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ついに携帯電話を手放すNokia、ハードを手に入れるMS

マイクロソフトがNokiaを54.4億ユーロで買収へ

2013年09月03日 15時30分更新

文● 末岡洋子

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 MicrosoftとNokiaは9月3日(現地時間)、MicrosoftがNokiaのデバイス&サービス事業部を買収することで合意したと発表した。買収金額は54億4000万ユーロ(約7134億円)。今回の買収が成立すれば、1990年代後半の携帯電話普及期の初期から、2011年まで最大手として業界に君臨してきたNokiaが、ついに独立した企業としての携帯電話の開発・製造に終止符を打つ。Microsoftからみると、本格的なハードウェア分野進出の第一歩となる。

Microsoft出身でもある、Nokiaの前CEO、Stephen Elop氏

Nokiaは携帯電話事業を売却
地図サービス「HERE」や通信インフラのNSNは維持

 3日の発表内容をまとめると、NokiaとMicrosoftの取締役会はMicrosoftによるNokiaのデバイス&サービス事業部の買収に合意したという。金額は54億4000万ユーロ。内訳は、デバイス&サービス事業部が37億9000万ユーロ、Nokiaが保有する特許ライセンスに16億5000万ユーロとなり、取引は現金で行なう。買収はNokiaの株主および規制当局の承認を得る必要があり、2014年第1四半期(1~3月期)に完了を見込む。

 Nokiaはデバイス&サービス以外にも事業を持っている。7月にSiemensとの合弁解消による完全子会社化計画を発表した通信インフラのNokia Siemens Networks、地図サービス事業のHERE、先進技術開発とライセンスのAdvanced Technologiesの3事業にフォーカスし、Nokiaブランドでの開発を継続していくという。

 これを受け、NokiaのCEOを務めるStephen Elop氏はCEO職を退任してデバイス&サービス部門担当執行バイスプレジデントに着任、取締役会長のRisto Siilasmaa氏が暫定CEOを務めることも発表している。

一時はモバイルを制した北欧企業のNokia

 Nokiaは100年以上の歴史を持つフィンランド企業だが(すでに分社化しているが、製紙やゴム製品、特に雪道用タイヤや靴で知られる)、日本人がよく知るNokiaは携帯電話メーカーとしての同社であり、一時期は日本でも拠点を持ち携帯電話も提供していた。Nokiaは他の携帯電話メーカーと共同出資してSymbianを立ち上げ、SymbianからライセンスしたOSと自社インターフェース(S60、S40など)を組み合わせて初期のスマートフォン市場を独占した。

 だが2007年にAppleが「iPhone」で携帯電話市場に参入、タッチ画面による操作とアプリストアが新しい風を業界に巻き込んだ。その後のAndroidの隆盛により、Symbianはオープンソースとして出発するもその後Nokiaが買い取った。

 そのSymbianの携帯電話は2012年2月に発表した42メガピクセルカメラ搭載の「Nokia 808 PureView」を最後に開発を打ち切っている。Nokiaのスマートフォン戦略は、2010年に発表したIntelと手を組んだLinuxベースの「MeeGo」だったが、1年後にMicrosoftと戦略的提携を発表、「Windows Phone」をメインに据えた戦略に方針転換した。背景にはMeeGoベースの製品登場が遅かったこと、そして2010年秋にMicrosoftからCEOに迎え入れたStephen Elop氏の判断がある。

 それから1年半、Windows Phoneの「Lumia」ラインはゆっくりながらも浸透しており、今年はBlackBerryを凌いで第3位の座についた。だが、Androidの勢いに対抗するにはほど遠い状態だ。現在のスマートフォン市場はAndroidのSamsung、それにiPhoneのAppleの2極体制にある。Gartnerの2013年第2四半期の調査によると、Androidのシェアは79%、iOSは14.2%で、Microsoftは3.3%……3位とはいえ、上位2種と大きな開きがある。

Google/Motorolaに続くか?
ハードウェアを手に入れるMicrosoft

 MicrosoftによるNokia買収は以前からたびたび噂となっており、6月にはWall Street Journalが関係者からの話として報じていた。当時の報道では交渉は決裂したといわれていた。

 Microsoftは「Surface」タブレットなどハードウェアへの拡大を見せており、その延長線上にあると考えることができそうだ。プレスリリースでは「将来に向けた大胆なステップであり、双方の従業員、株主、そして消費者にとってwin-winだ」「Nokiaのすばらしい人材、技術、資産をMicrosoftファミリーに迎え入れることを光栄に思っている」とMicrosoftのCEO、Steve Ballmer氏はコメントしている。Ballmer氏は8月末に1年以内にCEO職を降りることを発表している。

 なお、ソフトウェア企業がハードウェア企業を買収する例として、モバイル業界ではGoogleによる約125億ドルでのMotorola買収の例がある。

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