2月3日(日本時間深夜)、「IANA(Internet Assigned Numbers Authority)」が保有するIPv4アドレス(中央在庫)の最後の割り振りが行なわれた。これにより、日本に割り当て可能なIPv4アドレスは、5月から9月ころに枯渇する見通しとなった。枯渇となっても、割り当て済みのIPv4アドレスはそのまま使えるため、国内の一般ユーザーにすぐに問題が生じることはない。
現在一般的に使われているIPv4アドレスは、大まかに、
- グローバル組織であるIANA
- 世界5地域にある「地域インターネットレジストリ(Regional Internet Registry、RIP)」
- 国別組織である「国別インターネットレジストリ(National Internet Registry、NIR)」
という3段階の組織で管理される。
日本のNIRは「日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)」で、JPNICの上部組織となるRIPが、アジア太平洋地域を担当とする「APNIC(Asia-Pacific Network Information Centre)」だ。なお、一般ユーザーは加入するISPからIPアドレスの割り当てをもらうが、このISPなどは「LIR(Local Internet Registry)」と呼ばれ、日本では「IPアドレス管理指定事業者」がその役割を担っている。
2月3日に行なわれたのは、残り5つの「/8ブロック」となったIPv4アドレスを、5つのRIPに1つずつ割り振る式典だ(/8ブロックはIPアドレス1677万7216個のかたまり)。「(IANAが保有する)/8ブロックの残りが5個となった際、それらは世界に五つある各RIRに一つずつ分配される」というポリシーが存在しており、2月1日に(残り7つあった内の)2つの/8ブロックがAPNICに割り振られたことで、このポリシーが施行されたのだ。
IANAの中央在庫の枯渇により、各RIPは今後、新たなIPv4アドレスを手に入れることはできなくなる。RIPの在庫枯渇は地域によって時期が異なるが、APNICでは約3~6ヶ月後になると予想している。JPNICは独自の在庫をもっておらず、国内のLIRはAPNICから割り振りを受ける。そのため、5月から8月に起きるAPNICの在庫枯渇が、日本における在庫枯渇となる。
なお、JPNICの発表によると、APNICの/8ブロックが残り1つになった時点が、「実質的な枯渇」になるという。それまでは現行通りにLIRへIPアドレス割り振りを行なうが、最後の/8ブロックについては、「枯渇後の状況に備えるために必要と想定される分のアドレス」として、特別な条件で割り振るためだ。この際の割り振りは、1024アドレス(/8ブロックの1万6384分の1)単位で行なわれるという。
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