このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

ゼロから分かる東京都青少年健全育成条例改正問題 第1回

非実在青少年は、なぜ問題なのか?

2010年06月10日 09時00分更新

文● 高橋暁子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

4.年表

 最後に、今回の都条例改正に関しての経緯を簡単な年表にしてみた。

2008年

12月24日 第28期東京都青少年問題協議会第一回総会開催


2009年

11月24日 「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について 答申(素案)」公開

11月26日~12月10日 答申素案に対するパブリックコメント募集。「『第28期東京都青少年問題協議会答申素案及び都民意見の募集について』の結果概要」によると、パブコメは1581通寄せられた

12月10日 日本書籍出版協会、日本雑誌協会連名で「第28期東京都青少年問題協議会答申素案『メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について』への意見」公開


2010年

1月14日 「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について 答申」が出される

2月24日 「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」が都議会に提出される

3月10日 全国同人誌即売会連絡会「『東京都青少年健全育成条例』の改定案について」公表

3月12日 東京都地域婦人団体連盟(東京地婦連)、東京大学大学院 教授 長谷部恭男氏、ネット教育アナリストの尾花紀子氏、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)、ECネットワーク、電気通信事業者協会(TCA)、テレコムサービス協会(テレサ協)、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)、CANVASが条例改正案に対し反対表明

3月12日 日本出版労働連合会「東京都の青少年健全育成条例の改訂に反対する要請」公開/ネットビジネスイノベーション研究コンソーシアム「『東京都青少年の健全な育成に関する条例』の改正に関する反対意見」公開

3月15日 東京都議会内で、藤本由香里(明治大学准教授)、ちばてつや、永井豪、竹宮惠子、里中満智子、山口貴士(弁護士)、日本マンガ学会会長呉智英(評論家)等、漫画家と弁護士など専門家らが改正案に反対する記者会見を開く/楽天が反対意見表明

3月15日の記者会見はUSTREAMでの中継も行なわれた。アーカイブはこちら→http://www.ustream.tv/recorded/5465844

3月16日 京都精華大学、国際マンガ研究センターがそれぞれ反対表明

3月17日 日本図書館協会、日本アニメーター・演出家協会、出版倫理協議会、白泉社が反対表明/「東京都青少年健全育成条例改正案について」とされる、都議会で審議中の東京都青少年健全育成条例改正案に係る様々な指摘に対する都の見解が出される

3月18日 日本ペンクラブ反対表明/改正案が都議会総務委で審議。19日に同委で採決、30日に本会議で採決が行なわれる予定とされた

3月19日 都議会総務委員会で継続審議が決定。最大会派の民主党などが「議論が十分ではない」と継続審議を求め、改正案に賛成する自民・公明も同意、改正案は6月の定例議会に先送りとなった/大阪府の橋下徹知事、東京都青少年健全育成条例の動きを受け、府でも同様の対応を検討する考えを明らかに

3月30日 都議会本会議での採決により、継続審議を全会一致で可決

4月16日 子供に対する強姦シーン等を描いた漫画を子供に見せない・売らないための条例改正とする「東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案のポイント」が出された

4月26日 青少年健全育成条例の改正案について掲載されている「都への提言、要望等の状況」月例報告(3月分)発表。都青少年健全育成条例に関することは1153件/東京都青少年健全育成条例改正案のうち特に問い合わせが多かった子供に対する強姦シーン等を描いた漫画などを子供に売らない取組について、『「東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集」の作成について』という質問回答集公開

4月26日 大阪府は、大阪府青少年健全育成条例第13条第1項の規定により、ボーイズラブ(BL)を扱った漫画が掲載された8雑誌を含む計11誌を有害図書に指定し、18歳未満への販売や閲覧を禁止することを決定

4月27日 東京都青少年の健全な育成に関する条例新旧対照表公開

5月25日 東京都議会民主党は東京都青少年健全育成条例改正案に反対する方針を決定

6月の定例議会で再審議の予定


 以上、駆け足となってしまったが、東京都青少年健全育成条例の論点をひととおり紹介できたと思う。デジタル化とブロードバンド化によって一億総クリエイター時代とも言われる昨今、今回の盛り上がりは表現を考える上で貴重な機会だといえるのではないだろうか。

 次回は、『非実在青少年読本』を緊急出版した徳間書店の「COMICリュウ」編集長 大野修一氏に、出版社という当事者の立場から条例改正案についてお話を伺う。


前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ