米国のソルトレイクシティーで開催された「Adobe Digital Marketing Summit 2013」。基調講演の模様(記事はこちら)に引き続き、唯一日本の事例を示した楽天のセッションをリポートする。満員の聴講者を前に、流暢な英語と落ち着いた身振りで、同社におけるウェブアクセス解析の活用状況や社内教育の考え方など、1時間にわたって披露した。
楽天は’06年から「Adobe SiteCatalyst」を使ってデジタルマーケティングの解析を始めた。40以上ものウェブサイトを抱えている同社は、そこから30億のヒットを解析してビジネスに生かしているのだ。常に仮説を立てて評価する考え方を貫しており、買収した企業のウェブサイトやウェブ解析の成熟度が低い場合は、アプローチを変えて対応している。
「楽天が目指しているのは、自動販売機でものを買うような体験ではなく、売り場でものを見て触わって買えるような体験。そのためには最低限の情報だけではなく感情が必要だ」と、ウェブサイトのページ構成について説明。
実際にフォアグラを販売する2つの例を出して、感情に訴えるページ構成が数字に反映されていることを解説したうえで、楽天のページ構成には確かな理由があることを強調した。
今後は過去の情報を分析するだけでなく、予測できるデジタルマーケティングの導入に意欲を持っていると明かす。楽天IDをベースにしたペルソナやグループサイトのデータなどを活用し、より効果的かつ科学的なアクセス解析とビジネスへの応用を視野に入れて「来年のサミットでは、その辺りを説明したい」と意気込みを語った。
また、カンファレンスの参加者のほぼ全員が参加した最後のジェネラルセッションでも、デルやレノボ、NBC、サウスウエスト航空などと並んで楽天が継続してベータ版のテスト、製品へのフィードバックをアドビと協力して行なっていることが確認できた。
楽天はウェブサイトを科学的に活用し、常にビジネスで先手を打っている。ウェブサイトを戦略的に活用したい企業は、デジタルマーケティングの重要性を認識したほうがいいだろう。