リアルからEC専業まで数多くの企業がしのぎを削る、服や靴などファッション関連のネットサービス。その中で、新しい視点のビジネスが好調だ。ポイントは、「自信のない」人のために、個人に合わせたスタイリングを手伝ってくれる点にある。
EC業界において、ファッション事業はもっとも勢いのある分野の一つ。日本ではZOZOTOWN、米国ではGILTなど、老舗からここ数年のスタートアップまで、数々のベンチャー列伝が生まれている。
仕入れをしないファッション系ECサイトとして、ひそかな人気を呼んでいるのが「bemool」。直接販売をするのではなく、顧客に「似合う」服を女性スタイリストが選んでくれる、ファッションコーディネート代行サービスのサイトだ。サービス内容は、選んだスタイリストが予算内でファッションを提案し、その服や靴などを代行して購入し、配送するというもの。
ただし、スタイリストといっても、テレビに出てくるタレントにつくような、プロのスタイリストではない。読者モデルやアパレルの店員、服飾系専門学校生といった、いわば「ちょっとファッションに詳しい素人」。bemoolでは、この素人による第三者目線でのスタイリングがウリなのだ。
最先端ではなく、リアルな目線の好ファッションを目指す
「最初から狙っていました。もともと男性の『勝負服』を選ぶ、というコンセプトで始めたのですが、他人目線で誰に評価されたいかというと、やはり異性、それもリアルクローズの方がいいだろうと。男性にとって、ファッションはマナーとして普段の生活の中で、ちゃんと似合っていればいいわけで、必ずしもプロの最先端ファッションが着たいわけじゃないと思うんです」。
運営会社のGreen rompの野田貴大社長と増田桂己副社長は、事業の狙いを語る。というのは、必ず返信が来るSNS「Arrow」やゲームなどのキャラクターボイスを低価格で提供する「声師」など、いくつかのウェブ系サービスを手掛けてきたGreen rompにとって、もともとbemoolを始めたきっかけが、野田社長の個人的なニーズだったからだ。