このページの本文へ

超小型PTZカメラ「M50」は日本企業と共同開発

ネットワークカメラ投入から15年経ったアクシスの立ち位置

2011年03月11日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

3月10日、アクシスコミュニケーションズ(以下、アクシス)は、同社がはじめてネットワークカメラ「AXIS 200」を市場に投入して15年経ったことを記念した講演を行なうとともに、新製品のM50シリーズを発表した。

創業者がネットワークカメラ登場を振り返る

 ネットワークカメラビジネス15周年の記念講演を行なったアクシスのマーティン・グレン氏によると、もともとネットワークカメラを思いついたのは、東京に出張に行った際に受けた「アナログカメラはもはや売れないので、ネットワーク経由でビデオ会議ができるものを作ってほしい」という要望からだという。当時、同社はプリントサーバーを開発・販売していたが、社内のエンジニアが作っていた試作機を製品化した。これが初代の「AXIS 200」になるという。

アクシス 共同創業者兼取締役 マーティン・グレン氏

 その後、同社は専用チップの開発を進め、解像度や伝送能力の向上を図った。最初の製品は解像度は0.1Mピクセルで、1秒間1フレームという性能だったが、現在はHDTV 1080のビデオを1秒間30フレーム送れるようになっている。すでにTV自体がHDが当たり前という状況で、今後は16:9へのアスペクト比の移行も含め、ネットワークカメラもHD化が当然になってくる。とはいえ、解像度の面では現在でも十分な鮮明度を実現していることもあり、グレン氏は「いったん頭打ちになり、むしろ付加価値的な機能にフォーカスがあたってくる」と予想した。こうした背景もあり、今後もカメラの動作を制御するためのAPI公開やパートナー製品との連携などオープン戦略を推進していくと述べた。

15年に渡ってネットワークカメラの分野で高いシェアを誇ってきた

 一方で、同氏が強調したのが、監視用途でのアナログカメラの利用がいまだに高いという点だ。特に日本では大半がアナログのままで、なかなか移行が進んでない状況だという。そのため、マーケットの啓蒙活動を積極的に進めつつ、魅力的な新製品を投入していくと抱負を述べた。

狭いスペースでの監視もOK!小型のPTZカメラも投入

 記念講演ののち、アクシスのケント・フランソン氏が新製品の「ASIX M50シリーズ」を紹介した。

アクシス プロダクトマネージャー ケント・フランソン氏

 M50シリーズはPTZ(パン・チルト・ズーム)機能を持つドームカメラで、13cm(直径)、高さ5.6cm(高さ)は同ジャンルで世界最小を謳う。手のひらサイズで目立たない監視が可能であるほか、ドームでレンズを隠しているので、外部から認識するのが難しいという特徴がある。パンは±180度、チルトは90度、ズームは3倍(デジタル)で、コーデックはH.264、MotionJPEGに対応。マイクを内蔵するほか、動体検知・音声検知なども可能になっている。また、「IP51」という高い防塵・防滴性能を持っており、「シャワールームにおいても、スプリンクラー等が働いても、水漏れすることもなく、ビデオを撮り続けることができる」という。

M50シリーズの特徴である小型な外観

 モデルはSVGA対応の「M5013」とHDTV 720対応の「M5014」が用意されている。価格も低廉で、希望小売価格はM5013が7万円、M5014が8万4000円(税抜)。ともに出荷予定は5月上旬となっている。

 フランソン氏は、「可動部分などは日本のメーカーといっしょに開発し、日本で製造した」ということで、開発から日本と強い関わりを持っていた点を言及した。また、ネットワークカメラを監視・観測用途だけではなく、マーケティングの分野で利用するのは日本でのニーズだという。「小売においては万引き防止で使うだけではなく、客の導線や陳列のチェック、接客の監視など店舗運営を効率的に行なうために使える。カメラを使うことで顧客満足度を向上させられるという着想は、日本で学んだ。今後は、これを世界でも展開していく」と語った。

セキュリティだけではなく、マーケティング用途でもニーズがあると述べた

カテゴリートップへ