このページの本文へ

使えばわかる!IPv6入門 第9回

NVR500のPPTPパススルーを利用

「IPv6仮想アクセス」でPPTPを使ったIPv6接続を試す

2011年07月19日 06時00分更新

文● 伊藤玄蕃

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

今回は、インターネットイニシアティブ(IIJ)のIPv6アクセスサービス「IPv6仮想アクセス」を紹介する。IPv6仮想アクセスは、IIJの法人向けダイヤルアップ接続と個人向け接続サービスのユーザー向けに無償で提供される、IPv6によるインターネットアクセスを実現するサービスだ。

 このところ、IPv6によるインターネットアクセスを無償で自社ユーザーに提供するインターネットサービスプロバイダ(ISP)が増えているが、その第1号が2009年4月に始まったIIJのIPv6仮想アクセスなのだ。IIJといえば、商用インターネット接続サービスを日本で最初に提供したISPとして有名であるが、IPv6に関しても日本のトップランナーの地位を守っている。

IPv6仮想アクセスとは

 IPv6仮想アクセスは、「PPTP(Point to Point Tunneling Protocol)」によるVPNトンネルにIPv6パケットを通す「IPv6トンネリングサービス」である。IPv6仮想アクセスでは、ユーザーのPCとIIJの「IPv6仮想アクセスサーバー」をPPTPで結び、その中を経由してIPv6インターネットと接続する。

 PPTPのパケットはIPv4なので、既存のIPv4ネットワークをそのまま利用できる。加えて、PC側はWindows 7およびWindows Vistaに標準搭載のPPTPクライアントを使うため、特別なソフトウェアをインストールする必要もない(図1)。ただし、Windows XPやMac OS Xからは利用できない。PC側は、あくまでWindows 7またはWindows Vistaに限定される。

図1 IPv6仮想アクセスネットワーク

 IPv6仮想アクセスに対応するIIJのサービスは、以下の通りである。

  • IIJダイヤルアップアドバンストサービス
  • IIJモバイルサービス/タイプD
  • IIJモバイルサービス/タイプE
  • IIJ4U
  • IIJmio FiberAccess/DFサービス
  • IIJmio FiberAccess/SFサービス
  • IIJmio FiberAccess/DCサービス
  • IIJmio DSL/DFサービス
  • IIJmio DSL/SFサービス
  • IIJmioモバイルアクセス
  • IIJmioモバイルアクセス/PRO
  • IIJmioモバイルアクセス/3G
  • IIJmioモバイルアクセス/無線LAN
  • IIJmio高速モバイル/EMサービス

 同社の個人向けサービスのすべてと、法人向けサービスの一部(ダイヤルアップ接続・モバイルサービス)に対応している。上記のサービスのユーザーであれば、追加料金や特別な手続きの必要なく、IPv6仮想アクセスを利用できる。

ルーター(NVR500)でIPv6仮想アクセスを使うための設定

 今回も、「現在よくあるIPv4のインターネット接続環境」すなわち「ルーターのNAT機能を使った、IPv4でのインターネット接続環境」からIPv6仮想アクセスを利用してみる。この場合、ルーターには「PPTPパススルー機能」が必須である。この構成の仕組みを図2に示す。また、PPTPパススルーは、機種によっては、「GRE(Generic Routing Encapsulation)パススルー」と呼ばれることもある。

図2 IPv6仮想アクセスの仕組み

 なお、ルーターを使わずにインターネットへ接続している(Windows 7またはWindows Vistaに標準搭載のPPPoEや、ダイヤルアップ機能を利用している)場合は、以下のルーターの設定は必要ないので、次の「Windows 7の設定」へ進んでほしい)。

 今回もルーターには、ヤマハのNVR500を利用する。NVR500にPPTPパススルーを設定する手順は、以下の通りだ。

画面1 NVR500でインターフェイスの設定を始める)

画面2 IPv4静的IPフィルタを登録する

画面3 フィルタを有効に

  1. Webセットアップのトップページから「詳細設定と情報」→「ファイアウォール設定」→「ファイアウォールの設定インターフェイス」と進んで、PP側のIPv4をクリック(画面1)。
  2. 「IPv4静的IPフィルタの一覧」が表示されるので、右上の「追加」ボタンをクリック。
  3. 「IPv4静的IPフィルタの登録」が表示されるので、画面2のように設定する。フィルタ番号は選択できる番号のどれでもよい。「受信先IPアドレス」は、LANのネットワークのIPアドレスを指定する。設定が終わったら、画面下部の「設定の確定」をクリック。
  4. 「IPv4静的IPフィルタの一覧」に戻り、③で追加登録したフィルタが表示される(画面3)。ここで、「入力側に適用」のチェックボックスにチェックを入れて、画面下部の「設定の確定」をクリック。

 これで、NVR500はPPTPをパススルーする。RT58iやRT57iなどのヤマハルーターであれば、設定の手順は同じである。他社のルーターを使っている場合は、マニュアルなどを参照してPPTPパススルー機能を有効にしてほしい。

Windows 7の設定

 それでは、Windows 7にIPv6仮想アクセスの設定を行なう。手順は以下の通りである。

画面4 「新しい接続またはネットワークのセットアップ」をクリック

画面5 VPNの設定は「職場に接続します」から行なう

画面6 VPN設定を選択する

画面7 IIJのサーバーのドメイン名を設定する

画面8 ユーザーIDとパスワードを設定

画面9 接続成功!

画面10 接続失敗時のエラー画面

  1. 「コンピュータ」→「ネットワーク」→「ネットワークと共有センター」と進んで、「新しい接続またはネットワークのセットアップ」をクリックする(画面4)
  2. 「職場に接続します」を選択し、「次へ」をクリックする(画面5)
  3. 「インターネット接続(VPN)を使用します」をクリックする(画面6)
  4. 「インターネットアドレス(I)」にはIIJから指定されたサーバー名を入力し、「接続先の名前(E)」には任意の名前を入力し(例:IIJ IPv6 Virtual Access)、「次へ」をクリックする(画面7)
  5. 「ユーザー名(U)」はIIJから指定されたPPPログイン名を入力し、「パスワード(P)」はPPPパスワードを入力し、「接続」をクリックする(画面8)
  6. 接続に成功すると、「接続されています」と表示される(画面9)
  7. 接続に失敗すると、エラー画面が表示される(画面10)。ちなみに、この画面10は、ルーターの「PPTPパススルーの設定」ができていなかった際に表示されたものである

接続の確認と切断

 接続に成功したら、以下の手順で確認してみよう。

画面11 画面右下のタスクトレイから「ネットワーク」アイコンをクリック

画面12 接続状態を確認する

画面13 切断方法は?

  1. タスクトレイから「ネットワーク」アイコンをクリックする(画面11)
  2. 接続に成功すると、設定時の④で入力した「接続先の名前(ここでは、IIJ IPv6 Virtual Access)」の横に「接続済み」と表示される(画面12)
  3. 「接続済み」の付近をクリックすると、その下に「切断(D)」ボタンが表示される(画面13)。この「切断(D)」ボタンをクリックすると、接続が切断される

 これで、IPv6仮想アクセスの設定は完了している。

IPv6仮想アクセスへ再接続する

 設定ができたら、次回からは次の手順でIPv6仮想アクセスへ再接続する。

画面14 IPv6仮想アクセスへ再接続

画面15 パスワードを入力し、「接続」をクリック

  1. タスクトレイから「ネットワーク」アイコンをクリックする。
  2. 設定時に入力した「接続先の名前(ここでは、IIJ IPv6 Virtual Access)」の下に「接続(C)」ボタンが表示されるので、この「接続(C)」ボタンをクリックする(画面14)
  3. パスワードの入力画面が表示されるので、「接続(C)」ボタンをクリックすればIPv6仮想アクセスサービスへ再接続される(画面15)。ここでパスワードを記憶させることもできる

 なお、IIJのホームページ(http://www.iij.ad.jp)にアクセスすると、IPv6で接続しているのかIPv4で接続しているのか、画面の左上のアイコンでわかるようになっている(画面16)。もしIPv4で接続していれば、ここが「connected via IPv4」というアイコンになる。

画面16 IIJのサイトでIPv6接続を確認する

カテゴリートップへ

この連載の記事