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CGMから「感情」の動きを数式化! 大ヒットの方程式とは何?

2012年12月17日 12時00分更新

文● 美和正臣

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選挙は悪口が多いと当選しやすい?

――著書には、吉田就彦さんの著書「ヒット学」を読まれたときに、この数式を思いついたと書かれていますが、瞬間的に「これは行ける!」と思いついたわけですか?

そうです。

――それはどういう瞬間に分かるものなんですか? 数学的な素養がない人間からするとものすごく不思議でしょうがないわけですよ。

似たような現象の解析を自然科学でやっていて、それを思いつくみたいな感じです。この現象はコレに似ているなと思った瞬間に社会の人間が全部原子になっているわけです。原子と思ってやると、これは結構いけるんじゃない? みたいな感じで出てきました。

――なるほど。ところで、先ほどAKBの総選挙の話がでてきましたが、それを聞いて思い出したのがネイト・シルバーです。

ああ、全米50州の選挙結果を当てたという。

――彼の場合、Ttwitterとかそういったデータは入っていなくて、世論調査のデータを重み付けして計算して予想しているらしいのですが、AKBの総選挙と同じように、実はこの数式を使えば国政選挙の結果も予想できるわけですか?

できますよ。今も学生がやっています。

――(取材時は解散前だったため)もうすぐ選挙ですよね。今回の選挙は実証結果を積み上げるにはうってつけの例になりますよね。

ただ問題もあって、やるのに多少手間がかかるというのと、書き込んでくれない場合が多いんです。例えば、あまり情報化されていないような県だと、そもそも候補者へ言及した書き込みがないとかね。選挙場合は浮動票の人がBlogなどで書くわけで、組織票に属する人は数値が出ないわけです。

――なるほど、確かにそうですよね。「オレ、組合から言われて、Aっていう候補に入れるんだぁ」という人は、まずもって見かけませんね。

東京とか大阪だと浮動票が非常に多いので、予測はできると思うのですが、ほとんどが固定の組織票だと多分無理でしょうね。

――そのサンプルを扱うときには、ネガティブかポジティブか、PN判定をすることになるとは思いますが、選挙はどちらを扱うわけですか?

映画の場合はほとんどの人が「行く」というポジティブな書き込みが多いのですけど、選挙のはある意味逆で、言葉で選ぶ必要はないですね。なぜなら悪口しかないから(笑)。政治家について誉めて書く人はほとんどいないわけです。ほとんどが悪口。ただ悪口が多いということは、それと同じくらいの割合でポジティブに関心を持っている人も多い。過去の選挙結果を見ると、悪口ばかりなのだけど、悪口の書き込みで非常に盛り上がりのある人は当選するんです。

橋下大阪市長の市長選の際の様子

――えーっ! そうなんですか! 以前、Blogで橋下vs平松の選挙のことを書かれていましたが、あれの時はどういう感じだったんですか?

実はどの要素も橋下さんが圧倒的で、実は研究対象としてあまりおもしろくなかったんです。勝って当たり前というね(笑)。ほとんど平松さんに勝てる要素はなかったですね。

――全然だめだったんですか。

先ほど見せたAKBのものと同じで、グラフのピークを揃えて、翌日、翌々日の減り方を見ると、橋下さんのほうが非常に反応が良かったですね。

――それは公示日が基準ですか?

公示日の前と後かなり範囲を広げてです。公示日に入ってしまうと発言が減ってしまうので、かなりデータを取りにくい部分があります。実は同じ大阪の選挙で2010年の参議院選挙の大阪地方のものを調べたのですけど、あちらのほうが結構おもしろかったですね。有力候補が4人いて、そのうち落ちた1人が岡部まりさんというタレントの方だったのですが、実は書き込みの量は岡部まりさんが圧倒的に多いわけです。ところが岡部まりさんの書き込みのパターンというのは、映画のパターンで言うと宇宙兄弟のパターンでした。

――ピークからスパーンと落ちるわけですか?

そう。他のプロの政治家の3人は書き込みの量は圧倒的に少ないのだけど、減衰が弱いんです。その分政策が人の心に届いて、ちゃんと議論になるから悪口なりにちゃんと書き込みがある。同じ元タレントの候補でも、蓮舫さんは全然違っていて、書き込みは圧倒的に多いのですけど減り方も非常に少なかった。減衰がゆっくりだったので、首位当選でしたよね。同じタレント議員で名前も売れていて、美貌は似たり寄ったりだとは思うのですけど(笑)、そこが違ったわけです。多分、岡部まりさんは、政策のアピールがうまくいかなかったんでしょうね。

――出馬するかどうかは分かりませんが、2016年に蓮舫議員は参議院選があるじゃないですか。

出馬の是非とかあれば、意外と盛り上がるかもしれません。一般にそれまでの発言を巡っての是非で論争が巻き起こってしまうと、多分候補者の宣伝となってしまうので、良い得票が見込めるでしょうね。もちろん決定的に悪いのはダメですよ。スキャンダルとか公金横領とかね。そういうのがあれば別ですが、そうではない政治姿勢の論争であれば多分盛り上がりますよね。

――この数式がいろいろな分野で使えるということは分かったのですが、先生自身はどういったところに役立てたいと思っていますか?

私は物理学者というところがあるので、そもそもこれで人の心というか、社会の動きを表せるということ自体に興味があります。どこまでこれが使えるのだろうと。その副産物として、マーケティングに使えるだとか、選挙に使えるだとか、何かそういうものがあればもちろん嬉しいですね。

――なるほど、この数式が広く使われ、「石井の社会運動公式」なんて名前で後世の教科書に載るのを楽しみにしています。

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