PRADA Phoneもびっくり!?
57万円のスマートフォン
スマートフォンでは深センにある「VEB」というメーカーの端末がバブリープライスだ。VEBがリリースする「V2」は「世界で最も安全なスマートフォン」をうたう。その言葉に偽りはなく「防水、防塵、加えて爆発にも耐え」「ハードウェアによる暗号化と、盗聴防止ソフトインストールで対情報漏洩も安全」というのが特徴。
さらに「防水だから水でウイルスも洗い落とせて、しかも電磁波も世界最少で健康にも安全」「アプリマーケットも自前で用意したため安全」「2年間の無料修理と購入店での丁寧安心サービスでサポートも安全」そして「直営店(中国で3店舗)や直営サイトでの販売で詐欺に遭わず安全」と、安全ずくしのスマートフォンである。
CPUに「Snapdragon MSM8255」(1.4GHz)、OSにAndroid 2.3.6を搭載し、外装素材に18金を採用するモデルの価格はなんと37999元、日本円にして57万円である。
液晶テレビは70V型超の大画面化が進む……
でも、そんなバブリーな製品が売れているのか?
テレビにおいては、今年のInternational CES 2013で中国企業が目立ったように、70~80V型クラスの大画面液晶テレビを「創維(Skyworth)」「長虹(ChangHong)」「康佳(Konka)」といった中国メーカーが日本円にして100万円以上の価格帯で発売している。
これらメーカーは大画面だけでなく、自社製タブレットによるテレビとの融合のソリューションや、体感ゲーム機能などさまざまなオプション製品を発売しているものの、反応は薄い。
はたして今回紹介したバブリーな製品は、誰が買うのだろうか。ショップでしばらく待機してウォッチしていたところで、誰かが買う瞬間を見ることはそうそうないし、こういった製品を買ったという話を聞いたこともない。
さまざまな方法で調べてみると、レノボのIdeaCenter A720は「子供の教育のために買う富豪」や「芸術品にもなるPCに反応する富豪」をターゲットにしているという。
ハイアールのキーボード同梱PCも同様の層をターゲットにしていそうだ。これらは中国においてはスネ夫御用達製品と言えるだろう。
大画面液晶テレビに関しては、65V型クラスの製品が政府や学校で購入されているのを各地で確認できる。50万円越えのVEBは、中国人の多くが知る「メンツのために贅沢品を消費したい」というステレオタイプな金持ちをターゲットにしているのだろう。
今後まだまだ中国でメーカー各社が元気であれば、変わった富豪向け製品も出てくるのではなかろうか。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。
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