一方、中期目標である2016年度の「営業利益1兆円」に向けた戦略としては「顧客基盤の強化」「ネットワーク増強」の2点を戦略として挙げた。
ソフトバンクのiPhoneユーザーの流出は
しっかり食い止めることができた
「顧客基盤の強化」については、まずiPhone 4Sの好調ぶりを強調したのち、auからのiPhone 4Sのリリースは正直大きな脅威を感じたとする。100万規模の解約も危惧したとのことで、それを防ぐために「実質無償機種変更キャンペーン」「iPhone家族無料キャンペーン」など、次々と施策を打ったのは記憶に新しい。
それも効を奏して、iPhoneユーザーのMNP流出数は5万だったとのことで、“大山鳴動して鼠一匹”と表現する。これらキャンペーンには約300億円を費やしたというが、その効果は十分だったという評価だ。
また、ソフトバンクグループには現在ウィルコムも加わっている。現在はまだ連結対象には入っていないものの、やはりさまざまな施策によって契約数はV字回復。月単位でコンスタントに営業黒字を実現しているとのことだ。
つづいて「ネットワーク増強」では“攻め”強調する。「ソフトバンクのケータイが繋がらないと言われると悔しくて悔しくてたまらない」と語り、その悔しさで基地局をこの1年で2.3倍に増やしたとし、自社のインフラ担当者の努力を称える。
速度面では今月末にスタート予定だという、「SoftBank 4G」を紹介。下り最大76Mbpsは業界最速であると同時に、海外でも導入が予定されているTD-LTEと完全コンパチブルであることを紹介。「一気にスタートする」と垂直立ち上げ的な展開を示唆した。
有効に利用されていないすべての周波数を総ざらいし
それをオークションにかけるべき
質疑応答ではトラフィックの急増によるネットワークの逼迫について問われたが、「お前たちが勝手にスマートフォンを売っておいてとお叱りを受けると思うが」と前置きをしたのちに、「業界全体の問題である」とし根本的な解決が必要であるという。全国の通信量は全キャリアで倍伸びているが、都心部で見ると3.4倍の増加で、2年で10倍。この増加はこれまでのような形の周波数割当では到底追いつかない。
そして、自動車のITSやマラソンの中継車に割り当てられている周波数など全部見直して総ざらいした上で、オークションにかけるべきなのではないか、という周波数割当に関する考えを示した。