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日本のユーザーも満足できる高画質を追求

LGが語る「スマートテレビってこんなに面白い!」(後編)

2013年06月07日 11時00分更新

文● 広田稔

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日本のニーズに合わせて映画向けモードを追加

── LGは、ワールドワイドでテレビを販売している企業です。日本は世界よりもスマートテレビの普及が遅いイメージもありますが、やっぱりそうなんでしょうか?

土屋 そうですね。一番の違いはビデオオンデマンドで、日本はまだじわじわ浸透している最中なんですが、海外のほうはもう定着しています。サブスクリプションビデオオンデマンド(SVOD)、つまり「hulu」のように月定額で見放題というサービスは欧米が先に始まっていますし。

 そもそも番組を見逃した際にネットで見られる体勢も整えられているので、そういったサービスを利用するためにスマートテレビの普及も早かったんです。日本の場合はまだ欧米ほど普及はしていませんが、面白いコンテンツはYouTubeなどにもたくさんあるので、今後はじわじわと広がっていくんじゃないかと思っています。


── 海外で強い地域はどこですか?

土屋 特に強い地域といわれると、欧州ではスペインやイタリアなどの南欧系、アメリカ大陸では中南米が多い感じです。ちなみにディスプレイサーチ社が発表している市場調査ですと、グローバルではサムスンに次いでシェア2位なんです。


── 海外の量販店ではLGさんのテレビがずらっと並んでますよね。そうした色々な地域のニーズをまとめて製品に落とし込んでいるという感じなんでしょうか?

土屋 いや、最先端の技術を最速でユーザーに届けるのと同時に、ローカライズも重視していて、地域の好みに合わせてきめ細かく作り込むようにしています。日本のユーザーでいえば、画質ですね。

 ハイビジョンの放送は世界でも当然始まっていますが、「1080i」がこれほど普及しているのは日本ぐらいなんです。しかもBSハイビジョンでは1920×1080ドットのフルHDで24時間流している。海外では「720p」で1080iの番組はほとんどない。朝から晩まで、目を見張る高画質のソースが流れてくる状態に慣れたユーザーの目に合わせるために、画質に関しては日本向けにチューニングしています。

 あとは品質やサービスにもきびしい。なので、出荷時にも細かく品質チェックをしていますし、全国でサポートを受けられるようにサービス体勢も整えてます。


── 日本人のニーズも結構吸い上げられているという。

土屋 モノを売るということは、その場所のお客様と向き合って、商品をコツコツとよくしていく活動が基本にあると思うんです。弊社の場合、日本からのフィードバックは本社も重視していて、次の開発に生かしています。ユーザーの声や専門家の意見を聞いて、商品力をどんどん強化していこうという感じです。

 日本ほどテレビの競合他社がひしめいている国はそうそうない。日本のテレビ市場に参入してまだ3年弱ですが、日本のユーザーに認められることが、グローバルでの競争力を高めていくと認識しています。


── 具体的には、どんな機能が日本独自だったりするんでしょうか?

土屋 まずビデオオンデマンドのコンテンツは全然違います。あとは、日本のモデルだけ、映像モードに「シネマ1」と「シネマ2」を用意してます。海外モデルでは「エキスパート1」と「エキスパート2」になっていて、ホームシアターを納入する業者が調整するためのモードになってます。


── 日本は映画の値段が高いから自宅で観る人も多いと聞きます。そういったニーズに対応しているということでしょうか?

土屋 そうです。映画好きに向けて作ったモードで、シネマ1が8000度の色温度、シネマ2は6500度がベースです。ハリウッドの最新作を見るならシネマ1。昨今、過去の超大作をレストアしたBlu-rayディスクが増えてますが、そういった作品ならシネマ2が向いてます。ビデオ収録ベースのものなら「ライブシアター」ですね。


── ASCII.jp的に気になるのはアニメですが、どのモードがいいんでしょうか?

土屋 「ライブシアター」ですね。でもジブリ作品は「シネマ2」のほうが向いているかもしれません(笑)。じつは色味も、見る人の瞳の色が青か黒かでも見え方が変わってくるんです。よく芝生の色が問題になるんですが、アジア向けの緑は若干黄色っぽくしたり、海外向けは赤を入れて紫風にしたりとか。


── すごい。そんな細かなローカライズまで!

土屋 やってますよ。弊社は東品川にLG Electronics Japan Labという研究所があります。研究段階においては私もラボのメンバーと暗室に入って、1日8時間ぐらいずっと映像を見ている。で、「ここの女優さんはこう見えなきゃおかしい!」という議論をずっとやってるんです。


── 安直にグローバルで売ってるものをそのまま持ってきたと考えてましたが、そうじゃないんですね。

土屋 全然違うんです。外観デザインはグローバルで統一してますが、中身は開発ステージに合わせて日本向けにきちんと作り込んでいます。ユーザーはきちんと見てますからね。

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