SoftLayerの特徴の一つは、各所のデータセンターとネットワーク拠点とを10Gbpsの専用ネットワークで結び、データ・スループットの高速性を担保している点だ。しかもSoftLayerの利用者ならば、ネットワークの使用料は取られない。ゆえに、「ネットワークの流量が増えたことで、予想以上にサービス・コストがかさむ」といった心配もない。「その点で、アマゾンのAWSよりも経済性に優れると評価する声も少なくない」と、IBMの担当者は言う。
さらにSoftLayerでは、マルチテナント型の仮想マシンのみならず、占有型の物理サーバーもサービスとして提供される。単なるサーバーのホスティングサービスと言えるが、SoftLayerの場合、使用する物理サーバの仕様をCPUのレベルから選択/決定でき、かつ、「数時間でそのセットアップが完了する」(IBM担当者)。この辺りの自由度の高さ/スピード感は、旧来のホスティングサービスとは一線を画すものだ。
「クラウドインフラのキモは、立ち上げたいサービスを、柔軟に、すばやく立ち上げられるかどうか。そう考えれば、マルチテナントモデルや仮想マシンだけに固執する必要はなく、使う側が必要なリソースを迅速に調達できることのほうが大切。逆に、マルチテナントモデルや仮想マシンへのこだわりが、クラウド化の対象範囲を狭めてしまうおそれもある。SoftLayerの考え方は、そうしたクラウド化の壁を排除することにある。もちろん、SoftLayerのインフラは、プライベートクラウドやハイブリッドクラウドの基盤として用いることも可能だ」(IBM担当者)。
IBMでは、「Smarter Cloud」のコンセプトの下、コンサルティングやサービス構築などを絡ませながら、SoftLayerの普及を推し進めていく考えだ。すでにSoftLayerのサービスは日本での提供が開始されており、新たなオンラインサービスやモバイルを含む各種アプリケーションの開発/配信基盤として普及を図るとしている。また、国内では、「IBMがこれまでリーチできなかったような中小の会社やスタートアップ企業にも使ってもらいたい」と、IBM担当者は付け加える。
さらにSoftLayerのサービスは、パフォーマンスの良さもひとつの売りとしており、ビッグデータ処理やシミュレーションなど、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の環境としても有効と、IBMは主張している。
2013年1月23日(木曜日)開催のアスキークラウド イノベーション コンファレンスでは、SoftLayerの国内事例が、そのサービスを実際に活用している当事者から早くも披露され、SoftLayerの使いどころや魅力が具体性を持って語られる。
「SoftLayerは日本でのサービスインからまだ日は浅いものの、すでにビジネスは動き出している。イノベーション コンファレンスでは、その中から特に興味深い活用事例をパートナーに披露していただく。その実際を是非会場で体感いただきたい」(IBM担当者)。