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グローバル企業に「シングルインスタンス化」以外の選択肢を

2層ERP導入を推進する「SAP Business ByDesign」日本上陸へ

2013年08月28日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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8月27日、SAPジャパンはクラウドERPスイート「SAP Business ByDesign」の日本語版を発表した。本社や主要拠点以外のERP導入に課題を抱えるグローバル企業をターゲットに、導入が容易なSAP Business ByDesignを展開する。

豊富な機能を完全網羅するクラウドERPの本命

 SAP Business ByDesignは、おもに海外展開を行なうグローバル企業向けのクラウドERPで、すでに1000社の導入実績を持つという。会計管理、人事管理、購買管理、プロジェクト管理、生産管理、在庫管理などをビジネスに必要な機能を包括し、35の業務プロセスをカバーする。税法や商習慣のきめ細かさ、ビジネスプロセスの範囲はSAP Business Suiteの方が優れているものの、主要機能はSAP Business ByDesignで完全にカバーされているという。

SAP Business ByDesignの特徴

 SAPジャパン IVE&ソリューション本部 アプリケーションエンジニアリング部 ダイレクター 佐々木直人氏は、SAP Business ByDesignの特徴として、パーソナライズなどが容易な「ユーザビリティ」、KPIの把握やモバイル利用などが充実した「アナリスティック」、ユーザー企業にあわせたカスタマイズや機能拡張が可能な「エクステンション」、そしてオンプレミスのSAP ERPとの連携が可能な「インテグレーション」という4点を挙げた。

SAPジャパン IVE&ソリューション本部 アプリケーションエンジニアリング部 ダイレクター 佐々木直人氏

2層アプローチをやりたかったという声は大きかった

 SAP Business ByDesign最大の特徴は、オンプレミス&クラウドを前提とした2層のERP導入アプローチを前提としたインテグレーションの機能だ。これにより、グローバル企業においては、本社や主要拠点でオンプレミスのSAP ERPをそのまま使い、規模の小さい新興国の販売拠点などではSAP Business ByDesignを新たに展開。両者を連携させることで、統合的なサプライチェーンを構築構築や、グループレベルでの経営管理などが可能になるという。

 登壇したSAPジャパン バイスプレジデント クラウドファースト事業本部長 馬場渉氏は、「あらゆる人、モノ、カネを集め、オペレーションを統合するというのは、もともとERPで実現できること」と説明。その上で、グローバル企業で単一のERPを導入する「シングルインスタンス化」が求められているのが現状だという。

SAPジャパン バイスプレジデント クラウドファースト事業本部長 馬場渉氏

 しかし、多くの企業において、ERPのシングルインスタンスでの導入は本社や主要事業会社にとどまっており、小規模拠点や新規事業などの“ロングテール”をカバーできていない。こうした課題に対し、「とにかく最後までシングルインスタンスでがんばるという以外の選択肢を提供したかった」(馬場氏)ということで生まれたのが、SAP Business ByDesignになる。こうした2層アプローチは競合からも提供されているが、「お客様やパートナーからSAPでやりたいという声が多く挙がっていた」(馬場氏)とのことだ。

オンプレミスのSAPとの2層アプローチ

 また、長らく日本市場への投入が待たれていたSAP Business ByDesignが今になって市場投入されたことに関して、馬場氏はクラウドERPの需要が満を持したからと説明。「記者さんやお客様にいつ出るんだと問われ続けてきたが、正直これが早すぎても問題だった」(馬場氏)。また、クラウドの技術が熟してきたことも大きいという。「日本のお客様はすべて新世代のHANAクラウドに載ってくるので、さまざまなアドバンテージを感じていただける」(馬場氏)と述べた。当面は、グローバル企業での2層アプローチ需要に応えるが、将来的には中堅・中小企業向けのクラウドERPとして展開していく戦略になっている。

 利用料金はサブスクリプション制となっており、米国では1ユーザー149ドル/月となっているという。日本語版は2013年11月に提供される予定。税法や商習慣も国内市場に則った製品が提供されるとのこと。

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