薄型ボディながらも光学15倍ズームレンズを内蔵
F300EXRは「ツインシフトレンズ」と呼ばれる構造を用いて、ボディ内において光軸から光学系を2つをずらして収納する。それによって光学15倍という高倍率ズームレンズながらボディ最薄部22.9mmというコンパクトなボディサイズを達成している。
画角は24~360mm相当(35mmフィルム換算)。広角側が24mm相当というワイドな画角は、レンズ交換のできないコンパクトデジカメでは大変有意義である。しかし、ワイド側でのマクロ撮影時で最短約5cm~(レンズ先端より)というスペックにはいささか物足りなさを感じた。せめて半分程度の2cmか3cmまでにはできないものなのだろうかと思う。
FinePixシリーズでは一部の機種(HS10など)のみに「スーパーマクロモード」と銘打ち1~2cm程度まで接写できる機種がある。しかし、そのほかの機種では5cm~9cm程度にとどまっており、あまりマクロ性能には執着心がないように感じる。もっともF300EXRの場合、望遠側が360mm相当と超望遠レンズをコンパクトなボディに押し込んでいるので仕方のないところかもしれない。
搭載されているCCDハニカムEXRはZ800EXRに搭載されているものと共通の1/2型有効1200万画素のもの。標準出力感度はISO 100~12800までとなり、Z800EXRよりも高感度側の設定が増えている。ISO 100~ISO 1600までは最高解像度を選択できるが、ISO 3200ではMサイズ(4:3、6M相当)、ISO 6400以上ではSサイズ(4:3、3M相当)と解像度は小さくなっていく。
感度別撮影サンプル(昼間)
感度別撮影サンプル(夜)
昼間、夜ともISO 800までは問題なく十分に実用範囲。しかし、ISO 1600では十分光量のある昼間でさえ微妙になってくる。あまり拡大したりトリミングをしないのであれば使えるといった印象。それ以上の感度では、できれば緊急用と割り切った使い方がいいのではないかと思う。
ただし、これはモニター上で確認した場合の印象で、富士フイルム製デジカメの画像はプリントすると印象が異なる場合があるので、ミニラボシステム(フロンティアなど)のLサイズプリントなどをメインに出力しているユーザーだと印象は違ったものになるかもしれない。