レノボ・ジャパンが29日に発表した「ThinkPad X1 Carbon」は、レノボ自身が“第5世代”と呼ぶ、新時代のThinkPadを体現する1台だ。
同社取締役副社長の内藤在正氏は「ThinkPad X1 Carbonはこれからの20年を担っていく最初の製品。第5世代ThinkPadの第1弾となる」とした。1992年に登場し、今年20周年を迎えるThinkPadには、過去何度か、設計上の大きな転機があった。
「2005年に一度、ThinkPadの再定義が必要だと主張したことがある。愛してもらったところを守るだけが伝統なのか。新しくThinkPadのユーザーになる人の意見を取り入れるべきタイミングだった。ただこの時期はIBMのパソコン事業がレノボへ移行する時期と重なっていた。変わったということが、これと混同して捉えられては困る。そこで、ThinkPadは“レガシー”に重点を置いた」(内藤氏)
2005年は内藤氏の区分によれば第3世代ThinkPadに着手した年に当たる(関連記事)。ちょうどインテルのデュアルコアプロセッサーがパソコンに搭載され始めた時期で、ノートパソコンでも、消費電力に苦しまず、高い性能を実現できる条件が揃うタイミングだった。
2010年には第4世代ThinkPadを象徴する存在である「ThinkPad Edge」が登場。旧来のThinkPadを「Classic」と呼んで区別し、6段配列のアイソレーション・キーボードやカラーバリエーション展開など、新しいThinkPadのイメージを作った。
さらに2011年にはClassicカテゴリーに属しながら、薄型筺体・6段配列などスタイリッシュさを前面に打ち出した「ThinkPad X1」、2012年にはすべてのモデルで伝統の7段配列が消えるなど、ThinkPadの哲学も時代に合わせた変化の途上にある。
20年かけてThinkPadが体現したのは“変えないことの価値”だが、今後問われるのは“変わることの意味”だろう。20年先を目指した変革の端緒を切るのがX1 Carbonであり、第5世代ThinkPadなのだ。