低価格ロードバランサーでシェア拡大を目指す
F5名指し!仁義なきロードバランサー戦争が見えた
2010年06月11日 09時00分更新
いまロードバランサーの市場が熱い。各社ともF5ネットワークを名指しにし、価格や性能面をアピールし、追い落としを図っている。会場ではF5はもちろん、A10ネットワークやセイコープレシジョン、ブロケードなどが製品を披露していた。
横綱F5は仮想アプライアンスを披露
サーバーの負荷分散を行なうロードバランサーの市場といえば、これまで豊富な機能と実績を誇るF5ネットワークスの「BIG-IP」シリーズが横綱であった。総合力で敵なしのシスコを除けば、各社ともなかなか同社の独走を止められなかったという状況だ。
BIG-IPは高機能化するにつれ、単なるロードバランサーからADC(Application Delivery Controller)というアプリケーショントラフィック管理装置に進化。携帯電話やIPv6への対応も進み、今では帯域制御やWAN高速化やWAFなどセキュリティ機能までも取り込んでいる。製品もどんどんキャリアグレードにアップグレードされていき、先日発表された「BIG-IP 11050」は42Gbps、「BIG-IP 8950」は20Gbpsのスループットを誇る。今年のInterop Tokyo 2010では、発表されたばかりのBIG-IP 10.2や仮想化アプライアンスも披露した。
セカンドチョイスを目指すベンダーたち
その一方で、BIG-IPのようなリッチなADCより、シンプルで低価格なロードバランサーを求める声もある。これに対してはパイオリンク、バラクーダネットワークス、ケンプテクノロジーズなど多くのベンダーが市場に次々と参入。F5のBIG-IPの置き換えを狙っている。こうした低価格ロードバランサーのベンダーは、製品価格だけでなく、保守経費の削減をアピールする。経済状況の悪化で、システム構築においてもコスト削減が求められたことも追い風となりつつある。
昨年のInteropで本格的に国内参入したA10ネットワークスは、ハイパーバイザ上で動作する「SoftAX」、SoftAXを動作させる専用アプライアンスの「AX-V」、複数のAXアプライアンスをクラスタ化する「AXバーチャルシャーシ」、単一のアプライアンスを仮想的に分割する「AXバーチャリゼーション」という4つの仮想化形態を、実機で披露した。
このうち一番理解されにくいのが、SoftAXを動作させる専用アプライアンスである「AX-V」だという。汎用サーバーで動作するSoftAXに比べ、スペックが保証されているのが大きな売りだ。一方で、SoftAXはすでにクラウド系のプロバイダで利用されている実績もあるという。国内参入してほぼ1年経ったが、NEC、MKI、ユニアデックス、CTCのような手練れなパートナーがいることも手伝い、業績はきわめて好調だという。
また、今年はセイコープレシジョンが「NetWiser」という新ブランドを冠して、ロードバランサー事業を再スタートさせているのも注目だ。Interop Tokyo 2010では、6月1日に発表されたばかりの新機種「SX-3750 LB」もお披露目されている。
セイコープレシジョンは、タイムサーバーやマルチプロトコルコンバータのほか、SSLアクセラレーターを2002年から展開していた。2006年にロードバランサー機能を追加し、その後はSXシリーズとして製品を展開してきたが、基本的には直販で、ビジネス規模も小さかった。そこで6月からはNetwiserブランドで一気に知名度を上げることにしたという。直販もやめ、秋口からすべて代理店経由の間接販売に切り替えるという。
10月に出荷されるSX-3750 LBは、2.5Gbpsのスループットを誇るロードバランサーで、冗長構成で324万円という価格を実現する。10ポートのスイッチングハブを内蔵し、SSLアクセラレータをオプションとして用意している。日本語のWeb GUIが大きな売りで、コマンドラインと完全に同一の操作がWeb GUIでも行なえるという。実際に会場でサーバーの追加を見せてもらったが、初心者でもわかりやすく仕上がっていた。
製品はファームウェアやハードウェアまで含めて、すべて自社生産。実サーバーのログをロードバランサーが収集してSyslogに送る機能や、実サーバーよりも少ない稼働サーバーを定義し、残りをバックアップサーバーに回す機能など、ユーザーの要望で取り入れた機能もあるという。
その他、ブロケード・コミュニケーションズ・システムズも新製品を披露した。ファウンドリー時代からの製品で、高速なスイッチベースの製品としては実績も高い。特にパフォーマンスを重視するユーザーは選択肢に入るだろう。
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