GPUというパーツはCPU以上に設計の世代や、ハイエンド・ミドルレンジといったランクの違いでゲームの快適さが露骨に違ってくる。その性能を比較するには実際のゲーム中で「Fraps」などでフレームレート(fps)を実測する方法や、ゲームメーカーが公式に配布しているベンチマークソフトを使う方法がある。
しかしそれでは再現性や最新描画技術の利用に関してはやや不利な面がある。そこで登場するのがFuturemark社の「3DMark」。GPUの性能を語る際に避けては通れない定番中の定番ソフトだ。
当サイトでも新GPUのレビュー記事(関連記事)で3DMarkはガンガン使っているが、スコアの見かたや使い方が今一つ判らない! という人もいるのではなかろうか。
そこで全3回にわたり、3DMarkがどんなベンチで、どういう機能を使って評価しているのかを学んでいきたい。説得力のある“知ったか”になるためのノウハウを身に付けよう!
誰でも試せる3DMark
今年登場した3DMarkは、5月初頭時点でWindows版のほかAndroid用がリリースされ、さらに今後iOS版やWindows RT版にも対応するマルチプラットフォームなソフトに生まれ変わっている。Android版については第3回で触れる予定なので、1回目と2回目はWindows版のみに限定して解説することにしよう。
Windows版3DMarkのシステム要件は以下の通り。OSはVista以降が必須だが、GPUはDirectX9以降であれば動く。ただしこの後説明する“3つのテスト”をすべて実行するにはDirectX11以降のGPUが必須だ。
システム要件 | ||
---|---|---|
構成 | 最小 | 推奨 |
OS | Windows Vista | Windows 7 |
CPU | 1.8GHz以上、2コア | |
メモリー | 2GB | 4GB |
GPU | DirectX9対応 | DirectX11対応 |
ストレージ | 3GB以上 | |
その他 | インターネット接続 |
ちなみに、3DMarkは「Fraps」や「Virtu」のように、GPUの描画処理にフックして何かするタイプの処理と非常に相性が悪い。予め切っておくことをオススメする。
その3DMarkには「Basic」「Advanced」「Professional」の3種類のエディションが用意されている。Basicは無償、Advancedは24.95ドル、Professionalは995ドルの有償版となっている。各エディションの機能の違いは以下の通り。
エディションの違い | |||
---|---|---|---|
エディション | Basic | Advanced | Professional |
3テストの実行 | ○ | ○ | ○ |
特定のテストのみの実行 | × | ○ | ○ |
画質や解像度の変更 | × | ○ | ○ |
テストの回数指定 | × | ○ | ○ |
コマンドライン利用 | × | × | ○ |
Image Quality Toolの利用 | × | × | ○ |
オフラインでの結果表示 | × | × | ○ |
商用利用 | × | × | ○ |
価格 | 無償 | $24.95 | $995.00 |
対象ユーザー | PCビギナー | パワーユーザー | 企業・商用媒体 |
大事なのはBasicエディションを使ってもメインの機能である“3つのテスト”は一通りかつ何回でも回すことができる。しかも必ず性能の評価に関係ないデモシークエンスも毎回上映されるため、OCやGPUの性能比較で繰り返しテストしたい場合には精神衛生的に不向きだ。効率よく評価を行ないたい場合は、有償のAdvancedエディションを入手するのがオススメだ。
最後のProfessional版は雑誌や当サイトのような商業ベースの媒体で使う場合や、企業が検証用として使う場合に導入するものなので、一般ユーザーはスルーして構わない。個人が自分のブログに載せる程度ならAdvancedで十分だろう。
ちなみにAdvancedエディションの入手方法はFuturemarkの直販以外に2種類用意されている。MSIやGALAXY製のビデオカードにバンドルされているほか、洋ゲー好きにはおなじみの「steam」でも販売されている。中でもsteam版はベンチの環境やスコアに応じて“実績”が付くため、ゲーム感覚で挑んでみるのもよいだろう。「CPUを素の状態から50%オーバークロックする」といった歯ごたえのある実績も用意されている。
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