Software Definedの未来は?EMC World 2013レポート 第6回
いよいよ登場するEMC初のオールフラッシュアレイの実力とは?
重複排除やスナップショット前提のXtremIOのアーキテクチャ
2013年05月09日 12時00分更新
離陸間近のXtremIOのアーキテクチャーとは?
そして、注目されるのが、正式発表を待つばかりのオールフラッシュストレージ「XtremIO」である。1ブリック(クラスタ)で25万IOPS(読み出し)、4ブリックで100万IOPSというリニアに拡張するパフォーマンスが大きな売りで、現在、限定的に提供されており、顧客のフィードバックを経て、GA(General Availabirity)に至る予定となっている。
ハッサン氏の紹介を受け登壇したXtremIO CTOのロビン・リン氏は、XtremIOアーキテクチャについて解説した。XtremIOは単に速いだけではなく、重複排除、スナップショット、シンプロビジョニング、データ保護などの豊富な機能があらかじめ組み込まれているのが大きな特徴だ。これは過去の制約を一切受けず、フラッシュに最適なアーキテクチャをイチから開発したことで実現したという。
「The Data Is The Address」という説明の通り、XtremIOではデータをすべて4KB単位のブロックに分割し、それらにフィンガープリントを割り当ててフラッシュに格納する。また、ポインタを含む構成情報(メタデータ)はすべてメモリ上で管理する。
こうしたオブジェクトストレージライクなアーキテクチャを持つため、同じフィンガープリントを持つデータはインラインで重複排除できる。一方のデータを破棄し、ポインタのみ保持すればよいからだ。また、同様にスナップショットやボリュームのコピーに関しても、実データを動かさず、ポインタのみを更新すればよい。これにより、容量の節約や高速な書き込みを実現できるほか、書き込み自体が減るため、フラッシュの寿命自体を伸ばすことが可能になるという。
また、XtremIOはスケールアウト性も優れている。XtremIOは2つのコントローラー、1つのフラッシュユニット(DAE)で1つのブリックが構成され、最大8つのブリックまで拡大できる。ブリックが増えると、データとポインタが自動的に複数のブリックで分散される。1つのブリックを分割したような構成になるわけだ。さらに導入もきわめて容易で、ボリュームを作り、マッピングとグループ指定を行なえば、すぐに利用できるという。
ハッサン氏は、EMCのラボ環境やポートフォリオ管理のデータベース環境、DWHのホスティング事業者で先行導入した結果、非常に良好なパフォーマンスが出ていることを報告。さらにハッサン氏は、アクセス頻度の高い「ホットエッジ」をXtremブランドのフラッシュ製品、アーカイブやバックアップなどの「コールドコア」をATMOSやDataDomine、その中間にVMAX/VNX/Isilonなどのハイブリッド型ストレージを配置。これらのストレージをViPRを用いて階層化管理するという全体像を描き、講演を締めた。
ベンチャーや競合ベンダーが次々とオールフラッシュストレージを投入する中、トップベンダーとしてパフォーマンスだけにとどまらない付加価値を提供すべく時間をかけたEMC。市場はもちろん、同社の製品ポートフォリオにどういった影響を与えるか、注目したい。
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