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最新Ethernetの標準化を米デルのエバンジェリストが語る

市場重視に移行したEthernetが目指す400GbEへの道

2013年04月10日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月9日、デルはEthernetに関する説明会を開催した。IEEE802.3委員会で標準化作業に携わっている米デルのチーフ・イーサネット・エバンジェリストがEthernetの最新動向や発足したばかりの400GbE(400Gbps Ethernet)の取り組みについて説明した。

ツイストペアの40GbEや車載や産業系も検討中

 今回、講演を行なった米デルのジョン・ダンブロシア氏は、Ethernetの標準化を手がけるIEEE802.3委員会や業界団体であるEthernet Allianceで要職を務め、議長として40GbEや100GbEなどの標準化にも大きく関わった人物だ。ダンブロシア氏は、今回のIEEE標準化や関連製品に関する見解がEthernet Allianceを代表するものではないことを断った上で、まずはEthernetの最新動向について説明した。

米デル CTOオフィス チーフ・イーサネット・エバンジェリスト ジョン・ダンブロシア氏

 誕生から40年もの歴史を経て、LAN以外の幅広い領域で用いられるようになったEthernetだが、伝送速度がギガビットを超えたあたりから規格が多様化し、複雑になっている。「1つの規格だけで600~700ページの仕様書になっている。チップやバックプレーンも規格化されているほか、伝送距離や使用するメディアによって物理レイヤーも多様化している」(ダンブロシア氏)のが現状だ。一方、高速化を進める過程で、物理的な制約の影響を受け、リーチ(伝送距離)がどんどん短くなっているのも昨今の傾向。特にMMF(MultiMode Fiber)やツイストペアケーブルでのリーチは短くなる傾向にあり、それにともなって安定した伝送能力を誇るSMF(Single Mode Fiber)の適用領域が拡がっているという。

メディアごとのEthernetの伝送レートと距離を表した図

 また、同じ伝送速度でも数多くの物理レイヤー仕様が策定されるようになっているのも大きな特徴。たとえば、IEEE802.3ではすでに40GbEや100GbEの仕様を策定済みだが、WDM(光波長多重)ではなく、SMFで最大2kmのシリアル伝送を行なう40GBASE-FRはあとから追加された規格だ。また、10Gbps単位ではなく、25Gbps単位でのデータレートでパラレル伝送を行なう100GbEやツイストペアの40GbEも策定中。「同じコネクタで長く使い続けられるRJ-45にはファンも多いが、40GbEのハードルは高い」(ダンブロシア氏)とのことだが、密度とパフォーマンスを満たす規格の策定にチャレンジしているという。

 最近のIEEE 802.3委員会も同様の方向性で、さまざまなメディアで伝送能力を高めるという従来型のタスクフォースだけではなく、EPONやPoEの拡張、産業用や車載用など用途に合わせた規格の標準化が進められているという。ダンブロシア氏が期待しているのが、2019年に3億ポートの出荷が見込まれる車載用のEthernet(RTPGE PHY)や人気の高いツイストペアケーブルでの40GbEの規格化だという。

最新のIEEE802.3での動き

ニーズの多様化についていけなかった2006年

 現状、企業においては10GbEが急速に普及している状況。10GbEのサーバーアダプタやLOMの出荷数は年率50%で成長を遂げており、特にツイストペアケーブルを用いる10GBASE-Tは急速な伸びを示しているとのこと。ダンブロシア氏は調査会社の資料を基に「2006年から急速に伸びており、特に2011年から2012年では800%の伸びを実現した」と紹介した。今後は40GbEのアダプターやLOMの搭載も増え、デルのサーバーでもいち早くQSFPのインターフェイスを搭載していると紹介した。

10GbEのサーバーでの搭載状況

 このように順風満帆に成長を続けてきたように見えるEthernetだが、10GbEが誕生した2006年頃にいったん踊り場にさしかかり、市場拡大にストップがかかったという。Ethernetの適用領域が急速に拡大したのにも関わらず、端末台数の増加やトラフィックの伸びを予想できず、さまざまなトラフィックのニーズに応えられなかったのだ。ダンブロシア氏は、「当時はあくまで出荷ポート数で評価されていた。だから、スピードが出ない代わりに付加価値が高いというのは評価されなかった」(ダンブロシア氏)とのことで、伝送能力至上主義により、限界に突き当たったことが原因と分析した。

 この反省を受け、IEEE802.3委員会でもスピードのみを追求するのではなく、前述の通り、ユーザーのニーズの満たすさまざまな規格が用意されるようになった。10GbEオーバーの規格として、データセンター向けの40GbEと通信事業者向けの100GbEの2つが用意されたのは、その典型例といえる。さらに最近のIEEE802.3委員会では市場調査や需要予想などのBWA(Bandwidth Assessment)を実施。既存のIPトラフィックや構内ネットワークのみならず、ピアリング、ケーブル、サーバーI/O、科学演算や金融分野などの短期予測を行なうことで、さまざまな業界や用途でのニーズを確実にカバーできるようにしているという。

(次ページ、できたてほやほやの400GbE Study Group)


 

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