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「AtermWG1800HP」―次世代規格11acなら、コレを買え!

2013年07月24日 11時00分更新

文● 林佑樹

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高速化に加えて、小型化を実現した
「μ(マイクロ)EBG」「μ(マイクロ)SRアンテナ」

 AtermWG1800HPのポイントは、高速化に加えて小型化を実現している点にある。たとえば、前モデル「AtermWR9500N」を比べてみよう。Wi-Fiの速度については、AtermWR9500Nが11n/a対応で、規格値である450Mbpsに対応。AtermWG1800HPも11nは450Mbps、加えてDraft 11acは1300Mbpsである。さらにAtermWG1800HPは、NEC独自および世界初の電磁ノイズ抑制技術「μ(マイクロ)EBG」、NECの世界最小クラスのアンテナ「μ(マイクロ)SRアンテナ」の採用により、アンテナ性能も向上している。μEBGはアンテナへのノイズ遮断と受信感度の向上、μSRアンテナは全方位への電波放射効率を向上させたものだ。

 また、AtermWG1800HPのサイズ/重量は約幅33×奥行き111×高さ170mm/約400gで、AtermWR9500Nが約幅35×奥行き111×高さ152mm/約300gだ。写真でみると、サイズがあまり変わらないことがさらに分かるはずだ。

AtermWG1800HP(写真左)のサイズ/重量は約幅33×奥行き111×高さ170mm/約400gで、AtermWR9500N(写真右)が約幅35×奥行き111×高さ152mm/約300g。サイズがあまり変わらない点に注目だ

横幅(厚さ)は、AtermWG1800HP(写真左)のほうがAtermWR9500N(写真右)よりも2mm薄い

「AtermWG1800HP」と「AtermWR9500N」のサイズ/重量
製品名 「AtermWG1800HP」 「AtermWR9500N」
サイズ/重量 約幅33×奥行き111×高さ170mm/約400g 約幅35×奥行き111×高さ152mm/約300g

 この高速化/小型化のヒミツは、世界で初めてμEBGを製品採用し実現した点にある。μEBGは、電磁波ノイズを効果的にカットする「メタマテリアル」の一種。不要なノイズを出していたプリント基板に、EBG(Electromagnetic Band Gap)構造を搭載することで、内部を伝搬するノイズを遮断。アンテナの受信感度が最大で10倍向上した(EBG非採用の従来方式比)。このためAtermWG1800HPはノイズ対策の部品が不要になり、大胆な小型化が可能となったのだ。

 また、NEC独自開発/世界最小クラスのμSRアンテナを搭載した点も大きい。メタマテリアルの基本をヒントに、スプリットリング共振器(SRR)と呼ばれる円の一部を切ったC字型素子をアンテナ素子として応用したもので、十分な電波放射量を維持しながら、世界最小クラスのアンテナ素子を実現している。共振器の形状を最適化することで、機器組み込み時のアンテナ性能の変動を抑制するとともに、全方向への電波放射特性も可能にした。また、μSRアンテナの採用により、アンテナ占有面積が従来機種に対して88%も削減しているのだ。Draft 11ac規格のサポートには、従来より多くの部品や回路が必要となり基板サイズが大きくなるのだが、回路の最適化設計とμSRアンテナにより従来機と同等のコンパクトデザインを実現したというわけだ。

NEC独自開発/世界最小クラスのμSRアンテナ。アンテナ占有面積が従来機種に対して88%も削減しているというだけあって、ヒジョーに小さい

 AtermWG1800HPのスタイリッシュなデザインは、縦置きにしても横置きにしても、壁掛けをしても映えるものになっている。部屋の片隅や邪魔にならない場所に設置しているユーザーが多いと思われるが、2台目のAtermWG1800HPを子機として、TV近くに設置という場合もシックリくる、なかなかいいデザインだ。もちろん、リビングや家の中心に置きたい場合も、邪魔になりにくい見た目となっているのだ。

本体正面。接続を示すLEDがあるのみ。発色は抑えめのため、寝室などに置いても、深夜に光って気になるということが少ない

本体背面。上から、モード切替スイッチ、USB 2.0端子、有線LAN(1000BASE-T)×4、WAN用端子(1000BASE-T)×1、電源。子機として運用する場合はWAN用端子もLAN用端子として使えるようになる

本体側面。各種LEDに加えてECOボタン、らくらくスタートボタンがある

スタンド位置の変更で横置きにも対応。また壁掛け用のネジ穴もある

ACアダプターはやや大型

 先に挙げたように、2.4GHz帯と5GHz帯の同時利用が可能なため、AtermWR9500Nユーザーの場合は違和感なくAtermWG1800HPに移行できるだろう。また数世代前のAtermシリーズユーザーの場合も、管理用「クイック設定Web」のユーザーインターフェースデザインはほぼそのままなので、設定面で混乱する可能性も低いと思われる。

設置環境の自由度が高い点も魅力だ

 AtermWG1800HPの場合、5GHz帯/最大1.3Gbps(理論値)を活かす環境は、簡単に考えていくつかある。ひとつはストリーミング。家庭内で映像コンテンツをスマートフォン・タブレットやノートPCで視聴したい場合。もしくは、メインPCもワイヤレスにしたい場合もDraft 11acを考えるといい。

 次に、障害物に対する強さだ。1階から2階への通信はもちろん、3階までもフォローしており、これはAtermWG1800HPに採用されている3ストリーム×3ストリームとハイパーロングレンジのおかげでもあるし、先に挙げたμSRアンテナの開発成功の成果でもある。

 設置にあたって意識しておくといいのは、1階に親機を設置した場合、3階の場合はどうしても電波が減衰してしまうことだ。また、障害物によっては電波の抜けが悪い可能性もある。その場合は、中継機としてAtermWG1800HPをさらに設置する手もあるので、事前にWi-Fi機器をよく使用する場所をチェックしてから導入するといいだろう。

 また、子機としてAtermWG1800HPを使えば、親機―子機のAtermWG1800HP間はDraft 11acで結ばれるため、高速通信が可能となる。そういった使い勝手を考えると、リビングには子機を置いて、TVやレコーダーなどと子機間は有線接続というのもアリだ。この場合、違う部屋にあるファイルサーバーへのアクセス速度も十分に確保できる。

筆者の利用環境で、NASから動画を再生した際の速度を確認したもの。映像ソース次第だが速度が安定しているため、1階/2階との接続でもギガビットイーサに近い体感を得られるものと思われる。なお、Windows 8上からは2.4GHz帯が優先して表示されるようで、接続の種類は802.11nと表示されていた

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