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最新ユーザー事例探求 第26回

情報システムの実績を元に今後は基幹系システムも

誤検知は皆無!ミズノはサイト監視に「HP SiteScope」を活用

2012年10月30日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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「狼少年」的なシステム監視ツールにさよならを

 2002年からスタートさせたサーバー監視だが、2010年にはこれらの監視ツールの乗り換えを検討することになった。乗り換えを検討するようになった背景には、旧製品では誤検知が多く、設定が難しいという点があったようだ。山田氏は、「実際にはサービスは動いているのに、ダウンしているという通知が来たり、アラートがあまり多いので無視していたら、実際はサービスが止まっていたこともありました。言うなら狼少年のようなツールでした」と語る。また、しきい値を特定インシデントの回数ではなく、割合(%)で設定しなければならなかったという。同社は検索失敗の回数でしきい値を設定していたが、監視開始直後に一回でも検索失敗が起こると、おのずと失敗の割合が高いと算出してしまう仕様だったという。「バージョンアップも検討したのですが、やはり投資対効果にあわないと判断し、別の製品の導入を検討し始めました」(山田氏)。こうした検討の結果として、2011年12月に導入されたのが「HP SiteScope」になる。

 HP SiteScopeは旧マーキュリー・インタラクティブから長い歴史を持つサーバー監視ツールで、現在は製品名の通り、「HP Software」のラインナップの1つとなっている。HP SiteScopeでは、70以上のモニタリング機能を持ち、サーバーやネットワークだけでなく、幅広いアプリケーションやデータベースの監視が行なえる。最大の特徴は、エージェントが不要なこと。監視対象のサーバーの動作に影響を与えることなく、簡単に監視をスタートできる。

 ミズノがHP SiteScopeを選定した理由の1つも、やはりエージェントレスである点だ。山田氏は、「以前のツールはエージェントが必要だったので、20台のサーバーに対してインストールし、正常動作させておかなければならない。HP SiteScopeではエージェントが必要ないですし、リソースを食うことがありません」と語る。

ページの遷移を登録し、障害等を調べるURL シーケンスモニター

 もう1つの選定理由は、Webサイトの監視を非常に正確に行なえるという点だ。ある意味当たり前ともいえるのだが、従来のツールではそれがきちんとできず、運用に苦労していたため、特に重視したポイントだという。山田氏は、「障害の発生率ではなく、1回ごとに成功なのか、失敗なのかを検出してくれます」と評価。さらに監視対象ごとに「ポイント」を利用する独自のライセンス制も、無駄のない導入に寄与しているという。「(サーバー単位ではなく)監視対象分のポイントを購入すればよいので、ユーザーも納得して買えますね」(山田氏)。

基幹系システムの監視までHP SiteScopeで

 こうしたミズノへのHP SiteScope導入を手がけたのが、Check Point製品をはじめセキュリティソリューションを数多く取り扱うアズジェントである。アズジェントは、マーキュリー時代以前からHP SiteScopeを扱っており、国内でも高い実績を誇る。

 こうしたツールの導入に際しては、通常ベンダーからマニュアルを渡されて、ユーザー自身が設定するということは多いが、アズジェントからは監視内容の記載を求められたという。「正直ちょっと面倒だったのですが、そのシートを元にアズジェントさんはミズノが必要とする監視とHP SiteScopeでの監視モデルを、きちんとマッチングさせてくれたんです。こういうサポートは非常に助かりましたね」(山田氏)。また、Webサイト監視でページ遷移の情報を登録するための独特の記述もアズジェント側で支援を行なったことで、スムースに導入できたという。

 現在、ミズノでは前述した販売店サイトや別注サイトのほか、業務システムなど20サーバー程度を、HP SiteScopeで監視している。Webサイトの稼働状態はもちろん、業務システムではファイル転送や夜間処理など定期的に動作確認し、メールで通知するように設定している。エラーの通知に加え、パトライトを使い、オペレーターに検知を知らせるようにしている。

ミズノでのSiteScopeの利用

 複雑なページ遷移に関しても、HP SiteScopeでは確実に動作を確認できる。たとえば、ユニフォームなどの別注サイトなどは、サイズや色、形はもちろん、ロゴの大きさや位置など、袖口の配色、ラインの数など、カスタマイズのパターンが非常に多いという。しかも、毎年部材が入れ替わるので、パターン自体が大きく変わってしまう。とはいえ、顧客の操作の通り、ページが正しく表示され、最後きちんと注文に至るかどうかを手作業で調べるのは難しい。しかし、HP SiteScopeであれば、こうした複雑なページ遷移もきちんとフォローできるという。

 山田氏はHP SiteScopeの導入効果について、「テストや実際に使ってみての感想になるのですが、誤検知もまったくないですし、問題なく動いている。動かないときはきちんとアラートが飛んできます。やりたかった監視をまさに実現できていますね」と語る。また、導入を担当したアズジェントに関しても、「レスポンスも速いですし、的外れの解答もありません。設定のコンサルティングも的確ですし、信頼しています」と、高い評価を得ている。総じて、高い投資対効果を得たシステムとして情報システムの信頼を勝ち得ているわけだ。

 そして、こうした高い評価を受けて持ち上がってきたのが、2012年度中の移行を進めている基幹システムにおいても、このHP SiteScopeを使おうという計画だ。「基幹系もオープン系になれば、やはり監視が必要になります。そこで何を使うか。情報システム部としては、HP SiteScopeということで答えは出ています」と山田氏は語る。情報系システムでの実績を元に、基幹系システムまでカバーするHP SiteScope。ミズノの情報システムの守り神として、安定運用に大きく寄与している。

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