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使って理解しよう!Windows Server 8の姿 ― 第5回

Windows Server 2012にも採用

社員もミス?スタートメニューがなくなるWindows 8の新UX

2012年05月17日 06時00分更新

文● 横山哲也/グローバルナレッジネットワーク株式会社

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なかなか受け入れられない新しいユーザーインターフェイス

 Windows 8でもっとも話題になっているのは、タブレットを意識したユーザーエクスペリエンス(UX)の「Metro Style」だ。Metro StyleはWindows Server 2012でも採用されることになり、頭を抱えている管理者も多いことだろう(図1)。

図1 Metro StyleはWindows Server 2012でも採用される

 一般的なイメージとは異なり、日本のIT管理者の多くは非常に保守的である。Windows 95がウィンドウのアイコン化と復帰にズーム表示を実装した時は「無駄だ」と非難する人が多かった。Windows XPでも、新しいUXのLunaではなく、クラシックスタイルに切り替える人が多かった(そういえばXPはエクスペリエンスの意味だった)。Windows 7になっても、一昔前のUXに切り替えて使っている人が多い。そういう人は、もちろんコントロールパネルも、カテゴリ表示ではなくクラシック表示に切り替えている。

 もっとも、コントロールパネルに関しては情状酌量の余地がある。Windows 7のコントロールパネルは、従来の形(Windows Vistaでは「クラシック表示」と呼ぶがWindows 7では「アイコン」)でしか選択できない項目が存在するからだ。カテゴリ表示で使うには[検索]ボックスからキーワードを指定しなければならないのだから、GUIを使う意味がない。クラシック表示にしたい気持ちもわかる。

 ところで、Windows 8ではスタートメニューを従来の表示に切り替える方法が用意されていない(コントロールパネルはクラシック表示可能)。そもそも標準ではスタートメニューが存在しないし、技術的な理由もあるのだが、決して乗り越えられない壁ではないはずだ。マイクロソフトは旧バージョンの利用に関しての配慮が比較的行き届いた会社である。にもかかわらず互換機能を提供しないのは「新しいUXに移行するのだ」という強い意志を感じる。

 筆者は、タブレット用UXは専用のエディション、たとえば以前のWindows XP Tablet Editionのような製品が出ると考えていた。一般のPCに関しては既存のWindowsスタイルが依然として主流であると思っていたのだ。ところが現実は、全エディションにMetro Styleを採用し、WindowsのUXががらりと変わってしまうことになった。

 その理由は、iPhoneの流れを汲むiPadの台頭であることは明らかだろう。以前、マイクロソフトは「3スクリーン+PC」というキャッチフレーズを使っていた。

 これは、PC、電話、テレビの3つの「画面(スクリーン)」に対して、クラウドが情報を供給していくモデルを指すものだ。ところが、最近では「マルチデバイス+クラウド」に変わっている。これが、電話でもPCでもない、iPadに代表されるタブレットを意識しているのは明らかである。もちろんXbox 360などのゲーム機も入るに違いない。

 これら多くのスクリーンのうち、今後も伸びるのはどれだろう。テレビ放送の地位が相対的に低くなることは間違いない。PCはおそらく現状維持。伸びるのは携帯電話、特にスマートフォンと予想されるので、UXもスマートフォンを意識したものにするのが妥当である。タブレットのUXは、スマートフォンをベースにしているため、新しいUXがタブレットを意識したものになるのは必然である。と、まあ、あとから理由を考えるのは誰にでもできるので、このへんにしておこう。

 筆者はスマートフォンを使わないので、Windows 8のUXにはまったく慣れない。そして、マイクロソフトがWindows Vistaの無駄に派手なUX(図2)について何とコメントしたかを思い出す。

図2 無駄にリッチなWindows Vista/Windows 7のAero Glass
  • 貧弱なUXのために使われなくなった業務システムは非常に多い。
  • コンシューマ用だけでなく、ビジネス用途であってもリッチなUXは必須である。

 これ自体に異論はない。また、GPU機能を利用することで派手な割にCPU負荷を下げることに成功したAero Glassを否定するものでもない。しかし、必要以上に派手な画面であったことは反省すべき点である。

 一方で、今回のMetro Styleは、逆に地味すぎないだろうか。タブレットには高速なGPUを期待できないからだろうが、わくわくする感じがしない。

Windows Server 2012のユーザーエクスペリエンス

 さて本題のWindows Server 2012である。クラウド時代になって、サーバーは社内から消えてしまうのだろうか。もちろんそんなことはない。

 2007年11月8日に開催されたマイクロソフトのパートナー向けイベントで、米マイクロソフトのCEO スティーブ・バルマー氏がこう発表した。

「10年後にはほとんどの企業でデータやトランザクション、システム管理機能をインターネットクラウドに格納し、リッチPCクライアントやWebブラウザ、携帯電話から利用するようになる」(@IT)。

 このメッセージには、クライアントとサーバーの2つの未来が語られている。

 クライアントである「PC、Webブラウザ、携帯電話」は「PC、タブレット、スマートフォン」の意味だと思った人も多いだろう。しかし2007年当時、iPadはまだ発売されていない。タブレットといえばノートPCよりも重い製品しか存在しなかったし、(3Gでない)初代iPhoneも米国発売間もない頃だった。そんな時代に「PC、Webブラウザ、携帯電話」と並べたのはさすがである。

  サーバーに関しては、「Windows Live」のことであると誰もが思っていた。そもそもスティーブ・バルマー氏のスピーチもWindows Live発表当日の話である。しかし、どう考えてもWindows Liveだけでは力不足である。今思えば翌年に発表されたWindows Azureのことが念頭にあったに違いない。

 そのあと、マイクロソフトはWindows Azureによって、Google、Amazon Web Servicesと並ぶクラウド業界の有力ベンダーとなったのはご存じの通りである。

 マイクロソフトは、Windows Azureに注力する一方で、オンプレミス(社内)のサーバーについてはあまり強いメッセージが出ていなかった。多くの企業が注目する「プライベートクラウド」についても「Hyper-VとSystem Center製品を組み合わせてください」というだけで、実際のシステム構築はパートナーSI企業に任せっきりだったように思う。

 しかし、Windows Server 2012では明確に「プライベートクラウド」というメッセージを打ち出した。日本マイクロソフトにも「プライベートクラウド」という部署ができているようだ。Hyper-VとSystem Center製品の組み合わせという点では変わりはないが、マイクロソフト自身から「プライベートクラウド」という言葉が発せられる意味は大きい。

 実際に、Hyper-Vの機能強化は多岐に渡り、最大の競合製品であるVMwareを超える部分もある。Windows Server 2008 R2では「VMwareと比較できるようになった」といわれ、Hyper-Vを扱うSI企業も増えた。Windows Server 2012のHyper-Vは、VMwareの本格的なライバルになるだろう。Hyper-Vの動きを受けて、VMwareの機能強化も加速されているようだ。ユーザーにとっては喜ばしい話である。

Metro Styleの課題

 ところで、Windows 8やWindows Server 2012のイベントに参加して気になるのが、デモ中の操作ミスである。

 特に「チャーム」と呼ばれる操作パネルの表示に失敗する人が多い。「チャーム」は普段隠れているが、シャットダウンやコントロールパネルの呼び出しのほか、アプリケーション連携の重要なキーコンポーネントである(図3)。そのチャームの呼び出しに失敗するのはどういうことだろう。「慣れていないから」で済ませてよいのだろうか。

図3 チャーム

 たとえば、4月24日と25日に都内のホテルで開催されたマイクロソフトの開発者向けイベント「Windows Developer Day」では、基調講演にもかかわらず、同社担当者が何度かチャームの呼び出しをやり直す姿が見られた。基調講演のリハーサルは入念に行なわれるはずだが、それでも操作ミスをするのは設計が間違っているとしか思えない。

 マウス操作では、画面右端にマウスカーソルを持っていくことでチャームが表示されるのだが、時々画面クリックも必要に思える。画面のどのあたりをどういうタイミングで動かすのか、クリックが本当に必要なのか、などいまだにわからない。

 同じ場所にカーソルを置いてもチャームが表示される場合とされない場合がある。どうも静止させると駄目なようだ。しかも、何かキーを押したり一定時間が経過したりするとチャームが消えてしまうので、画面ショットが取れない。いろいろ操作しているうちに、チャームが表示されたあと、何か操作をするとチャーム全体が黒く反転し、時刻が表示されることが分かった。この状態であれば画面ショットが取れる。しかし、この説明で読者の皆さんはご理解いただけただろうか。筆者は自信がない。

 スマートフォンやタブレットを使っている人は比較的スムーズに操作しているが、PC操作の前提条件がスマートフォンの操作というわけにはいかないだろう。果たしてどうなることか。

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