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山谷剛史の「アジアIT小話」 第62回

スマホも案外普及! 農村で見たリアルなインドのIT事情

2013年12月12日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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地方のコンピューター学校は“よろずや”状態

 ガーカという、このあたりの村々の中では中心的な街に行くとIT環境が改善する。街自体は自転車で5分も走れば端から端へ行けそうな小ささだが、村にはなかった食堂や商店も多数ありにぎやかだ。

 携帯電話ショップや家電店があり、その中には「SAMSUNG SmartPhone」の看板がかかったサムスン専門の家電屋もある。

 ちなみに、サムスン印のスマートフォンショップはガーカよりもさらに大きなその地方の中心都市「チャープラ」においてはそこら中で見るようになり、インド人の脳裏に「スマートフォンといえばサムスン」を植え付けているといっていい状況だ(対して街ではソニーのXperiaの広告もあるが非常に少ない)。

 話を戻すとガーカでは、周辺の村々の結婚式に備え、ビデオ撮影&編集代行屋や写真屋もある。

コンピューター学校のひとつ

コンピューター学校のひとつ

小さい部屋を立体的に活用するコンピューター学校

小さい部屋を立体的に活用するコンピューター学校

 さらにその街には4軒のコンピューター学校もあった。私営の職業訓練校で、ほかにも英語学校などがある。インドを旅すれば、コンピューター学校や英語学校の看板はよく見るので、4軒あるガーカもごく標準的な街であろう。

 各コンピューター学校は、タワー型の自作PCが5台程度と先生用のノートPC、各PCにつながったプリンターが1台置かれ「日本の商店街にあるパソコン教室」程度の基礎を教えるのがメイン業務。

 日本円で2万円程度で毎日1時間、半年にわたってPCのスキルを勉強する。周辺の村々から学生が来るので、毎時間さまざまな学生が来てPCの基礎を勉強している。

コンピューター学校ではさまざまなサービスを行なう

コンピューター学校ではさまざまなサービスを行なう

 そのほかにもインターネットカフェとしても利用できるし、ファイルの印刷出力も行なうし、ヒンディー語や英語のタイピング代行も行なうし、PCパーツも販売するし、自作PCも販売する。つまりコンピューターのよろずやなのだ。

 どのコンピューター学校の先生も、話を聞くと皆この街出身の地元民で、人々のスキルをあげて生活をよくしよう、生活環境をよくしようという大義があってコンピューター学校を開いたとのこと。

 その一環で一部のコンピューター学校では、インド海軍の事務作業のアウトソーシング業も斡旋している。コンピューターを学べば何かいい仕事が見つかる、そんな環境を各学校の経営者兼先生は小さなインドの街でも作り出している。

コンピューター学校の先生宅。このギャップ!

コンピューター学校の先生宅。このギャップ!

コンピューター学校の先生宅でも厨房は普通

コンピューター学校の先生宅でも厨房は普通

先生はいいスマホを使ってる!

先生はいいスマホを使ってる!

 20代前半のコンピューター学校の先生宅に呼ばれて行ってみれば、レンガ作りの家の中で、インドメーカーであるVideocon製 47型3Dテレビがあり、DVDプレーヤーがあり、さらに専用3Dグラスも家族4人分所持していた(しかし白物家電はニーズがないから不要とのこと)。

 もちろんスマートフォンも現地では高いモノを所有しFacebookなどを楽しんでいるとのこと。田舎暮らしのインド人といえど、多くの学生を抱え仕事で成功した人もいて、彼らは関心のあるモノに投資していたのだ。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。

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