本物のメトロノームより便利?
多様なリズムをエディットできる
次は、前ページで紹介した3つの理由から、「2:機能が充実している」点について。本アプリのメトロノームは、錘をスライドさせると、テンポをペンデュラムステップで変更でき、30から416までテンポを設定できる。このメトロノームが持つリズムエンジンは非常に正確で、誤差はわずか0.1ミリ秒以内とのことだ。といっても、それだけなら普通のメトロノームと同じである。
本アプリの強みは、まず単純なリズムだけではなく、4分、8分はもちろん、3連中抜き、2連裏打ちなどというリズムも設定できるところ。構成を編集すれば変拍子にも対応するので、プログレッシブ野郎も安心である。
さらに、設定したテンポやリズムを記録しておけるのも魅力。作成したリズムはBluetoothやメールで共有することもできるので、バンド練習などにも役立つはずだ。
他にも、ある楽曲を練習したいが、正確なテンポがよくわからないという場合、リズムに合わせて一定回数指で叩けば算出してくれる「Tap」機能などもある。「ミュージック」アプリなどで楽曲を再生し、それに合わせてタップすればいいというわけだ。
バックグラウンド再生に対応しているのが重要である
とにかく使い心地がいいのだ
最後の理由、「3:バックグラウンド再生に対応している」。実は、これがあるとないとでは大違いなのだ。なぜなら、演奏の練習をする際に、iPhoneで調べものをするというのはよくある話。
iPhoneはアプリによって、譜面台になり、歌詞カード(カンペとも言う)になり、メモになる。また、これまで当連載で紹介してきたような音楽アプリを使い、作曲のアイデアを膨らませることだってあるだろう。そこで、バックグラウンド再生が活きてくるのだ。様々なアプリを起動しながら、裏でしっかりリズムを刻んでくれるのが実にありがたい。
今回はバックグラウンド再生に注目したが、他にも実用的な機能は多い。たとえば、近接センサーによる手をかざしての動作開始/停止ができるのは、演奏中に手がふさがりがちなことを考えると実にうれしい機能だ。リズムの開始を「1拍後から」などに設定できるのも地味に便利。要するに、「3、2、1、ハイ」の余裕が作れるのである。メトロノームを動かした瞬間に「うわ始まった!」と慌てる必要がない。とにかく、かゆいところに手が届くメトロノームなのだ。
ざっと解説してきたが、今回の「Metronome PRO」のようなアプリは、「アプリってあまり使わないんだよな」というバンドマンにこそ試してほしい。当連載は「スマホで始める音楽アプリ部」という名前だが、スマホで始めるといううたい文句は、スマホだけで音楽を完結させるという意味だけではもちろんない。今回紹介したように、アプリを使うことで、スマホが日頃の音楽活動の強い味方になる……ということもあるのだ。
この連載の記事
-
最終回
スマホ
音楽アプリの定番、プロが見る「GarageBand」の圧倒的な良さとは -
第75回
スマホ
ダブステップにスマホで入門!? 「Drum Pads 24」を試す! -
第74回
スマホ
作曲だけじゃない、ライブ音源としても使えるiPad用DAWアプリ「BeatHawk」 -
第73回
スマホ
iPhoneに鼻歌を録音するだけで、楽曲が完成するアプリ!? -
第72回
スマホ
500の音色が高品質! プロが憧れたドイツ製シンセのiPad版は納得の出来 -
第71回
スマホ
いろいろな効果音が鳴らせるアプリは、音楽アプリになるか? -
第70回
スマホ
失敗しない! 初めてのリズムマシンはiPad版「D-Pad」がいい -
第69回
スマホ
スマホでヴァイオリンを演奏! 弦楽四重奏も楽しめるぞ -
第68回
スマホ
PD音源をアプリで! カシオのシンセ「CZ」が80年代っぽい -
第67回
iPhone
今さらやる意味はあるのか!? 「ブブゼラ」アプリを比べる -
第66回
スマホ
ボタンを押せばループ完成! ヤマハ製シーケンサーアプリが超簡単 - この連載の一覧へ