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ITベンチャー、シニア、学生、NPO

深化するマイクロソフトの社会貢献活動

2010年12月07日 09時00分更新

文● 遠竹智寿子

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創業時からのビジョンを基にした貢献活動

 マイクロソフトはこれまで「NPO Day」や「Innovation Day」といったNPOやベンチャー企業向けのイベントを実施している。

 同社はハイテク産業では初めて「企業の社会貢献プログラム」を創設した会社で、その歴史は1983年に遡る。日本でも、2002年頃より積極的に、地域活動やNPO支援、ベンチャーや学生の育成活動、障碍者や女性に向けたITスキル支援など、様々なプログラムを設け、取り組んできた。

マイクロソフト初の企業市民活動イベント「Citizenship Day」が開催された

 12月2日に開催された「Citizenship Day 2010」は、学生やシニアも含め、同社の社会市民活動の軸となるそれぞれの「コミュニティー」が一堂に会する初のイベントとして開催された。

 ここでは“クラウド”をテーマに、マイクロソフトの社会市民活動についての様々な側面が語られた。時を経て、IT社会が大きく変化してきたことによって、同社の企業市民活動への考え方や取り組みへの姿勢も変化しているのだろうか。


社会貢献にも“クラウド”を

 マイクロソフト株式会社の樋口泰行 代表執行役社長は、基調講演で以下のように話した。

同社代表執行役社長の樋口泰行氏(左)。スペシャルゲストのアグネス・チャン氏が「いろいろな国の現状を見てきて感じるのは、どんなに過酷な環境でも、人々は繋がりたいと強く思っている。ITが果たすべき役目は大きいと感じている。マイクロソフトの市民活動を応援している」とエールを送った

 「マイクロソフトはこれまで、会社の業績にかかわらず、得意分野であるソフトウェアで社会にお返しをしようと考え、56万人にITスキルを教育したり、インターンシップを提供したりする活動を行なってきた」

 この「ソフトウェア分野で社会に貢献する」という姿勢は、創業当時からのビジョンと同社のミッションに基づく。つまり「すべてのデスクとすべての家庭にコンピュータを普及」させ、「世界中のすべての人々とビジネスの可能性を最大限に引き出すための支援をする」というものだ。

来年、日本法人が25周年を迎えるあたり、社名を日本マイクロソフト株式会社(現・マイクロソフト株式会社)に変更する。「より日本に根付いた会社を目指そうという思いであり、市民活動もその一環です」と樋口氏

 樋口氏によれば「ビル・ゲイツは、これまで何度もハードウェアの分野に参入しようとしたが、その都度、ソフトウェアでやって行こうと思い留まった」という。

 「ソフトウェアは、生活を便利に豊かにし、人々にパワーを与えることができるもの。そして、弱者にとっても大きなツールになりうる」「ネットワークを通じてソフトウェアを利用するクラウドは、離れた人と人とをつなぐ大きな材料になる。クラウドが社会を大きく変えるだろう」

 ソフトウェア会社としての使命を改めて説き、その力をネットを使って最大限に発揮していくことを改めて示した形だ。そして、マイクロソフトがビジネス戦略としても力を入れる“クラウド”を、社会貢献活動や市民活動にも大きく展開して行く姿勢を見せた。

 マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOも以下のように語っている。

 「2010年は、クラウドコンピューティングに向けての総括的な取り組み姿勢を明確にしてきた1年だったが、これは、私たちの市民活動においても重要な意味を持つ。中小企業やNPOには、新たなビジネスチャンスを与え、また、行政機関のより効率的でより敏速な活動を可能にするといったクラウドコンピューティングのメリットを活かすためにも、安全でオープンなクラウドが必要とされている。私たちは、そのために大きく投資をしている」

 これは米国本社の「2010 Citizenship Report」の中で送ったメッセージを引用したものだ。

 樋口氏は最後に「来年、マイクロソフトも日本で25周年を迎えることになり、これを機に社名を日本マイクロソフト株式会社に変更する。日本のお客様に、日本の社会に貢献できる、そんな会社を目指している」と講演を締めくくった。

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