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ユーザーの心を動かすWebコンテンツ設計の秘訣 (3/3)

2010年06月25日 16時05分更新

文●小池 勉/コンテンツブレイン

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興味を呼び起こして少ない情報でもイメージを膨らませる

 フォローコンテンツを用意するときに注意したいのは、「ユーザーをある方向に向けて強制的に誘導することが目的ではない」ということです。あくまでもユーザーが「自発的に動く」ことが前提なので、自発的に動くためのきっかけとなる刺激リアクションを起こしたときに辿るであろう道筋を用意しておきましょう。ネットではサイトが用意したページしかユーザーはアクセスできないので、「この情報を知りたい」と思ってアクセスしたのに、該当するページがなければユーザーは不満を感じてしまいます。

 リアクション喚起は、企業の想定した方向とは逆にユーザーを動かすこともあります。刺激した結果、「これは自分には関係ないことだ」とユーザーに判断される結果を招くケースもありえます。しかし、それはそれでOK。関係のないユーザーをいくら説得しようとしても、結局は同じ判断をされることでしょう。それでも何割かのユーザーが積極的に自社の商品について興味を持ってくれたら成功といえます(もちろん、アクセスした全員が「自分には関係ない」と思うようなことは問題外です)。

 だからこそ、ユーザーの自発的な動き(リアクション)を想定したサイトの情報設計が大事なのです。リアクションを想定した情報設計なら、ユーザーが「自分の興味の赴くまま(=リアクションしながら)アクセスしていっても大丈夫」なサイトができあがります。

 いま「興味の赴くまま」といいましたが、インターネットでは特に、「興味を引き出すこと」が非常に重要です。ネットの世界に「リアル(現実)なもの」は何もありません。商品写真をどんなにキレイに撮ったとしても、実際に手に取れる実店舗とは違います。ですから、サイトの情報を見ることから「どれだけのことをイメージしてもらえるか」が大切なのです。

 商品の魅力をわかってもらおうと細部まで克明に解説する人がいますが、いくら解説を聞いたからといって「その商品が欲しい」と思うとは限りません。むしろ情報過多のために嫌がられることだって考えられます。詳細な解説よりざっくりとした感想のほうが効果的なこともあるでしょう。みなさんも友人から「新しいもの買ったんだけど、あれ、よかったよ」という話を聞かされて、欲しくなったことはありませんか? 実物を見せられたわけでもないのに、ですよ。iPhoneなどはいい例です。商品が欲しくなった、ということは結局、あなたがリアクションを喚起させられたということなのです。

 そういった意味では、サイトマスターは友達や知人に語りかけるつもりで、情報の伝え方を考えるといいでしょう。

 冒頭で話したように、リアル社会で人が当たり前にやっているコミュニケーションを、ネットで実現するのは難しいことです。壁にぶつかったときは、初心に立ち返って友達や知人に対してどういったコミュニケーションを取っているか、自分が取られているかを思い出してみて、ネットで実現するにはどうすればいいかを考えてみるのもひとつの手です。


今回の法則:「情報設計」の法則

『リアクションを喚起すると、「見えない顧客」の動きが見える』


 次回は、サイトの情報設計におけるストーリーの作り方について解説します。


著者:小池 勉(こいけ・つとむ)

株式会社コンテンツブレイン 代表取締役社長、株式会社サステナブル 代表取締役。Webマーケティングプランナー。家電、自動車からアパレル、食品、ブライダル、クレジットカード、PCメーカー、部品メーカーまでさまざまなジャンルのサイトプランニングを数多く手掛ける。またWebにおけるCRM戦略の立案、アイトラッキングを活用したWebコミュニケーション効率化なども行なっている。


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