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ネットアップがストレージOSの最新版をリリース

止めずに拡張可能な「clustered Data ONTAP」が本流へ

2013年07月12日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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7月11日、ネットアップはストレージOSの最新版「clustered Data ONTAP 8.2」を発表した。従来、Cluster-Modeとしてオプション的な扱いだったが、8.2以降はメインストリームとして同社のストレージを支えていくことになる。

可用性と拡張性を大幅に強化

 ネットアップのData ONTAPは同社の主力ストレージ製品である「FASシリーズ」に搭載されているソフトウェアで、ディスクアレイ管理やデータ保護のみならず、仮想化やユニファイドアクセス、運用サポートなどさまざまな機能を持つ。「clustered Data ONTAP」は、名前の通りコントローラーのクラスター構成に対応したData ONTAPのオプションモードで、シングルコントローラー前提の「7-Mode」に比べ高い可用性や拡張性を実現する。

clustered Data ONTAPの概要

 発表会に登壇した米ネットアップのジョン・フレデリクセン氏は、従来システムの構築と運用を行なっていたITが“サービスの仲介役”という役割に変わりつつあり、特に即応性が求められていると指摘。「プロビジョニングも週単位が分単位になっており、ストレージも一切の停止が許されなくなっている」と述べた。こうした即応性や可用性などを満たすべく開発されたのがclustered Data ONTAPになる。

米ネットアップ Data ONTAP/管理製品グループ 戦略/プロダクトマネジメント担当 バイスプレジデント ジョン・フレデリクセン氏

 今回発表された最新のclustered Data ONTAP 8.2では、まずノンストップオペレーション機能を向上。コントローラーのアップデートをノンストップで行なえるため、計画的なダウンタイムが不要。99.999%という高い可用性を実現した。また、容量やパフォーマンスをシームレスに拡張し、ワークロードのバランスを動的に再調整することも可能。フレデリクセン氏も、「もはやアプリケーションを止める必要はない。計画的にキャパシティを拡張できる」とアピールする。ネットアップの試算では、1つのストレージアレイで10個のアプリケーションをホストした場合、担当者3人で年間150回相当の工数を削減できるという。

 また、clustered Data ONTAP 8.2ではワークロードのパフォーマンスを個別に設定できるQoSの制御機能も搭載した。ファイルやボリューム、SVM(Storage Volume Level)、LUN(Logical Unit Number)単位でI/0の利用を制限することが可能。SANとNASの両プロトコルにも対応するほか、ネットアップ以外のストレージでも利用できる。さらにバックアップ機能も強化し、ネットワーク経由での圧縮や重複排除を利用できるようになったほか、リストアも大幅に高速化された。

ノンストップオペレーションで担当者3人で年間150回相当の工数を削減できる

ワークロードのパフォーマンスを個別に設定できるQoS機能

 拡張性も大幅に向上し、最大の69PBのストレージ容量、24ノードクラスターをサポート。最大4万9000のLUN、1万2000のNASボリュームまで拡張できるようになった。上位機種へのスケールアップだけでなく、スケールアウト性が大幅に高まったことで、ビッグデータにも対応。フラッシュとの組み合わせで、性能面でも大きなアドバンテージが生まれるという。

 なにしろユーザーにとって一番うれしいのは、導入が用意になった点だろう。クラスターでありながら、スイッチ不要なシングルノード/2ノードクラスターをサポートし、スモールスタートが可能になった。新たに従来の7-Modeからの移行サービスも提供されており、clustered Data ONTAPへの移行が容易になった。

Software-Defined Data Centerにも
clustered Data ONTAP

 Software-Defined Data Centerに関するスタンスも言及された。Software-Defined Data Centerでは、ハードウェアに依存せずソフトウェアでITリソースを制御するコンセプト。これにより、ITの即応性、運用効率、リソースの利用効率を高め、アプリケーションの所有者にサービスを迅速に提供できるというメリットがある。

Software-Defined Data Centerの基盤にも最適

 clutered Data ONTAPは、こうしたSoftware-Defined Data Centerに対応するという。「SANとNASの両環境でハードウェアのリソースプールから、データアクセスとサービスを抽象化し、分離できる唯一のソフトウェア」(フレデリクセン氏)とのことで、Software-Defined Data Centerに必要な高度な仮想化を提供する。また、多種多様な他社ハードウェアにも対応するほか、アプリケーションとの統合も実現している。シスコやマイクロソフト、SAP、オラクル、レッドハット、シトリックス、VMwareなどとの緊密に連携し、オープンなAPIを介して、プロビジョニングにおけるワークフローを自動化しているという。

 clutered Data ONTAPの導入を検討しているユーザーは「共有の仮想化インフラを効率的に運用したい」「スケールアウトNASを検討している」「ビジネスクリティカルなアプリケーションをより安価に実現したい」などの3つのニーズを抱えているとフレデリクセン氏は語る。こうしたユーザーに対して、clustered Data ONTAPは大きな導入効果をもたらすという。ネットアップ マーケティング本部長 ダニエル・ハンソン氏「今までのような7-Modeのオプションではなく、弊社のメインストリーム製品になる。今後は営業も最初から自信を持って、clustered Data ONTAPをご提案していく」と胸を張る。

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