このページの本文へ

NAVERまとめへの広告配信停止から見えて来るもの

2011年10月04日 16時00分更新

文● まつもとあつし

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

キュレーションと著作権の微妙な関係

 まとめサイトは、他人の著作物をなんらかの文脈でアグリゲーション(集約)し、ページ上に配置したものだ。元となるコンテンツの著作権者に利用許諾を求めたり、得られた収益を配分するといったことが行われることは滅多にない。いわゆる「ただ乗り」ではないのかという批判は、NAVERまとめの登場以前から繰り返し指摘されていた問題であった。

 ライブドアをグループ企業に抱え、そのブログサービスにはいわゆる「まとめブログ」も多く存在する。2ちゃんねるで人気を集めたスレッドから、ユーザーの投稿を抽出したこれらのブログは、単にコピペしているだけではないか、という批判も多い。しかし、関連性の薄い投稿コメントを削り、注目される発言は文字の色を変えて強調するなど、まとめブログの運営者は、より読みやすいよう工夫を施している。著作権法でいうところの「編集著作物」に当たるという見方もできるわけだ。

 もちろん、編集著作物と認められるからと言って、なんでも無許諾で利用できるというわけではない。

 著作権法に基づけば、引用――つまり権利者への許諾を求めなくともコンテンツの利用を行うためには、以下の要件を満たしている必要がある。(文化庁

  1. 他人の著作物を引用する必然性があること。
  2. かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
  3. 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
  4. 出所の明示がなされていること。(第48条)

 NAVERまとめのようなキュレーション型のサービスの場合、特に(3)が問題になるのではないかと筆者は考えている。つまり、単にアイドルのグラビア画像を他所から貼り付けただけのまとめサイトは、「自分の著作物が主体」とは言えず、引用の要件を満たしているとは見なしにくい。つまり無断転載となる恐れが強い。

 一方で、ここに「アイドル○○のデビューから現在までの変化」といった主題が与えられ、著作者(この場合まとめを作成したユーザー)自身の文章などのコンテンツを中心に構成され、画像はその参考として位置づけられていれば、引用の要件(3)を満たしているという訳だ。「ただ乗りか否か」を分ける重要なポイントとも言えよう。

 Google AdSenseのページ(プログラムポリシー)にも、「オリジナルコンテンツ」についての言及があり、「オリジナル コンテンツのほとんどないページには(AdSense広告を)表示できない」とされている(グーグルのサイト)。

 このポイントは、現在文化庁で検討が進められている日本版フェアユースにも関連するが、今回、ネイバーが公開したAdSense配信停止に至る経緯では、このオリジナルコンテンツか否かについてはGoogle側から指摘については言及が無い。筆者に対しても舛田氏より、Facebook上で以下のコメントがあった。

「まとめについては、そのような指摘は受けたことがありません。確かにそのようなポリシーはありますが、そもそも、掲載審査の段階でNAVERまとめのサービス構造などはご理解いただいた上で掲載OKが出ていますので、まとめ自体は当てはまらないと考えています。警告のほとんどはアダルトのことなので、基本的にはGoogleのアダルトのポリシーと折り合いがつかなかったというのがメインの理由と受け取っています」

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ