鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第23回
家庭におけるホームシアター実現の難問をまとめて解決!!
初心者に勧めたい!! ソニーの高級AVアンプ「TA-DA5600ES」
2010年12月15日 12時00分更新
高品質なBDソフトだけでなく
圧縮音源の再生などの高音質も万全
本機の魅力はまだまだある。特に大きな新機能が「HD-D.C.S.」。これは、映画館特有の残響を付加し、映画館っぽい音響で映画などを楽しめるモード。昨年モデルで初搭載された機能だが、その残響はハリウッドの映画会社「ソニーピクチャーズ」にあるダビングシアター(映画の音を制作するときに使われる映画館そのままの環境を再現したモニタースタジオ)の音響特性を高精度に測定し、実際に映画の音を制作したエンジニアの意見を反映しながらチューニングされた本格的なもの。
これが、今回の新フィーチャーであるフロントハイチャンネルの追加で、画面方向の高さを再現する「HD-D.C.S. フロントハイ」と、従来の「HD-D.C.S. スタンダード」の2つに増えた。
HD-D.C.S. フロントハイは、フロントハイスピーカーを接続していないと切り換えられないので、自宅の環境では試せなかったが、ソニーの視聴室で聴いたときの印象は、前方の音の高さが全体的に上がり、画面と一致する高さになる。
画面上方から飛来する物体の音もしっかりと高さ感が出て、画面への集中度が増すと感じた。それもそのはず、HD-D.C.S. フロントハイは3D作品との相性も高いという。3D画面は画面自体に立体感や奥行きがあるため、その奥行きや画面内で再現される高さをきちんと前方チャンネルだけで再現できないと、映像と音の一致感が損なわれやすいそうだ。
本機の場合は、サラウンドバックとフロントハイは排他利用ながらも、スピーカー端子は独立して備わっているので、接続だけはそのまましておける。こうしておけば、再生するソースに応じてHD-D.C.S. フロントハイとHD-D.C.S. スタンダードを切り換えて使用できる。
あるいは、サラウンドバックを使わない、フロントハイによる7.1ch再生にしておけば、スピーカーリロケーション with A.P.M.がサラウンドバックチャンネルをファントム生成するので、仮想的に9.1ch再生環境にすることもできる。
部屋の後方にスピーカーを4本置くよりも、テレビの周囲に置くスピーカーを増やす方が現実的には容易かもしれない。これは予算やスピーカー設置のスペースなどに合わせて選択するといいだろう。
地デジなどのAAC音声やDVDソフトのドルビーデジタル音声、MP3などのポータブルオーディオ向けの圧縮音源を高音質で再生する「デジタル・レガート・リニア」も搭載する。
通常こうした機能では、圧縮によって省略されたデータを補間したり、超高域成分の復元などが行なわれるが、デジタル・レガート・リニアはそれらとは発想が異なり、信号の欠落によって生じるノイズの発生や、デジタル臭いと言われる音の原因となるリンギングなどを抑制する技術である。
つまり、なにも足さずに、“悪さ”をする原因だけを取り除くというものだ。これによる効果は音質的な聴きやすさだけでなく、ノイズ低減による音の見通しの良さ、音場感の向上といった効果がある。圧縮音源だけでなく、フィルター特性が現在に比べて劣っていた古い時代のCDの高音質化にも効果があるという。
このほか、同社のスーパーオーディオCD/CDプレーヤーと連携して、信号伝送時のジッターを抑えて高音質化を行なえる「H.A.T.S.」なども備え、音楽再生の高音質機能も万全と、内容はかなり充実している。本機はウォークマン用アダプターにも対応しているので、ホームシアターとしてだけでなく、ウォークマンを接続して手軽に音楽再生を楽しむこともできる。
この連載の記事
-
第42回
AV
PS3/PSP向け3Dディスプレー「CECH-ZED1J」を試してみた -
第41回
AV
ソニーが放つ至高のBDレコ「BDZ-AX2700T」をチェック -
第40回
AV
早速チェック! スカパーHD!内蔵のソニーBDレコ秋モデル -
第39回
AV
スマホ連携&3D対応の「Wooo GP08/XP08」をチェック! -
第38回
AV
ゲーマーのための極上テレビ「REGZA 26ZP2」(後編) -
第37回
AV
ゲーマーのための極上テレビ「REGZA 26ZP2」(前編) -
第36回
AV
密閉型の良さを実感!! クリプトン「KX-3PII」 -
第35回
AV
2台目テレビの本命!? 「フリースタイルAQUOS」 -
第34回
AV
3Dとゲームが凄すぎる!! REGZA「ZG2」&「ZP2」 -
第33回
AV
ソニーBRAVIAの最上位機「HX920」はこんなに凄い!! -
第32回
AV
2D画質極まる!? 東芝「REGZA Z2」の実力に迫る - この連載の一覧へ