世界中のクリエイターたちを羽ばたかせるハブになりたい
佐々木 あと、アースさんは最近の初音ミクファンの相性がすごく良かったんだと思うんです。(初音ミクのファンは)国内でも15~16歳の女の子というのがボリュームゾーンなんですね。その上は割と、グラフで言うと沈んでる感じなんです。海外に行くとその上はもういないんです。22歳くらいの女の子で、あとはスパーンと落ちる。15~16歳くらいの女の子がYouTubeとかで日本の初音ミクのシーンを見て、という感じなので。なのでアースさんがやっているような女の子は、すごく伝播しやすいところにあったと思います。
―― 日本にいても初音ミクがグローバル化しているという感覚はありますか。
佐々木 ビジュアル面で言うと、pixivの広がりが強いですよね。イラストに言葉の壁はないし。(初音ミクのイラストを)投稿されている方も多いので、ときどき勉強しようと思って見ているんですが、ここ数年は、どんどん個性的な海外の作家さんが出てきてますよね。気になってお声がけしたら、「日本語は分からないけどお仕事をしてみたい」と言っていただくことも多いですし。ただ、海外の方とお仕事するときの契約をどうしたらいいかとか、振込はPayPalを使わなきゃとか、そうした部分も含めて、どの作家さんにどういう仕事をどういうペースでお願いするかというのはかなり悩みながら進めています。
―― 前回の取材で、今回の「ジャパンレーベル」は海外展開もしていくというお話でした。海外のイラストレーターの方ともお仕事を……となるとまさにそこですね。
秋元 はい。まずは台湾でアースがやっているお店が17店舗あるので、そこで展開していきます。まずは日本国内のイラストレーターさん、そして受け入れられるようであれば現地のイラストレーターさんたちと一緒に展開していければと思っています。
―― 実際、雨さんは既にアメリカでお仕事をされてるわけですもんね。
雨 はい。3ヵ月だけの予定なんですけど、アメリカで。新規で依頼が来たときお会いできないのは申し訳ないと思うんですが、(仕事は)できました。Skypeもあるし※。
鈴木 今回のポストカードも、深夜にチャットでお願いして描いてもらってて……。
※ このインタビューもSkypeチャットでアメリカから参加してもらった
―― 深夜に(笑)。海外もそうなんですが、そういうアクションの軽さがネット的だなと思います。ボカロPのPhasmaさんに曲を書いてもらったり、アイドルの夢眠ねむちゃんとちゃもーいさんの対談を企画したり、なんでもやってますよね。
秋元 クロスカンパニー自体は「そっちの畑にお伺いする」立場なので、そっちの文化やコンテキストにあわせた仕事の仕方をしましょうと。マスファッションとかの文脈からしたら「プリントしましょう」で終わりですけど、そういうプロダクトアウト的な感じではなく。
ボカロPのPhasmaさんには雨さんのイラストをもとにイメージトラックを制作してもらっている |
―― お祭りの中に屋台を出すような感覚といったらいいですかね。
鈴木 だからボーマスにも出展するんですよ!(関連記事)
―― なるほど!(笑)
秋元 ジャパンレーベル自体が、モデルであり歌手でありアーティストの初音ミクとearth music&ecologyのつなぎになる架け橋みたいなレーベルなんですね。それは別にイラストレーターさんだけじゃなくて、音楽を作る人でも架け橋になることはできる。クリエイターの人たちがいて成立するブランドになっているので、そういう人たちを支援したり、コラボすることで、誰も損をしない仕組みが作れればと。
―― 作家、とくに日本人は、職人としての腕前は高くても、あまり外部とコミュニケーションをとろうとしないことで、知られていない人たちが多い気もします。アースはそうした知られざる才能を海外に紹介していく、ギャラリーのような役割を担っていくのかと。
秋元 これからどんどんそういう仕事は増えていくと思うんです。ぼくたちやクリプトンさんがハブになることで、みなさんに世界でやっていってもらえればと。がんばります!
earth music&ecology Japan Label 夏コミ出展情報
8月10~12日、東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケット82(夏コミ)に、earth music&ecology Japan Labelの出展が決定した。第1弾~第3弾の再発にくわえ、8月末~9月上旬発売予定の「第4弾」商品も先行発売。今回の絵師はusiさんを迎える。
コミックマーケット82
期間 8月10日~12日
時間 10:00~17:00(最終日は10:00~16:00)
場所 東京国際展示場(東京ビッグサイト)
ブース 西4F企業ブース ブース番号[325]