PowerPoint Web App
「PowerPoint Web App」では、新規に作成するスライドなら図やSmartArtを挿入できるが、なぜか既存のスライドには挿入できない。
納得がいかないのは、あらかじめPowerPoint 2010上でSmartArtを挿入した部分に対しては、PowerPoint Web AppでもSmartArtのデザインを変更できることだ。デザインが変更できるなら挿入ができてもいいように思える。このように、条件によって動作したりしなかったりというのは、ユーザーにとっては非常にわかりにくい。
一方、PowerPoint Web Appのメリットとしては、ウェブブラウザー上でPowerPointのスライドショーが行なえる点だ。PowerPointがインストールされていないパソコンでも、PowerPoint Web Appを使えばプレゼンテーションができる。とは言っても、PowerPoint 2010のGPUを使った画面切り替えなどは利用できない。
OneNote Web App
デジタルノート作成ソフト「OneNote 2010」のウェブ版である「OneNote Web App」は、OneNote 2010と連係して動作することを前提にしたアプリである。OneNote 2010には、OneNote Web Appと自動でデータを同期させる機能が用意されていて、OneNote 2010で作成したノートを随時Web App側でも閲覧・編集できる。ある意味、人気のドキュメント管理サービス「Evernote」のような機能を実現しているわけだ。
ただしOneNote Web Appでは、作成したノートへのムービーやオーディオなどの埋め込みはサポートされていない。さらに、描画機能、画面の取り込みなどもサポートされない。
驚いたのは、Office Web Apps側では当初、新規のノートを作成できない点だ。一度はOneNote 2010で作成したデータをSkyDriveにアップロードしないと、新規作成のメニューに「OneNoteノートブック」が出てこないのだ。これについては、なぜそんな仕様にしたのか、理由が皆目わからない。
Office Web Appsの本質は
Office 2010を基盤としたコラボレーションツールか
実際にOffice Web Appsを使ってみると、Office Web Appsはこれだけで「Office 2010の代わりになる」サービスではないことがわかる。Office Web Appsの編集機能はある意味、ちょっとした修正をする程度のものだ。Office Web Appsだけを使って、綺麗な文書やプレゼンテーションを作成するのは至難の業。そんなことに時間を費やすのなら、Office 2010を買ってそちらで作った方が、結局は短時間で作れて成果物の出来もいいだろう。
こう言ってしまうと、Office Web Appsが使いものにならないサービスのように聞こえるかもしれない。だがこれは、Office Web Appsのコンセプトが「Office 2010を補完するウェブサービス」というコンセプトで作られているからだ。
ワークシートやプレゼンテーションのデータはOffice 2010上で作り、それをOffice Web Appsで共有して、複数のユーザーがオンライン上で、参照したり編集したり、コメントを付けたりする。こうしたウェブベースの共同作業ツールとして、Office Web Appsというサービスは存在するのだろう。
マイクロソフトにとっては、本物の「ウェブ版Office」を開発しようという考えはなかったのかもしれない。Office 2010の売り上げを阻害しかねないウェブサービスを、無償で提供するようなことはできないといった、ビジネス戦略上の判断があったのだろう。
マイクロソフトは将来的に、Office Web Appsの機能強化を計画している。しかし、クライアントソフトとしての有償のOfficeスイートがある限り、ウェブ版のOffice Web AppsがOfficeのすべての機能を実装することはなさそうに思える。「Software+Service」というコンセプトにもあるとおり、パソコンにインストールするOfficeスイートと、クラウド上のOffice Web Appsを融合させて、今後のOfficeも進化していくことだろう。
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