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産総研、専門知識なしで人間型ロボットの動作が組めるソフト「Choreonoid」開発

歌って踊れるようになった女性型ロボット「HRP-4C」

2010年10月20日 17時00分更新

文● 森山和道

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 10月16日、独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)知能システム研究部門ヒューマノイド研究グループの中岡慎一郎研究員らは、専門知識がなくても、CGキャラクターを操る感覚で人型ロボットに振り付けできる統合ソフトウェア「Choreonoid(コレオノイド)」を開発したと発表した。

 「Choreonoid」は人間型ロボットの動作を簡単に作ることができるソフトウェア。ユーザーが入力した「キーポーズ」と呼ばれる、ある時刻におけるロボットの位置と姿勢を切り出した動作姿勢を力学的に安定する動作へ自動変換することができる。この機能によって、特にCGキャラクターの動作作りの感覚で、全身動作を作れることがポイント。

 日本科学未来館で開催された「デジタルコンテンツEXPO2010」では、10月16、17日に、このソフトウェアを使ったデモンストレーションが公開された。

 東京大学 IRT研究機構特任研究員の石川勝氏と、ダンスクリエイター/ダンサーとして知られるSAM氏のプロデュースによるもので、「未夢フレンズ」と呼ばれる人間のダンサー4人と女性型ロボット「HRP-4C」が一緒に歌って踊った。

 産総研では、このソフトウェアによって誰でも簡単に振り付けができるようになることから、人間型ロボットを用いた新たなコンテンツ産業の創出に期待できるとしている。

 まずデモ動画をご覧いただきたい。デモの歌はヤマハと産業技術総合研究所、エイベックスの協力によって、ヤマハが開発した歌声合成システム「VOCALOID(のCV4Cβ)」及びヤマハと産業技術総合研究所が開発した歌声合成パラメータ推定技術「Netぼかりす」を使った持田香織さん(Every Little Thing)の歌マネである。デモ前には持田さんからのビデオメッセージも紹介された。

 SAM氏はボーカル担当のアイドルの女の子とダンサーという形でロボットと人間の役割を分担し、相互に補わせる形にしたと振り付けのコンセプトを解説した。今回は「HRP-4C」にできる動き限定ということで、ステップは基本的にサイドステップのみで、ボックスそのほかダンス特有の足をクロスさせる動きなどはなく、単純なもののみとなっている。

ロボットの振り付けを行ったダンサー、ダンスクリエイターのSAM氏

「Choreonoid」を開発した産総研 知能システム研究部門ヒューマノイド研究グループの中岡慎一郎氏

 そのいっぽうで、腰や上半身の動かし方はこれまでのヒューマノイドの動きに比べるとかなり大きく、ダイナミックな動きに挑戦しており、振り付けのSAM氏と、実際にロボットに振り付けした中岡氏の苦心が伺えるデモンストレーションとなっていた。

 なお、今回のデモでの顔の動きは「CEATEC2010」で公開された「HRP-4C」のデモとは異なり、産総研の「VocaWatcher(ぼかうお)」は使われていない。

「HRP-4C」のウィッグは今回のデモのために新調したとのこと

 今後のロボットへの要望として、SAM氏は「ロボットにもっとスピードが欲しい。スピードがあれば10倍くらいよくなる。あとは4体くらい同じロボットが揃えられればそれはそれでまた面白い可能性がある」と述べた。

 また石川氏は今回の試みを通してロボット側にリアリティを持たせるためにどんな振り付けをすればいいかなどといった観点で、新たな発見があったと語った。なお人間のダンサーと「HRP-4C」を組み合わせた練習回数は2回とのこと。

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