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ロボットで情報科学に興味を持つ女性を増やそう

女子高生がロボット演劇に挑戦「津田塾大 夏の合宿2010」

2010年08月12日 12時00分更新

文● 森山和道

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参加した高校生たちお手製の工作で飾り付けられたPaPeRo

 この「夏の合宿」ではLEGO社の教材「WeDo」とMITで開発された「Scratch」を使ってコンピューター制御の電子おもちゃを作ったり、楽器づくりを通じて音階の成り立ちと数学の関係を調べる実習などが行なわれた。

 我々はそのうちのひとつ、NECのコミュニケーションロボット「PaPeRo(パペロ)」と制御ソフトウェア兼、コラボ・ウェブツールである「ぱぺろっち!」(詳細後述)を教材にした実習を主に取材させてもらった。

 「PaPeRo」を使った実習はワークショップ形式で行なわれる。学生たちはくじ引きで特定のシチュエーションを与えられ、実際に「PaPeRo」を簡易プログラミングで動かしながらロボットの制御を体験し、かつ、ちょっと未来のパーソナルロボットがある時代を想像してもらうことを目的としている。

 PaPeRoを個々人が思い思いにディスプレイすることも特徴だ。PaPeRoを飾りつけることで、考えるシナリオがより豊かになる効果もある。


女子高生たちが「ぱぺろっち!」でプログラム制作

 実習の指導は、津田塾大学女性研究者支援センター特任講師の杉浦学氏のほか、NEC C&Cイノベーション研究所の植村弘洋氏、加藤大志氏が務めた。受講者たちは2人あるいは3人のグループに分かれ、それぞれに津田塾大学の学生たちがアシスタントとしてついて助言や手助けをする形式だ。

 各グループにはPaPeRoが1台、そして制御用のPCが2台割り振られるので、分業作業も行なえる。参加者の女子高生たちは全国各地から集まってきたため、知り合って間もない。共同作業の進め方を学ぶことも実習の目的のひとつなのだ。

実習の指導を担当した津田塾大学女性研究者支援センター特任講師の杉浦学氏

NEC C&Cイノベーション研究所の植村弘洋氏(左)、加藤大志氏(右)

 演習は3部に分かれており、PaPeRoのツボことセンサーを探してマークすることでまずはロボット本体の仕組みを学び、このあとに使う「ぱぺろっち!」ウェブからプログラムをダウンロードする方法を覚える第1部、指定された動作や感情表現など簡単なプログラムモジュールを作って「ぱぺろっち!」をウェブ上に投稿する第2部。

 そして最終的にシナリオを考え、PaPeRoを交えた即興劇に仕立てて発表する第3部からなる。ほとんどの参加者がPaPeRoを見たのは初めてだ。

 ここでPaPeRoについても簡単に説明しておこう。PaPeRoとはNECが開発を続けているコミュニケーション・ロボットで、車輪で移動し、喋るほか、耳や口、頬の部分を光らせることができる。頭やボディにはタッチセンサーがあり、人から触られることでリアクションを返すことができる。

 今回の合宿ではそれらの機能を使い、ちょっとした寸劇を考えることで、ロボットの存在する未来の生活を想像すると同時に、ロボットのプログラミングを体験するというのが実習の内容だ。

 PaPeRoのプログラムを行なうことのできる「ぱぺろっち!」とは、NECがリリースしたときの表現を借りると「ロボットシナリオの共創Webサイト」である。PaPeRoをインターネット経由で共有し、動作を遠隔で編集・実行し、その動作の様子を複数の人が同時に観察することができる。

 そしてその動作を編集するツールが「ぱぺろっち!Tool」だ。こちらはMITメディアラボで開発されたScratchをベースに開発されたツールで、PaPeRoの動きをブロックを組み合わせてプルダウンメニューから選択していくだけで動作プログラムが組める。

ロボットを使った演劇共創サイト「ぱぺろっち!」

 今回の実習を通じて作られたシナリオ・動作も、「ぱぺろっち!」にアップロードされており、ほかの人が使うことも可能だ。なお現在ではこのような実習に参加した人しかログインできないが、将来的には広く公開していく予定だという。

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