インドでは地場タブレットが人気
インドでは電話線のインフラが貧弱で、2G、3Gによる無線インターネットが注目されている。
そんな中、今年になって学生向けの安価なタブレットがさまざまなメーカーから発売され、今年の4~6月に前年同期比673%増の50万台が販売された(CyberMedia調べ)。
母数こそ少ないが、その中で地場のインドMicromax社のタブレットがiPadやGALAXYシリーズをおさえてトップシェアとなった。実用性と価格で買われたわけだ。今回の発表においても反応は薄く、iPad miniが売れるかというと、今まで通り地味に売れていきそうだ。
タブレットは中国でも人気!
中国は経済的に豊かなこともあり、タブレットは7~9月の3ヵ月間にインドの5倍にあたる260万4000台を販売。ビジネスや学習用途でタブレットが買われるインドに対し、中国ではタブレットは主にゲームや動画などの遊びで使われる。
加えて過去の記事でも書いたが、中国のマカーはブランド力に魅力を持っている。平たく言えばメンツ目当てで買っているわけだ。実際、アジア各地の町歩きをしても、中国の地方都市を含めた都市部は、他国と比べ多くのApple代理店を見かけ、Apple製品のニーズを感じるところ。
面白いことにAndroidユーザーのほうが知識があるユーザーが多い傾向がある。例えば北京上海の街中で「NFCとは何か」とインタビューしてみれば、iPhoneユーザーはほぼ全員分からず、一部のAndroidユーザーは回答できるといった具合だ。
発売日のニュースのとき、中国大手メディアの発表会関連の記事のPVは日本の記事よりも一桁も二桁も低く、発表会の段階で興味を持つ人は日本人よりもずっと少なかったことも、中国のApple製品購入者の多くが新製品情報に興味を持っていないことを示している。
中国本土では未だにiPhone 5が発売されておらず、好きな人は香港から輸入している。だがその相場は都市住民の数ヵ月分である約9万円とまだまだあまりに高く、様子見のようだ。
iPad miniは素人が見ても既存の製品と見た目(サイズ)がはっきり違う。初動の段階で大枚を払って買う人もいるが、本当に売れるかどうかはブランドアイテムとして認識されるかどうかにかかっている。iPad miniの輸入価格と得られるステータスが釣り合えば売れるようになるというわけだ。
中国では99ドルのiPad miniモドキが登場
さて、Appleの発表から24時間経たずして、iPad miniモドキのニセモノが中国で発表された。中国でそっくりな製品が発表されるということはiPad miniが注目商品である証。短時間に発表するのはノンブランド製品「山寨機」メーカーが売れると踏んだのと、メイドインチャイナの山寨機のモノ作り力をアピールするのと両方の狙いがあると言われている。
名もない工場からリリースされる山寨機だけに本当に出るかどうかはメーカーのみぞ知るところだが、スペックについては「XGA(1024×768)表示可能な8型モニター」「1.4GHzのデュアルコアCPU、1GB RAM, 8GBメモリー」「200万画素リアカメラ + 30万画素フロントカメラ」「Android 4.1+iOSテーマ」搭載で、かつアルミニウムボディで99ドルと予告。
同スペックのアルミニウムでないシンプルなAndroid4.1搭載タブレットであれば、中国ですでに5000円程度で買えることもあり、99ドルでのリリースは現実的だ。この手のモノは初動ではモノ好きが買う傾向にあるが、売れるかといえば、さらに安い非アルミニウムボディーの製品に走るように思う。
インドの店頭にiPad miniモドキが並ぶ?
インドの電脳街では、既に中国の有象無象のノンブランドタブレットが流通しているほか、インドメーカーの製品についても「中身は中国製」と認知されている。
全般的に中国製の評判は悪いが携帯電話しかり、タブレットしかり意外やそれほど中国製らしき製品購入に抵抗を持っていない。やがてiPad miniモドキがインドの電脳街に流通する日もくるかもしれない。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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