前編に引き続き、LGエレクトロニクス・ジャパンのスマートテレビについて取材した話をまとめていこう。ITや家電のジャンルでよく言われるのは、日本市場は世界の中でも特に品質にこだわるお客さんが多いということ。その壁があるゆえ、グローバルで成功している外資のメーカーでも日本市場でなかなか浸透できない事態が起こっている。
スマートテレビという新しいジャンルで、日本市場3年目というLGのテレビははたして普及できるのだろうか?
LGのテレビ購入者は45%がネットにつないでいる
── ここ2、3年、ネットではテレビとネットを融合させた「スマートテレビ」という言葉がたびたび注目されています。LGもテレビに「LG Smart TV」と名付けていますが、すべてがスマートテレビなんでしょうか?
土屋 そうなんです。うちのテレビは全部スマートテレビになりますね。テレビ業界でスマートテレビと言えば、ネットワークにつながってアプリが動くものという認識ですが、弊社の場合は、それに加えて前に触れたリラックス、メガコンテンツ、サイズアップというのを加えています。
── スマートテレビというと、日本では携帯電話の主要キャリアが出している外付け機器を使ったものや、アップルが出している「Apple TV」のようなセットトップボックスが思い浮かべられますが、LGではどういった捉え方なのでしょうか?
土屋 われわれが重視しているのは、テレビの画面とユーザーの関係なんです。でも外付けの機器ですと、残念ながらリモコンが「2丁拳銃」になったり、放送とネットコンテンツのシームレスな移動が難しくなってしまう。ソファーでリラックスしてテレビに接しているようなユーザーの姿が理想です。
── テレビをネットにつなぐというと、まだまだ先進的なイメージもありますが、実際どれくらい利用されているものなんでしょうか?
土屋 今年、総務省が発表した資料によれば、日本でネットワークにつながっているテレビは15%程度だそうです。しかし今年2月、弊社のスマートテレビユーザーに関して調べたときは45%でした。これは単にネットにつながっているだけでなく、きちんとデータをやり取りしているユーザーの数値です。
── かなり高いですね。デジタル機器のリテラシーが高い人が好んで買っているということでしょうか?
土屋 いや、ユーザーに関しては、日本のテレビ市場の一般的なユーザー分布と変わらない、ばらけた層が買っているというデータが出ているんです。価格的にも、画面サイズや機能で見ると市場価格からそう離れているわけではないですし、スマートリモコンなどのよさが理解されて、使われているのかなと思っています。
あとは3Dも魅力に感じていただいてるのかもしれません。以前はいろいろなメーカーが店頭で3Dのデモをしてましたが、最近は減ってきました。でも、まだ3Dを体験していない方が大勢いらっしゃるんです。うちは今でも店頭で3Dのデモしていて、「こんなに迫力があったんだ」って驚いていただけています。