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幸福駅再生プロジェクトに「Happy Windows」を提供

オフィス・コロボックル、4Kテレビを活用したサイネージサービス

2013年11月13日 22時30分更新

文● 大河原克行

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地域情報マルチウィンドウズシステム「Happy Windows」

 オフィス・コロボックルは、北海道帯広市幸福町の「幸福駅」再生プロジェクトにおいて、家庭用大型4Kテレビを駅舎内に設置し、各種情報を配信する地域情報マルチウィンドウズシステム「Happy Windows」を提供する。

「Happy Windows」の最終調整をしている様子

 帯広の自然を紹介する高解像度映像を配信するほか、とかち帯広の観光情報や食情報、地域のソーシャルネットワーク情報、観光客が自由に参加できるスマートフォンを利用した「デジタル千社札」など、幸福駅を訪れた人たちが最新テクノロジーを体験しながら楽しめる環境を提供する。

 幸福駅は、旧日本国有鉄道広尾線の駅で、1970年代にはその駅名が話題を集め、隣接する愛国駅の駅名が入った「愛国→幸福」の切符を入手する人が相次ぐなど、大きなブームとなった。26年前に広尾線の廃線とともに駅は使用されなくなったが、駅舎は残り、いまでも年間12万人の観光客が訪れているという。

幸福駅のロケーション。とかち帯広空港からも近い

 幸福駅再生プロジェクトでは、幸福駅をよく知るシニア層への再来促進に加えて、海外観光客の誘致を目的とするほか、ソーシャルネットワーク(SNS)やスマートフォン世代に対する認知度の向上と、誘致も図ることを目的としている。

 オフィス・コロボックルの創設者である堀田一芙氏は、「サイネージとしての活用を考えた場合、4Kテレビならではの高解像度映像を全画面表示するだけでなく、1K×4という発想で映像を4分割し、様々な情報を一斉に表示。メッセージ力を高めるという活用が適していると考えた。4Kテレビの解像度を利用することで、4分割しても文字や映像も鮮明に表示できる。市販の4Kテレビを活用したデジタルサイネージは世界初の試みとなり、まずは、幸福駅の再生プロジェクトを通じて広告モデルなどの仕組みを模索したい」としている。

オフィス・コロボックルの創設者である堀田一芙氏

 オフィス・コロボックルは、2012年夏に、「十勝サマーオフィス」を開設し、日本テレワーク協会のテレワーク奨励賞を受賞したほか、2013年夏には十勝で行なわれた北海道最大級の音楽イベント「平原ジャム」を企画提案。帯広市や十勝地域の振興、地域活性化を支援してきた経緯がある。

 今回の「幸福駅再生プロジェクト」への参画は、そうした活動において帯広市の米沢則寿市長への提案の中で実現したという。

 今回提供する地域情報マルチウィンドウズシステム「Happy Windows」では、東芝がコンシューマ向けに販売している65型の4Kテレビ「REGZA 65Z8X」を使用。画面を4分割して情報を表示する。

東芝の65型4Kテレビ「REGZA 65Z8X」を使用し、画面を4分割表示

 画面左側には地域のコンテンツを表示。左上部には、しんむら牧場の牧場風景や平原ジャムの音楽映像、十勝の食材を使用した地元イタリアンレストラン「十勝イタリアーノマンジャーレ」を紹介。左下部には日本語、英語、中国語で映像の解説を行なう。動画はハイビジョン映像としている。

3ヵ国語で映像を解説する

 画面右側はソーシャルメディアと連動した画面とし、右上部はデジタル千社札として、観光客が自らの顔写真などをアップロードできる。アップロードには専用アプリを使用。撮影した写真をアプリで提供するフレームにレイアウトできる。幸福駅から100メートル以内の人だけが、アップロードできる仕組みとなっている。

Happy Windowsで提供するデジタル千社札の仕組み専用アプリでフレームを選んで写真をレイアウトして、送信する

 アプリは、現時点ではAndroid版のみだが、来年春にはiOS版も提供する。幸福駅近辺は、LTE回線の利用が可能になっており、Happy Windowsの受信には、auのLTE回線を利用するという。

 右側下部には、Facebookの情報が表示され、サービス提供時には、地元情報をまとめたFacebook「とかちのかち」に投稿された情報が表示される。

 また、4分割された情報表示の合間に、十勝地域の5つのガーデンや、ばんえい競馬の4K静止画が全画面表示されるほか、幸福駅の現在とかつての様子も表示される。

全画面で4K静止画も表示する

 さらに、鍛鉄芸術家の加成幸男氏が制作した設置足に、4Kテレビが設置されることになる。

鍛鉄芸術家の加成幸男氏が制作した設置足

 Happy Windowsは、2013年11月16日に、現地でサービス開始にあわせたセレモニーが行なわれる予定であり、12月10日までの約1ヵ月間設置されたのち、来年4月中旬まで、とかち帯広空港に移設される。

 「幸福駅は12月〜3月にかけては平均気温がマイナスになる。そのため、その期間は温度管理が可能なとかち帯広空港に移設する。空港へ移設している期間においては、広告モデルなどの実験も行なっていきたい」(堀田氏)としている。

Happy Windowsは、平均気温がマイナスになる時期はとかち帯広空港に移設

 オフィス・コロボックルでは、Happy Windowsの成果を踏まえて、今後、「デジタルKANBAN」として、サービス提供を行なっていく考えだ。

 「今回のサービスには、内田洋行、サイバーステーション、ゼロユニット、曽我、ヒューマンセントリックス、パワープレイス、btraxといった企業が、それぞれの得意分野の技術を生かしながら、45日間という短期間でサービス開始につなげた。ここで蓄積したノウハウを活用しながら、新たなデジタルサイネージの姿として提供していきたい」(堀田氏)とする。

 また、オフィス・コロボックルの竹村譲氏は、「この仕組みを利用することで、農家や地元商店街が、Facebookを介してその日の情報をデジタルKANBANに発信するといったことも可能になり、より生きた情報のやりとりが実現できる。スマホとSNS、デジタルサイネージを連動した新たな使い方提案が可能になる」とする。

 今回の幸福駅のように光回線やADSLが通っていない場所でも、モバイルネットワークを利用し、サービスを提供できる環境を実現しているのも特徴だ。

 同社では、4Kテレビなどのハードウェア、広告配信用のソフトウェア、コンテンツ制作費用などの初期費用で約300万円を想定。運用費用で年間約60万円を基本費用として提案していく予定だという。

 「デジタルサイネージ市場は、東日本大震災を機に、節電ムードが高まり、需要が停滞した経緯がある。それから2年半を経過し、その間にSNSやスマホが普及し、4Kテレビが登場した。こうした最新技術を活用した新たなデジタルサイネージの活用を提案することで、テレビ業界の復活の一助になればと考えている」(堀田氏)としている。


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