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マスタデータ整備の重要性とMDM(マスタデータ管理)製品の役割(前編)

企業がマスタデータを整備しなければならない理由

2013年09月20日 08時00分更新

文● 齋藤滋春

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社内に蓄積されたさまざまな情報を活用するために、多くの企業で導入が進んでいるのがBI/DWHといったソリューションだ。ただ、こうしたプロジェクトでも「マスタデータ」の管理が不十分であれば、必要な情報が参照できないといった問題が露呈するケースも少なくない。その課題解決のために、近年出てきたのが「MDM(マスタデータ管理)」と呼ばれるパッケージだ。本稿では前後編に分けて、マスタデータにまつわる問題が生じる要因と、MDMを使った課題解決について解説していく。

マスタデータ管理が不十分だとこんな問題が起きる

 財務管理や販売管理、あるいは人事管理など、企業が基幹業務で利用する情報システムの多くは「マスタ」と呼ばれる基礎情報をベースに情報を管理している。マスタには「商品マスタ」や「部品マスタ」、あるいは顧客、仕入れ先などの「取引先マスタ」などさまざまな種類があり、たとえば商品マスタならば、個々の取り扱い商品に対し識別のためのコードを割り当てて管理している。このように、マスタは企業内の情報を管理し、活用する際の重要な基盤となる。

 しかし、このマスタの管理が不十分であることから、情報活用が阻害される要因となっているケースが少なくない。問題が生じる典型的な例として挙げられるのは、企業内の複数の事業部門で、それぞれ個別に導入したERPパッケージが運用されているケースだ。ここで同じマスタを使っていれば問題はないが、事業部門ごとに異なる商品マスタを参照していることがある。

マスタデータ管理の現状と課題。マスタデータが適切に整備されていければ、経営管理に直結する大きな問題になりかねない

 このように商品マスタがばらばらの状態だと、たとえば事業部門を横断して商品ごとの売上を集計するといったことは難しい。同じ商品に異なるコードが付いていれば、違う商品として認識されてしまうからだ。同様に、取引先マスタが事業部間で異なっていれば、自社全体での取引先ごとの販売状況を確認するといったこともできない。

 こうした問題は、ERPパッケージやCRMなどに蓄積された情報を分析して経営上の意志決定や業務に役立てる「BI(Business Intelligence)」/「DWH(Data WareHouse)」といったソリューションを導入する際に顕在化することが多い。BIやDWHは蓄積した情報を、商品や部門、あるいは顧客などさまざまな軸で分析することを可能にするが、マスタが適切に整備されていなければ、データを適切に切り分けられず、必要な情報が得られないという結果になってしまうためだ。

 もう1つ、マスタデータの不統一が引き起こす典型的な問題として、生産から販売までの商品の流れが追えなくなるというものがある。具体的に言うと、ある商品に対して生産管理システムでは「A00001」というコードが、またERPパッケージでは「XX10000YY」という異なるコードが割り当てられているようなケースである。この場合、その商品がどれだけ生産されているのか、最終的な販売量や販売金額がどうなっているのかを個別に確認することはできるが、BIを使って一連の流れを通してチェックすることはできない。

(→次ページ、マスタデータはこのようにして整備する)

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