各モデルの映像の実力も
じっくりとチェック!!
ここからは、今回取り上げているモデルの基本的な画質の実力をチェックしていく。いずれも上位機に当たるモデルなので、高画質性能にも力が入ったものが多い。テストでは、ロケ撮影で撮った風景(日中、夜)のほか、スタジオで撮影した花(広角、マクロ)、暗室での低照度撮影を試している。
まずは日中の風景から。撮影モードは各社ともオートとしているが、最近は撮影条件に合わせて自動で撮影モードが切り替わるようになっており、その検知精度を確かめるため、こちらでは特にモード切り替えの操作は行なっていない。
キヤノンのHF-M52は、総画素数約237万画素の「1/3型HD CMOS PRO センサー」を採用している。フルHDの約200万画素に特化した撮像素子で、静止画撮影時の解像度が少なくなるメリットはあるものの、1画素あたりの面積が大きくS/Nが良く、ダイナミックレンジの広い撮影が可能など、動画撮影については数々のメリットがある。
その映像は、忠実度の高いリアルな色と鮮明度の高い映像。日中の公園を撮った映像でも、もっとも見た目に近い雰囲気で撮影されていた。やや色乗りが濃いめに感じるが、草木の枯れた色合いも自然だし、レンガの質感もよく出ている。ミドルクラスではあるが、この実力はなかなかのものだ。
パナソニックのHC-X900Mは、今回かなりの進化を実感したモデルのひとつ。得意の3MOSセンサーを採用した光学系に加え、処理スピードを高めた新高画質回路「クリスタル・エンジン・プロII」を搭載。ナノサーフェスコーティングが施されたライカDCレンズは、不要な光の反射を抑えている。
これらにより、明るく鮮やかな発色はそのままに、中間色の表現がより豊かになり微細な色の変化までしっかりと描けるようになった。従来までの色の濃さや派手さが収まり、かなり忠実感のある映像だ。
1080/60p撮影による密度感もあるだろうが、ディテールもきめ細やかでなかなか見応えのある映像に仕上がっている。日中の風景などを見るとやや明るめの映像になる傾向があるが、白飛びするようなことはなく、曇天の雲の質感までしっかりと再現できている。ディテール感も良好だ。
JVCケンウッドのGZ-G5は、F1.2の明るい高解像度レンズ「GTレンズ」を採用。裏面照射型CMOSセンサーと合わせ、明るいシーンでの高解像度な映像と、暗いシーンもきれいに撮れる高感度を実現している。
画質エンジンは、同社独自の高速・高画質エンジン「FALCONBRID」を採用。映像シーンに合わせて最適な映像処理を高速で行ない、つねに最適な画質で撮影ができる。
本機の場合、明るく見通しの良い映像なのだが、色再現の傾向が少々個性的。曇天の空でもわりと鮮やかなブルーで表現するし、レンガの色もやや赤みが強い。明るい映像ということもあり、やや派手めの再現に感じた。
トータルで見ると、リアルなキヤノンもいいが実力をかなり高めてきたパナソニックが特に印象に残った。きれいに見える鮮やかさと豊かな色再現はなかなか魅力的だ。
鮮やかな花の色をきれいに再現できるのは?
次いで、室内にある造花を広角とマクロで撮影した(本当は外で撮りたかったが、この季節はさすがに街中では花が咲いていなかった……)。
キヤノンのHF-M52は、色鮮やかで鮮明。季節的に色鮮やかな花がなく、造花を使用しているのだが、その人工的な色彩もきちんと再現できている。マクロ撮影でもピントのびしっと合った鮮明な映像で非常に忠実感のある再現になっている。
パナソニックのHC-X900Mの場合は、映像がやや明るめということもあり、色の階調感が非常にスムーズで細かい色の変化がしっかりと出ていると感じた。色合いとしては赤色がややピンクに寄る傾向で、見た目にきれいと感じる再現ではあるが、細かい色の変化がよく出ているので、さほどの不自然さはない。
JVCケンウッドのGZ-G5は屋外撮影でも少々気になったが、色温度が高めになる傾向で、背景に敷いたグレーの紙が青みがかってしまうことが気になった。
花の色も色温度の高いテレビ的な色合いになってしまう。鮮やかできれいだとは感じるが、実際の色より華やかで派手めに感じてしまう。解像感は高いだけに色再現については少々惜しい。
色合いの自然さでキヤノン、色階調の豊かさでパナソニックが印象的な結果となった。JVCはちょっと残念な結果だが、色再現が気になる場合は手動で色温度設定をすることで補正することもできるだろう。
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