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4Kより安価で、4K画質に迫る! 最新テレビ&BDレコ 第1回

プラズマも選択肢!? 4K時代になっても使えるフルHDテレビ

2013年11月12日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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 すでに、4K(3840×2160ドット)放送のライブ中継の実験が行われるなど、来年夏に向けた4K放送の準備が着々と進んでいる。また、インターネットを使った動画配信でも4Kコンテンツの配信が検討されるなど、4Kテレビの発売以来、4Kコンテンツの準備が着々と進んでいる。

 時代はまさに4Kテレビ……と、言いたいところだが、4Kテレビはまだまだ1インチ=1万円前後という高価な製品であり、誰にでもオススメできる製品とは言い難い。

 そこで今回は、4Kテレビ時代に突入した現在でも、自信を持って購入できる実力派の2Kテレビ=フルHDテレビを特集したいと思う。

 フルHDテレビはフルHDテレビで、今後4Kコンテンツが充実してくるというならば、すぐに時代遅れになってしまう懸念がある。薄型テレビは7年から10年で買い換える長く使う製品なので、将来性などに不安があると、購入も慎重になってしまうだろう。

 だが、最新のフルHDテレビは、最新の技術を盛り込むことで、現行のフルHD放送ならば4Kテレビに迫る画質で楽しめる実力を備えている。各社の高画質技術については、後半で詳しく紹介するが、まずは4KテレビよりもフルHDテレビを選んだ方が有利な3つの理由を紹介しよう。

理由その1 4Kテレビはまだまだ発展途上
熟成が進んだフルHDの方が総合力では勝る!?

色域が広い「トリルミナスディスプレイ」

色域が広い「トリルミナスディスプレイ」

 4Kテレビに使われる4K解像度の液晶パネルは、画素数が一気に4倍に増えたこともあり、フルHDパネルに比べると技術レベルも高いし、大量生産も難しい(だから高価でもある)。一方、フルHDテレビは生産技術も確立しているし、技術的な熟成度も高いので、液晶パネルの弱点を克服するためのさまざまな技術も盛り込まれている。

 その一例が色再現。ソニーの4Kテレビの「X9200A」と「X8500A」が広色域再現を実現する「トリルミナスディスプレイ」を採用しているが、こうした広色域再現はまだまだ数が少ない。そのほかにも、液晶の動画応答性を高めるための4倍速表示も実現できていない(現行の4Kテレビはどれも倍速表示)。

 4Kテレビで圧倒的なのは解像度だが、テレビの画質は解像度だけでは決まらない。色再現やコントラストといったいくつもの要素によって豊かな臨場感やリアルな再現ができるようになる。つまりトータルバランスにおいてはフルHDテレビの方が優れていると言っても言い過ぎではないだろう。

理由その2 視聴距離が長くなると
4KテレビとフルHDの画質差は少なくなる

メーカーによっては視聴距離によるテレビの選び方を掲載しているところもある。画面は東芝のサイト(http://www.toshiba.co.jp/regza/detail/howto/size_01.html)

メーカーによっては視聴距離によるテレビの選び方を掲載しているところもある。画面は東芝のサイト(http://www.toshiba.co.jp/regza/detail/howto/size_01.html)

 次は視聴距離の問題だ。フルHDテレビの最適視聴距離は3H(画面の高さの3倍)程度と言われている。これは、画素が見えてしまうようなことがなく、密度の高い映像を楽しむのに適した距離だ。一般的な40V型テレビならばこの距離はおよそ1.5mくらいとなる。

 これが、4Kテレビになると画素が細かいためもっと近くで見られる。最適視聴距離は1.5Hで、55V型で1mほどだ。画面が大きくなりしかも視聴距離が近くなるため、視野を占める画面の面積が大きくなり、映像以外の室内が目に入りにくくなるので映像への没入感も増すという理屈だ。

 55V型を1m程度の距離で見るというのはかなりの近距離だ。今4Kテレビを買おうという画質にこだわりのある人ならば、そういう距離で高精細な映像を満喫するだろう。

 しかし、一般のリビングに置いた場合、そんな狭っくるしい位置にソファなどを置くだろうか? おそらくは40V型フルHDの最適視聴距離である1.5mを確保できればいい方で、実際にはもっと遠い位置にソファを置き、2m以上の距離でテレビを見ている人がほとんどではないだろうか?

 人間の目にも解像度はあり、細かすぎる情報は判別できなくなる。4Kがいかに高精細でも遠く離れてしまえばその情報は認識しにくくなる。つまり、フルHDテレビを見るのと大きな差が感じにくくなるのだ。

 この理屈で言うと広いリビングには80V型クラスの大画面が必要で、価格的にも手の届かないものになる。高画質な映像を満喫するためではなく、一般的なテレビとして使う場合、4Kテレビはオーバースペックになりかねないのだ。

理由その3 4Kコンテンツのよさも
フルHDできちんとわかる

 地上デジタル放送も、放送する番組によって意外と画質差があることに気付いている人は少なくないだろう。一番顕著なのは、手持ちのカメラを使うことが多いロケ撮影とスタジオ収録の画質差。これは使用するカメラの性能が放送の映像に現われているのだ。

 また、ドラマでは放送局によっては、次世代を先取りして4Kカメラなどで撮影を行なっている番組も出はじめている。これと同じことは、BDソフトでも起きている。現在の映画は、昔ながらのフィルム撮影とデジタル撮影が混在しているが、フィルムでも2K制作と4K制作があるし、かつての70mmフィルムの大作映画ならば素材を8Kで取り込んで制作されるものもある。

 また、「IMAX」と呼ばれる動画フィルム規格で撮影された映像は、デジタル4K撮影を軽く凌駕する驚異的なきめ細かさを実現する。カメラ機材の性能や制作設備による画質的な違いは、最終的には同じフルHD映像として発売され、そのままフルHDテレビで見てもその違いはきちんと出る。

 もちろん、4Kテレビならば4K制作と2K制作の画質差がよりはっきりとわかるし、4Kコンテンツのよさは存分に味わえる。だが、まだまだ4Kテレビが一般的なものではない現在、4KコンテンツをフルHDで見るなんてナンセンスというわけではないのだ。

 なによりもフルHDテレビは価格が安い。同じ画面サイズならば価格は半額以下になるわけだし、説明したとおり熟成した技術のために、総合力を考えると画質的な差は思ったよりも少ない。

 しかも、最新のフルHDテレビは、さらに画質の実力を高めるための技術を盛り込んでおり、4Kテレビに迫る実力を備えている。では、そんな最新テレビを紹介していこう。

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