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アプコンはロマンだ! DVDも携帯ゲームも大画面で楽しめっ!! 第3回

薄型テレビ or 液晶ディスプレー? 表示装置でアプコンする!

2011年08月03日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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PCディスプレーっぽくカラースペースや
スムージングの設定ができる

「画面調整」の項目には、カラースペース(色再現範囲)の選択や、色階調をスムーズにする「スムージング」の調整項目がある

「画面調整」の項目には、カラースペース(色再現範囲)の選択や、色階調をスムーズにする「スムージング」の調整項目がある

 画面調整メニューを見ていくと、マルチメディアディスプレーだけに「カラースペース」の選択も行なえる。これは簡単に言うと、PC系の映像出力である「sRGB」と、一般的なAV機器の基準である「YUV」のそれぞれが定義する色空間設定に合わせること。

 こうすることで、PC用ディスプレーとしても家庭用テレビとしても色再現に違和感のない映像を楽しめるようになる。これは基本的に「自動」のままで使って問題ないだろう。

スムージング効果の比較。左が「1」で、右が「5」。数値が上がるほど、それぞれの色がはっきりと再現されるようで、コントラスト感の高いくっきりした表現になる

 また、画質調整のひとつとしても使える「スムージング」は、色が微妙に変化していくグラデーション部分で色の境目が目立ってしまうトーンジャンプ(擬似輪郭)を抑え、なめらかなグラデーションを再現してくれる。

 効果を比べてみると、スムージングという名称からは逆の印象だが、数値を上げていくほど、細かな色の変化が際立つ印象になる。かといって、擬似輪郭が発生するようなこともなく、コントラスト感の高い映像になるので、基本的には最大の「5」で使用し、コンテンツによってグラデーションでトーンジャンプが発生するようならば(アニメではわりと多い)、効果を弱めるように使うとよさそうだ。

 トータルの画質の印象は、クセのないストレートな映像と言えるが、入ってきた信号をそのまま出すような「いい映像はきれいだが、悪い映像は悪さが目立つ」というようなことはなく、ノイズ感や輪郭の乱れなどをきちんと補正し、自然な映像になっている点には感心した。

 これに加えて超解像技術が加わることで、DVDなどのSDソースはもちろん、インターネットの低解像度の動画コンテンツなどもよりくっきりと鮮明な映像で楽しめるだろう。

用意されている主なカラーモードの画質の違い。左上が「User1」、右上が「Cinema」、左下が「Game」、右下が「sRGB」。User1モードの出荷時設定はコントラスト感が高く、色再現も自然でバランスがいい

 さらに、さまざまな映像信号を受け入れるマルチメディアディスプレーとしては欠かせない「カラーモード」も、一般的なテレビと同様にきちんと用意されていた。

 出荷時設定(User1)が「標準モード」に相当するようで、動画コンテンツの再生でもバランスのいい映像になっていた。「Cinema」モードは暗部の再現性を向上したもので、暗部の見通しはいいが、映像自体はやや暗め。

 「Game」はコントラストが高めで、色再現は濃くカラーバランスもsRGBに近い印象だ。「sRGB」はまさにPCにおける標準的な設定。デジタル写真の表示などではこのモードを選べば正確な色再現で画像を確認できるだろう。

 また、今後ますます普及するであろう、電子書籍の表示に対応し、紙の書類や本に近い再現をする「Paper」モードがあるのもユニークだ。

画質についてはどちらも良好
やはりFORISの価格が魅力的

 FORIS FS2332は正直なところ、かなりの実力があると感じた。使いやすさ(機能の多さ)と入力端子の数こそZP2のほうが優れていると思うが、画質については文句ナシ。価格を考えるとテレビを買い換えるよりもお買い得ではある。

 ただしチューナーなしなので、テレビ視聴をするには外付けチューナーやPCなどを使う必要がある。このため、薄型テレビとしての使い勝手を求めれば差が出てくる。一般的なAV機器との接続はHDMI入力があるだけなので、SD出力のゲーム機やDVDプレーヤーなどの接続もできない。

 これらを接続するためには最低限、HDMI出力に変換するビデオコンバーターが必要になってしまう。それらの機器との相性の問題もあり、手軽に使うという訳にはいかないだろう。

 なお、ゲームにおける表示遅延は試せなかったが、映像表示の遅延は1フレーム以下の低遅延に抑えているとのことなので、PCでのゲームプレイでも安心して使えるだろう。基本的にゲームやPC用ディスプレーとしての用途が主体の人にとっては注目の製品だ。

 ということで、本特集では外付けのアップコンバーターをはじめとして、いろいろな機器を試してみたが、SDソースの映像の画質改善はかなり進んでいることがわかった。

 レンタルビデオ店などからは姿を消してしまったが、VHSビデオがまだ家にあるという人は少なくないはず。同様にDVDもそうそう簡単に姿を消すことはありえないし、これまでの制作されてきたい膨大な数のSDソースはずっと残る。

 そう考えると、やはりSDソースの高画質化は重要なポイントになる。ハイビジョン時代だからこそ、かつてのSD映像がより大切なものになるのかもしれない。

 今回の特集を参考に、ハイビジョンコンテンツとの落差にショックを受けることなく、かつての感動をより鮮明に再現してくるSDソース再生環境を整えてもらいたい。


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