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編集者の眼第38回

HTML5の電子雑誌を作りたい人を募集します

2012年03月30日 17時08分更新

文●中野克平/Web Professional編集部

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 HTML5はモバイルからデスクトップまで、あらゆるサイトを書き換えていくWeb業界の「再開発事業」だ。サイト設計も使い勝手もバラバラの雑居ビル状態なWebサイトは壊され、HTML5で書き直された新しいWebサイトが次々と誕生するだろう。規模は小さくても、提供する分野に特化した専門店ビル型のWebアプリケーションも次々現れるに違いない。ブロードバンド元年(2000年)に未成年だった1980年代生まれの「ブロードバンド世代」も30代ならそろそろ中堅社員。パソコン世代がなかなか果たせなかった「世界で通用するWebサイト」が登場してもおかしくない。

 Web Professionalは出版社の一部署なので、こういう時代の変化が起きるときは雑誌を作ろう、という気運が高まる。しかし、昔のPC雑誌の気持ちでやっても上手くいくはずがなく、幹部社員には違いを説明しないといけない。

 もはや昔ながらの「PC雑誌」というジャンルが成り立たない。パソコンはPCに興味を持つきっかけではなく、生意気系男子が「バトルフィールド 3」で遊んで、自分ならもっと面白いゲームが作れると意気込むほど、今時のゲームは稚拙ではない。PCは「Personal Computing」の略語であって、中心にあるのはクラウドであり、クラウドサービスを楽しむ道具としてiPadがあり、クラウドを介して人とつながる道具としてスマートフォンがあり、クラウドにアプリケーションを送る道具としてパソコンがある。10代、20代が「自分ならもっとスゴイのが作れる」と「(いい意味で)勘違い」してチャレンジするのは、YouTubeやニコ動の投稿動画だったり、スマートフォン向けのゲームだったり、一発ネタのWebアプリケーションだったりする。

アップルのiBooks Authorでパイロット版のHTML5誌を作ってみたが、画像のアニメーション効果などPower Point的な機能が弱く、「電子雑誌」の制作に使うにはもう一歩という印象

 だから、HTML5誌のターゲット読者は、Webアプリケーションが作りたい個人だ。ところが、Webアプリケーションの公開にはいくつかの異なる才能が求められる。どんなに素晴らしいプログラムを作ってもデザインがしょぼければ公開が億劫になるかもしれないし、最高のサービスでも集客タイミングを逃せば後発サービスに人気を奪われるかもしれない。個人のWebアプリケーション開発者でも、プランナーやマーケッター、プログラマーやデザイナーのノウハウが必要だし、「大人気サービスになったらどうしよう」と妄想が膨らめばインフラ構築やクラウド利用のノウハウも欲しくなる。ところが、そんなに広範囲を熟知しているのは、経験を積んだWebディレクターでもまずいない。ここにメディアが介在する余地がある、と思う。

 あらゆるメディアの目的はギャップを埋めることだ。知っている人と知らない人の知識ギャップ、情報ギャップを人間同士のつながりの代わりに埋めるのが“メディア”である。HTML5にはいろいろなギャップがある。確かにGoogleで検索すればあらゆるノウハウにアクセスできるし、Twitterでつぶやけば誰かが教えてくれる。しかし、たとえばTwitter社のCSSフレームワークであるBootstrapに反応するのはCSSが得意な人たちで、プログラマーにHTML5とBootstrapでWebアプリを作って、と言っても怪訝な顔をされるだろう。使ったら便利な技術と、その技術を使ったら捗るはずの人にはまだまだギャップがあって、誰かが「これはこう使うと捗るよ」と伝えるだけで前に進むプロジェクトはたくさんある。HTML5誌は、そんな人を応援できたらいい。

 というわけで、「何だか呼ばれている気がする」と思った方は、以下のフォームからメールアドレスをお送りください。または編集部のTwitterアカウント(@WebPro_editors)へreply、Facebookページ(https://www.facebook.com/WebProfessional)のメッセージで。追って詳細をお知らせします。

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