2Vツールの「Disk2vhd」を使えばクリック一発

 P2Vの作業には、マイクロソフトのサイトで無料配布されている「Disk2vhd」ツールを使おう。これは、P2V対象の物理マシン上で実行することで、物理ディスクの内容を簡単にHyper-V用の仮想ハードディスクファイル(VHDファイル)に変換できるWindows向けのツールだ。

○Disk2vhd(Windows Sysinternals)
※本稿は同ツールのVer.1.64を使って執筆したが、執筆後にVer.2.0がリリースされた。操作画面が少しだけ異なる(英文説明ページ)が、基本的な使い方は変わらない。新たにVHDX形式の仮想ディスクも作成できるようになっている。

 Disk2vhdは、Windows XP以降/Windows Server 2003以降のWindows(32ビット/64ビットの両方)で動作する。これらのバージョンから追加された「ボリュームスナップショット機能(VSS)」を使うので、たとえばWindows 2000など、これよりも古い世代のWindowsでは動作しない。

 また、物理マシンが比較的新しい場合も注意が必要だ。最近のPCやサーバーでは、旧来のBIOSに代わって「UEFI(EFI)」と呼ばれる新世代の起動システムを採用している。そして、BIOSではディスクのパーティション情報をMBR形式で記録していたが、UEFIでは「GPT(GUIDパーティションテーブル)」と呼ばれる形式に変わっている。しかし、現行のDisk2vhd(Ver.1.64)はこのGPT形式のパーティション情報を扱えず、P2Vの処理ができないのである(ここはバージョンアップに期待したい……)。

 第2回記事で紹介したとおり、今回筆者がテストマシンに使っているIntel NUCもUEFI(インテルVisual BIOS)ベースのマシンだ。したがって、ふつうにWindows 8.1をインストールすればUEFI/GPTの環境となり、Disk2vhdが使えなくなる。そこで、実はインストール時にUEFIモードではなく、BIOS互換モード(レガシBIOSモードとも呼ぶ)を選択しておいたのだった。こうすればWindows 8.1がBIOS互換/MBR形式でインストールされ、Disk2vhdが使える。

Windows 8.1インストール時の起動メディア選択メニュー。下の2つがインストールDVDに該当するが、後でP2Vするために「UEFI」と書いていないほう(BIOS互換モード)を選択した
インストール後、システムとディスクの情報を確認。BIOSモードは「レガシ」(つまりBIOS互換モード)、パーティション形式は「MBR」となっている

※UEFIモード/BIOS互換モードについての詳細は次の記事を参照してほしい。
○PCが起動しない! そんなときWindows 8ではどうする?
○UEFIモードまたは従来のBIOS互換モードでのPCの起動

 それではDisk2vhdツールでP2Vを実行してみよう。今回のP2V対象であるWindows 8.1上でDisk2vhdのzipファイルをダウンロードし、展開してアプリケーションを実行するとライセンス許諾画面が開く。「Agree(承諾)」をクリックすると、小さな操作画面が開く。

Disk2vhdの操作画面。すべてのボリュームにチェックを入れて「Create」をクリックする。複数のドライブが存在する場合は、ドライブごとにVHDファイルを作成すること

 上の入力欄で保存先とVHDファイルの名前を指定し、VHD化するボリュームのチェックボックスにすべてチェックが入っていることを確認して「Create」をクリックする。操作はこれだけだ。

 変換処理が完了すれば、指定した保存先にVHDファイルができているはずだ。このVHDファイルは前回記事で説明した「容量可変の仮想ハードディスク」なので、容量はかなり小さくなるはずだ。Disk2vhdの実行前に、あらかじめ不要なファイルを削除したり「ディスククリーンアップ」を実行したりしておけば、より効率的に作業ができる。

 P2VしたWindows 8.1のVHDファイルを、ファイル共有などを使ってHyper-V Serverマシンにコピーすれば準備完了だ。ここから先の作業手順は、前回記事でWindows Server 2012 R2評価版のVHDファイルを使ったときと同じである。つまり新しい仮想マシンを作成し、作成したVHDファイルを仮想ディスクとして指定すればよい。

 なお、P2V対象のマシンに固定IPアドレスを割り当てていた場合は、元のマシンと重複しないようOS起動後に変更することを忘れないでほしい。また、仮想マシンに移行したことで(仮想的な)ハードウェア構成が変わるため、Windowsのライセンス認証が求められる場合がある。

P2VしたWindows 8.1は問題なく起動した

 以上、Disk2vhdツールを使って簡単にP2Vする方法を紹介した。

 現状では、すでにUEFI/GPT環境でインストールしてしまったWindows、あるいはLinuxなどではDisk2vhdが使えない。この場合はディスクバックアップツールなどを使い、いったんボリュームの内容を吸い出し、新たに用意した仮想マシン(新しい仮想ディスク)上に書き戻すといった手順になるだろう。それなりに複雑で手間もかかる作業なので、ここでは割愛させていただく。

(→次ページ、Hyper-V仮想マシンのエクスポートとインポート)

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

この連載の記事
ピックアップ