このページの本文へ

Software Definedの未来は?EMC World 2013レポート 第2回

EMC、RSA、Pivotalのエクゼクティブがディスカッション

ポストペイパル世代が切り開くアプリケーションの未来

2013年05月07日 22時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

5月6日からラスベガスのサンズコンベンションセンターにおいて「EMC World 2013」が開催された。初日のGlobal Partner Summitの基調講演では、「新世代アプリケーション」の台頭についてパネルディスカッションを行なわれた。

新世代アプリケーションの台頭でなにが起こるのか?

 今年のEMC Worldは、パートナー向け、SE向けのイベントも併催されており、初日はGlobal Partner Summitの基調講演で行なわれた。この講演内で行なわれたのが、EMC、RSA、Pivotalの3人のエグゼクティブによる新世代アプリケーションの台頭についてのディスカッションだ。

EMC、RSA、Pivotalの3社のエグゼクティブによるディスカッション

 4月にPivotalのCEOに就任したポール・マリッツ氏は、「新しいアプリケーションがゴールデンエイジにさしかかっている」と述べ、新世代アプリケーションが台頭していると指摘した。クラウドやビッグデータを意識したこうした新世代アプリケーションは、現状ではGoogleやFacebookなどが牽引役になっているが、今後は企業も“コンシューマーインターネットジャイアンツ”に学ぶ必要があると説明した。

 こうした新世代アプリケーションは、“ペイパル以降"の若い世代がその成長を担っているという。マリッツ氏は、「われわれの世代は帳票の電子化を進め、それはそれでうまくいってきた。一方で、今の若い世代はよりリアルタイムに情報を見たいというニーズがあり、しかもコンテキストに対して高い要求を持っている」と語る。今後は企業はこうした嗜好を持ったコンシューマーの立場になってITを設計する必要があるという。「単にデータを集めるだけではなく、そのデータを元にどういう行動をとっていくかが重要になる」(マリッツ氏)。

Pivotal CEOのポール・マリッツ氏

 そのためのプラットフォームを展開するのが、マリッツ氏がCEOを務めるPivotalだ。Pivotalはアプリケーションのアジャイル開発やビッグデータプラットフォームを開発するために作られたEMCグループの戦略会社。マリッツ氏は、「Pivotalは小さい会社だが、今回GEが投資してくれることになった。なぜなら彼らは会社の将来が新しいアプリケーションにかかっていると考えているからだ」と述べる。

 また、こうした新世代アプリケーションを支えるデータソースの主体として、今後「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」が拡大していくと指摘。マリッツ氏は、「たとえばボーイング737のログをとると30TBになるという。これを分析できれば、非常に興味深いだろう」という顧客の声を紹介し、IoTのデータに潜在的な価値が眠っていると述べた。

セキュリティリスクとインフラの設計は?

 一方、EMC RSA部門 エグゼクティブチェアマンであるアート・コビエロ氏は、トラスト(信頼性)という観点で、ビッグデータについて意見を述べた。

RSAセキュリティ エグゼクティブチェアマンであるアート・コビエロ氏

 コビエロ氏はモバイルデバイスやソーシャルメディアの普及により、データ自体が脆弱性を持つようになり、BYODの普及で情報漏えいの危険性もますます高くなると指摘。「従来のような境界線(ペリミタ)をベースにしたセキュリティ対策は限界だ。コンシューマー自身からコンシューマを守る必要がある」(コビエロ氏)という状況だ。

 これに対して、RSAセキュリティはビッグデータを活用することで、セキュリティのリスク分析を実現する。コビエロ氏は「パケットとログ解析を組み合わせ、さまざまな攻撃のシグナルを捉えられる唯一の企業だ」と述べる。インテリジェントなビッグデータでアタックを検出。攻撃された後の対応ではなく、事前に対策をもっていくことが可能になる。「たとえば、冷蔵庫と航空機のログではセキュリティ要件も異なってくる。これは課題でもあるが、1つのチャンスでもある」と、今後はデータとセキュリティ要件が同期していくと述べた。

 米EMC プレジデント兼COOのデビッド・ゴールデン氏は、「エンタープライズのワークロードやデータセットが大きくなり、トランザクションの要件も異なってくる」(ゴールデン氏)と、インフラ面での革新について言及した。これに対して、EMCは15億ドルをかけてストレージ分野での研究開発を進めているほか、VMwareではSoftware Defined DataCenterの分野を強化している。「とにかくパートナーには新しい波に乗ってもらおうと考えている。テクノロジーは、つねに先に行きたいと考えている」(ゴールデン氏)。

米EMC プレジデント&COOのデビッド・ゴールデン氏

3人が予想する5年後の未来は?

 パネルディスカッションの後半では、5年先の未来について3人の意見が聞かれた。各氏の描く未来は

 マリッツ氏は、「5年後はユーザーの体験が変わってくる。よりパーソナラザイズされるだろう。銀行、飛行機、保険などサービスの質が変わってくる」と述べる。それとともにビジネスモデルが大きく変わると指摘。「たとえばジェットエンジンは単に製品を納品するだけではなく、使用時間単位で販売するようになっている。今後コンシューマのモデルが産業界に活かされるようになってくるだろう」と説明した。

 また、コビエロ氏は今後爆発的に普及するIoTについて言及。「何百億個のデバイスが攻撃の起点となるかもしれない。人の行動やデバイスのアノマリを検出するのが唯一の方向だ」と述べ、IoTの時代に新しいセキュリティの概念が必要になるという見込みを示した。

 ゴールデン氏は、コンシューマーレベルの変化が企業に波及するという指摘した。「ビジネスモデルが大きく変わると、ITもデータも変わる。バックオフィスだけでなく、フロントオフィスも変わってくる」という大きなチェンジの時代が到来しつつあるとした。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中