世界各国から集まったスタッフの個性やカルチャーを尊重
さて、このようなオフィスの雰囲気を見て「羨ましい」と思う人もいれば、一般的な日本の企業と比べて「仕事の環境としては緩すぎるのでは?」と感じる人もいるだろう。
誤解のないように伝えておきたのだが、確かにゆったりとした空気ではあるが、誰もが自分のタスクに集中していて、ミーティングをしている部屋以外は話し声が聞こえてくる事はほとんどない。ランチ時間は、最上階にある社員食堂に集まり、30分程度で食事を済ませた後はすぐにオフィスに戻り、仕事を再開する。とてもメリハリが利いている印象を受けた。
Opera本社では、世界50ヵ国から集まった300名程のスタッフが働いており、社内で飛び交う言語は英語が中心となる。
「Operaは、本当の意味での“インターナショナル企業”でありたいと願っています」と語るのは、人事マネージャーのクリップ・ドゥッタ(Kripanjali Hazarika)氏だ。ドゥッタ氏もまた、Operaのリクルートを受けて6年前にインドからノルウェーにやってきた一人だ。
仕事部屋を、それぞれの好みのデザインや飾りをしていることについて尋ねると、「世界各国から集まった社員一人ひとりの個性や、その国のカルチャーを尊重しているからです。シェアしているお互いが気持ちよく過ごせることが条件ですが、部屋の装飾は各スタッフたちに任せています。最高にハッピーな環境で、リラックスして仕事に集中して欲しいからです」
ドゥッタ氏によれば、ポーランドにあるオフィスは、エンジニアが多く、そこはまるで一軒の家のような造りになっていて、靴を脱いで入るそうだ。
デイケア、仮眠室、フィットネスルームなど福利厚生施設も
世界中から人材をどう探し出すか
Opera Softwareの採用方針に関して、ドゥッタ氏は以下のように話す。
「ヘッドハンターなどは使わずに、独自のリソースを使って募集をかけています。経歴や経験、信用性、アカデミック、キャリア、チャレンジ精神といったものがトータルに判断されます。推薦には重きを置きますが、それぞれ(の性格)が異なるのは当たり前と考えているため、心理テストは行いません。電話や対面での面談を何度も行い、同僚と尊重し合い関係を保てる人柄かなども含めて最終決定をします。ただ仕事ができればいいと会社に所属した後に、相性が合わなかったと気付いても、両者にとってアンハッピーな結果を招くだけですから」
「性別やどの国の出身かなども全く関係ありません。人事担当者の間では、たとえ“月からの応募”であっても、Operaが求める人材ならば“就労ビザを出す”よね!と、冗談交じりに言っているんです」
50ヵ国もの異なる文化を持った社員が協業するには、お互いへの敬意と信頼関係がとても重要になる。同社では、インターンシッププログラムや入社時のトレーニングといった社内プログラムをいくつか用意している。