「ザクとうふ」を企画したとき
社内の反応は「呆れていた」
――――企画提案したときの社内はどうだったんでしょうか?
【鳥越】 呆れられたというか、ガンダムって何? みたいな(笑)
――――社内にガンダムファンはいなかったんですか?
【鳥越】 「ザクとうふ」を作っている第三工場長がガンダムファンでしたんで、彼の意見を聞きながらファンが納得できるものを作りました。その彼以外は知らなかったので、劇場版ガンダムの上映会……という名のガンダム合宿をしました。
――――第三工場長はどう反応しましたか?
【鳥越】 ガンダムファンなので喜んでいたというか、おそらく、相模屋食料に入って以来、こんなにうれしいことはないという状態だったんじゃないかと。
――――広報のお二人は、ガンダム合宿に行ってどう思いましたか?
【広報】 ガンダムはあまり詳しくないのですが、劇場版を見てなんとか知識を得ました。
【鳥越】 楽しくて仕方なかったということで(笑)。
――――社長の熱が伝わったと。
【鳥越】 2日連続で行きましたからね。
――――2日連続ですか(笑)。では、とんとん拍子に進んだんですか?
【鳥越】 熱意で押した感じですね。それにですね、熱っぽく語っていれば、そうなのかなーって思うじゃないですか。ただなんでザクヘッドなのかは、こだわりがありまして……第1話の冒頭、3機のザクがサイド7に接近して、ザクの顔がアップのところを再現したかったんです。モノアイが「ヴーン」となるところです。会議でその映像を流して「ヴーン」で止めて「はい、ここです!」と。
――――たしかにあのシーンでインパクトを受けた人も多いですよね。
【鳥越】 なんだこりゃって反応でしたね。少し知ってる人からは、ガンダムなのにガンダムじゃないの?とか。シャアザクじゃないの?みたいな反応が。
【鳥越】 最初は企画を見せた人が全員、豆腐? っていう反応でした。おそらく、最初はガンダムの絵をプリントしたパッケージにして中身は普通の豆腐だと思っていたんだと考えます。自分からしたらそれは、まったくもって納得いかないもののイメージ。「こんなもの……」って投げつけるくらい。プレゼンのときは、ザクの頭部をモチーフにした容器になると思っていた人はいないんじゃないでしょうか。
――――愛と本気度をパッケージからも感じます……というか、100%、社長のこだわりが詰め込まれていますよね。
パッケージに対する徹底的なこだわり
モノアイの見える角度が重要!(編集部一同・すごく同意)
――――ザク容器なんですが、ものすごいこだわっていますよね。動力チューブはもちろんとして、モノアイシールまでとは!
【鳥越】 容器だけだとザクの形をしているけど、プレゼンのときに見せた「ヴーン」とは違うので、モノアイシールを手貼りしています。ラインに流れてくるザクヘッドに、最大で32名がペタペタと貼っています。オートメーションで自動化して色を塗ることもできたんですが、本物感が出ないなと。それでシールを。
――――ガンプラみたいですね。手で貼るというプランに対して、現場からの声は?
【鳥越】 えぇ~貼るんですか? と(笑)。本気度が出るからやろうと熱っぽく説得しました。がんばりましょうよ! と。もうひとつ、シールを封入して好きに貼ってもらおうという提案もありました。みんなシール貼るの好きでしょって……。でも、それはザクじゃない。ファンを冒涜するなみたいな。
――――第1話冒頭のザクにこだわりがなかったら、絶対に代替案にいっていますよね。
【鳥越】 容器だけで「起動前です」という言い方もあるかもしれませんが、それじゃダメで、いまのような反響はいただけなかったと思います。
――――それで、モノアイ周辺の造形なんですが……モノアイ上の半月部分、だいぶ精度高いですよね。
【鳥越】 モノアイは格好良く見える角度があるんですよ。半月形状なんですけど、ちょっとこう上向きから見てもらうのが一番いい。これがちょっと鋭角になるとグフになっちゃうし。
――――わかりますわかります。
【鳥越】 それでスーパーで見かけて「おっ」と手に取る。それでまず容器を見て、ウフフする。食べてみるかと容器から出してみると、ザクが出てくる……それ感激じゃないですか。それを大事にしたかった。
――――ザクの豆腐が出てきたよって思いました。
【鳥越】 ですよね!!