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T教授の「戦略的衝動買い」 第214回

あふれるパスワード管理に嫌気がさしてMIRUPASSを衝動買い

2012年10月17日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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ややこしいだけの企業システムでの
パスワード管理にも有用

実際にMIRUPASSで生成した、8桁のブレークし辛いパスワードのサンプル

 一番困るのは、オンプレミス(自社運用)な企業独自の情報システム系の難解なパスワードだろう。筆者もこの手のパスワードでは何十年も悩まされ続けてきた。極めてパスワード選定に関しての制限が厳しく、アルファベットの大文字・小文字、数字のミックスは当然で、辞書に載ってる単語はほとんど不可。パスワード自体の意味は不明でも、キーボード上の指の動きがある程度パターン化した文字列も不可という状況だ。

 こうした一見隙はまったくなさそうで、実はいろいろ問題がある大企業の業務システムのパスワードにも、MIRUPASSが備えるパスワード生成機能が大活躍する。数字、英字(小文字、大文字)、記号の4種の文字の中から希望の文字種を目一杯使って生成されるパスワードは、決して血の通った人間が記憶できる類のものではない。MIRUPASSの独壇場になるだろう。MIRUPASSオーナーは、生成された過去のパスワードとは似ても似つかぬ極めて覚えにくいパスワードを、社内のクライアントから入力するだけですむ。

アカウントは最大200件まで登録可能で、グループで絞り込み、スクロールキーをタップすることで、目的のアカウントを順次探す仕組み

パスワード自動生成機能もあり、数字/英字(大小文字)/記号の任意の組み合わせで、実用的ではないが最大32文字までの、暗号のように長いパスワードでも生成できる

 企業サーバーから月初めになると一方的に割り振ってくる、選択の余地すらないパスワードに対しても、MIRUPASSは強力だ。社内のクライアントシステムのディスプレーに一方的に表示された、血も涙もない機械的な英数字の羅列である新パスワードを、静かにMIRUPASSに入力するだけで万事解決だ。

 MIRUPASSはテプラやショットノートなど、生産性の向上を具現化する商品を発売しているキングジムが、DNAをまったく異にするアンタチャブルな領域に進出した異分子的「機密管理ビジネス」商品である。

 普通、「パスワードマネージャー」といった商品なら、セキュリティーに対する自社の哲学や多重のプロテクトの堅固さ、安心を守る組み込みソフトウエアの優秀さや特許、経験や歴史、大学の先生のお墨付きといった御託を、ウェブやパンフレットで延々と述べるのが普通だ。だがMIRUPASSは、従来のセキュリティー商品とは立ち位置を異にしているようだ。

 MIRUPASSの製品情報ページには、「本製品に登録したデータは、長期的・永久的に保存することはできません。本製品の故障、修理、検査、電池消耗などに起因するデータの損失および逸失利益につきましては、当社では一切その責任を負いかねますのであらかじめご了承ください」という、極めてスッキリとした宣言がある。

 しかし、これは多少の表現の差こそあれ、企業向けの大げさな機密管理システムを販売している企業も、ほぼ同じような台詞を並べている。極めて重要なパスワード管理、しかし所詮「たかがパスワード管理」なのだ。鉄壁の守りが自慢の金融システムは外部からのハックには極めて強いかもしれないが、内部犯罪は昔も今も後を絶たない。

 結局、セキュリティービジネスで一番重要なことは、「情報リテラシーの理解」と「妥当なセキュリティー・ポリシーの策定」、そして最後は「On Your Duty」(自分自身の義務)につきる。100%の万全はないのだ。パスワードの運用管理は、企業や個人、公私を問わず、現代人が決して避けては通れない仕組みなのだ。「使いやすさ・便利さ」と「厳密な機密管理」の間で右往左往する機密管理ビジネスは、すでに巨大な市場を形成している。MIRUPASSは個人が選択できるパスワード管理の、有力な選択候補のひとつであることは間違いないだろう。

片手にすっぽり入り、低価格なパスワードマネージャー「MIRUPASS」は、パスワードの使い回し習慣とサーバーのセキュリティーシステムが満足するユニークなパスワード生成装置としても十分な価値があるだろう

T教授

今回の衝動買い

アイテム:パスワードマネージャー「ミルパス」
価格:Amazonにて3800円で購入

T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
 T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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