8月6~8日の3日間、津田塾大学にて女子高校生を対象にした「夏の合宿2010」が行なわれた。
これは津田塾大学の学生や卒業生との交流のほか、メディア技術や情報テクノロジーへの興味関心を喚起することを目的としたイベント。
主催は津田塾大学女性研究者支援センター。文部科学省平成20年度科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」事業のひとつとして実施されたもので、アップルジャパン、NEC C&Cイノベーション研究所、株式会社ラーニングシステムも協力している。参加者は全国から応募し抽選で当選した32人で、倍率はおおよそ2倍だったという。
津田塾大学女性研究者支援センター・プロジェクトリーダーの来住伸子(きし・のぶこ)氏は、この合宿の目的について「テクノロジー分野への若い女性の関心を深めることが大事だ」と語る。
OECD加盟国の先進国のなかで日本は研究者に占める女性の割合が最低であり、その育成に国も力を入れ始めている。
だが生物医学系分野では女性の活躍も増えてきたものの、工学系分野では女性の姿そ のものが少ないのが現状だ。女性と男性とで興味の持ち方に違いがあるのだろうか。もし違いがあるのであれば、アプローチ方法も変えたほうがいいかもしれない。
「男性には単純に『テクノロジーってかっこいい』と思える人が多いですよね。仕組みに興味を持つ人も多いです。ですが女性には一般的に、どう使うか、どう役に立つかを考える人が多いので、工学や技術がどのように使えるのか、どう使えばいいのかということに、まず興味を持ってもらえることが重要です」(来住氏)。
これは女性と男性というよりは、いわゆる「理系」と「文系」の違いでもある。来住氏は「『自分は文系に行くしかない』と思いこんでいる高校生に、『なんだソフトウェア作りってこんなものなのか』というふうに考えてもらうことが、まずは大事だと考えています。数学や物理が嫌いでも何とかなると思ってほしいですね」と続けた。
そのため合宿では「自ら作る」「考えを形にする」ことを体験できる実習によって、情報技術による「ものづくり」の楽しさや数学の面白さを体感するプログラムが組まれている。