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止められないクラウドに「clustered Data ONTAP」 第1回

御社のストレージは本当にクラウドレディですか?

クラウド基盤にclustered Data ONTAPが最適な理由を探る

2013年09月19日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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ITリソースをユーテリティとして扱うクラウドは、割り勘のコスト効果と高い柔軟性というメリットをもたらす。こうしたクラウド基盤を支えるストレージには、従来と異なるレベルの拡張性や信頼性、運用管理が必要になる。

クラウド基盤で重要なストレージの条件とは?

 ITの世界に「クラウドコンピューティング」という利用形態が登場して久しい。コンピューターリソースを複数ユーザーで共用し、必要なときに必要な分のみ調達できるクラウドをもはや「バズワード」と一蹴するユーザーは少ないだろう。AWS(Amazon Web Services)のようなパブリッククラウドに基幹システムを移行する企業も存在しているし、柔軟性のないオンプレミスのシステムをプライベートクラウドとして再構築し直した企業も増えている。

 こうしたクラウド基盤の構築で特に重要になるのが、ストレージだ。クラウドの本質は仮想化とネットワークによって、複数ユーザーがリソースを効率的に共用することだ。リソースの共用により、「割り勘のコスト効果」が発生し、昨今のITに必要な柔軟性を確保できるわけだ。

 しかし、裏を返せば、効率的にリソースを共用できなければ、クラウドのメリットは享受できないことになる。ストレージにおいてもリソースを仮想化した上で、ユーザーごとにディスクやCPU、I/Oなどを“適正に”割り当てる必要がある。また、単に容量だけではなく、性能もあわせて拡張できなければならない。大容量のデータをリアルタイムで処理しようと思ったら、自ずと処理能力も高める必要があるのだ。もちろん、拡張するに当たって、サービスを停止させることはありえないし、台数が増えて、運用負荷が増えては意味がない。既存のエンタープライズとは異なる要件を満たす唯一のストレージOSがネットアップの「clustered Data ONTAP」である。

クラスタ型ストレージを取り込んだストレージOS

 ネットアップのclustered Data ONTAPは、同社のユニファイドストレージであるFAS/Vシリーズに搭載されているソフトウェアの最新版。既存のディスクアレイ装置のファームウェアとは異なるレベルの高度なデータ管理を行なえるプラットフォームとして、ネットアップの成長を支えてきた存在だ。スケールアップ&スケールアウトが可能な拡張性、極力システムを停止しないノンストップオペレーション、今後のメインストリームを担うべく追加された革新的な新機能など、クラウド時代に最適なストレージ基盤を提供する。

 clustered Data ONTAPは、ネットアップオリジナルのストレージOSである「Data ONTAP」と同社が買収したSpinnakerのスケールアウトストレージである「SpinFS」を融合させたものだ。オリジナルのData ONTAPは1990年代に同社が創業されて以来、進化を続けるユニファイドストレージ向けのソフトウェア。RAIDやデータ保護の管理といった基本機能にとどまらず、仮想化を前提としたシンプロビジョニング、重複排除、クローニングなど高度に洗練されたストレージ管理機能を持つ。一方のSpinnakerのSpinFSは複数のストレージを組み合わせたクラスター型ストレージで、ネットアップでも買収当初は「Data ONTAP GX」というHPC向けの製品として扱っていた。ある意味、メインストリームを補う“亜流の製品”としてData ONTAP GXが存在していたわけだ。

Data ONTAP 8の生い立ち

 しかし、その後クラウドの普及やビッグデータの台頭などで、コントローラーを買い換えるスケールアップ型の拡張性に限界が生じるようになる。これを見越したネットアップは長い年月をかけてソースコードレベルで両者を統合。Data ONTAP 8では既存のData ONTAPを「7-Mode」、Data ONTAP GXを「Clustered-Mode」としてインストール時に選択できるようにした。そして、いよいよ最新版の8.2では名称自体も「clustered Data ONTAP」となり、次期バージョンの8.3で7-Modeが終了。名実共にネットアップのコアソフトウェアという位置づけになったわけだ。

 7-Modeとclustered Data ONTAPの最大の違いは、やはり拡張のアプローチである。7-Modeでも、シェルフを追加することで容量を拡張したり、コントローラーをHA(High Availability)ペアとして構成し、可用性を高めることが可能だった。しかし、容量に合わせて性能を拡張する際には、古いコントローラーを高速なCPUを搭載した新モデルに置き換えるという選択肢しかなかった。これに対してクラスター型ストレージのclustered Data ONTAPではコントローラーを増やしデータを分散させることで、性能もそのままスケールするという特徴を持っている。

スケールアップ&スケールアウト志向のストレージOS

clustered Data ONTAPのメリットとは?

 clustered Data ONTAPのメリットは明確だ。まず、従来のようなスケールアップ型の拡張だけではなく、スケールアウト型の拡張が実現する。コントローラーを追加することで、パフォーマンスを向上させることができ、シェルフを追加することで容量も増やせる。また、複数のストレージを統合された単一のリソースプールとして扱えるため、運用性も大幅に向上する。性能、容量、運用性という異なるベクトルに向けた「3次元の拡張性」を持つわけだ。しかも、世代の異なるコントローラーを混在させることが可能なので、新旧のモデルを階層化して利用することが可能だ。

3次元の拡張性

 2つめの特徴はやはりノンストップオペレーションだ。clustered Data ONTAPでは、サービスを止めずにデータを他のコントローラーに移動できるため、計画停止時でもサービスが止まらない。システムを止めずにアップデートできるのは、クラウドにおいてはなにより重要なことであろう。

 3つめは多彩な機能だ。ユニファイドストレージ向けの7-Modeの特徴を継承しているので、SANとNASいずれのアクセスも可能。スケールアウトとユニファイドの2つの特徴を合わせ持つわけだ。もちろん、今まで7-Modeで導入されていたような多種多様な機能がメインストリームのclustered Data ONTAPにどんどん搭載されてくる。さらに、最新版の8.2ではポリシーベースのQoS、最新のWindows環境で採用されているSMB3.0、オンラインでボリュームを移動できるTransparent Vol Moveなど、さまざまな新機能・改良が施されている。

 すでにclustered Data ONTAPは多くの顧客で利用されており、インストール数は2000社におよぶ。1年半で6倍、半年で4倍という急激な成長で、日本でも数社が導入済みだ。さて、次回は最新版8.2の魅力について、徹底解説する。

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