日本のアニメや漫画は、海外だと「anime」「manga」と呼ばれて区別され、通販サイトや小売店では専用コーナーをもうけている店舗もあるほど。たとえばGoogleトレンドで「Disney」「anime」「manga」を比較してみると、人気度の平均指数はそれぞれ「Disney」…82、「anime」…、「manga」…37であり、知名度の高さがうかがえる。
ただ、日本に比べればBDや書籍以外のアニメ・漫画グッズは海外で入手しにくい。そこでアマゾンのマーケットプレイスを使った海外向け出品が増えている。日本のオタクグッズは海外では高値で取引される場合があるからだ。
たとえば、ワンピースのフィギュア「DOOR PAINTING COLLECTION FIGURE モンキー・D・ルフィ アニマルver」は、日本のアマゾンでは5950円。しかし米国のAmazon.comでの販売価格は94.49ドル(約9400円)となっている。もちろんマーケットプレイス価格なので、実際に売れるかどうかは不明だが、品数は多く個人の出品者も多い。
こうした日本製アニメ・漫画の個人ビジネスが、アマゾンで行いやすい環境が整いつつある。そのひとつが今年公開されたKindle向け電子コミック作成ツール「Kindle Comic Creator」だ。おもに漫画やグラフィックノベルに特化したツールで、日本語化もされている。
在庫リスクゼロで紙の本を出版・販売できる仕組みもできた。それが「Amazonプリント・オン・デマンド(POD)」だ。PODでは、注文ごとに本を印刷するため、在庫を抱える必要がなく、絶版もないため、ニッチな分野の書籍でも安心して販売できるというもの。PODの代行業者もあり、たとえば「MyISBN」では、原稿をアップロードするだけで、出版に必要なほかの作業は、ほぼ全て行ってくれる。
ただ、電子書籍の自費出版の場合は、ロイヤリティが基本は35%。昨年末にロイヤリティ70%を選べるようにはなったが、適用されるのは日本・インド・ブラジルのみ。また通信コストの負担も必要になり、配信コストは日本では1円/MB、アメリカは0.15米ドル/MB、インドは0.12米ドル/MBとなって、販売価格によってはロイヤリティ0になる場合も。
オリジナルコンテンツの販売となると、また勝手は異なるものの、こうした仕組みを利用して、ネットを使ったグローバルな同人即売会のようなものが開催されるようになると、海外ファンの楽しみは広がり、ビジネスチャンスも生まれるかもしれない。
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『Amazon』翌日配達を発想する「利益無視」経営
「Amazonは今や単なる「便利なオンライン書店」ではない。1995年に創業したベンチャー企業は小売業の枠を超え、物流サービス、クラウドサービスも提供する売上高5兆円以上の巨大企業ら成長。「価格破壊」を武器にオンラインからオフラインまで業界を問わず成長しつつある。アマゾンはなぜ急成長できたのか? 迎え撃つ日本企業の動向にも迫った。