このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第48回

NVIDIAチップセットの歴史 その3

nForce 700派生品が主流のAMD向けNVIDIAチップセット

2010年04月19日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
NVIDIAのAMD向けチップセットロードマップ

NVIDIAのAMD向けチップセットロードマップ

ウルトラハイエンドの「Quad FX」に対応すべく、
サーバー向けチップセットを流用

 NVIDIAチップセット編の第3回は、nForce 500以降のAMD向けチップセットロードマップに関してまとめてみたいと思う。

 まず、2006年12月に「nForce 680a SLI」がリリースされるが、これは別格というか、特別扱いの製品である。連載の44回で軽く触れたが、AMDが同年に「Quad FX」プラットフォームを発表し、これに合わせて言わばでっち上げた製品が、このnForce 680a SLIである。

Quad FXに対応するマザーボードの例

nForce 680a SLIを搭載し、Quad FXに対応するマザーボードの例

 中身はというと、連載の45回でOpteron向け製品として紹介した「nForce Professional 2200 MCP+2050 IOC」そのものである。ただし、nForce Professional 2200/2050の場合は図1のような構成で使うのが前提だったが、nForce 680a SLIは図2のような無茶な構成となっている。

図1

図1 nForce Professional 2000のシステム構成

図2

図2 nForce 680a SLIのシステム構成

 これは、1プロセッサー構成でも両方のチップセットが動作するように、という配慮のためであるが、逆に2プロセッサー構成にすると、片方のプロセッサーにI/O負荷が集中するといったデメリットもあった。

 もっとも、SLIの構成を考えた場合、2つのPCI Express(PCIe) x16レーンが別々のCPUにつながるという構造では、GPU同士の通信の間にCPU間通信が入って遅延が生じる。しかし、この構成ならばGPU間に入るCPUがひとつで済むので、パフォーマンスの観点でもむしろ好ましいといえるかもしれない。

 だがこの構成は、CPUからHyperTransport Linkが3本出るAthlon 64 FXだからこそ許される構成で、通常のAthlon 64系列では真似できない。また、この構造を無理やりATXマザーボードに押し込んだために無茶な構成になったという話は、連載44回でも述べたとおりだ。結局、主要なマザーボードベンダーはとりあえずハイエンド向けに1製品ずつラインナップはしたものの、そこで打ち止めとなってしまう。


HDMI対応のマイナーチェンジ GeForce 7050PV/7025

GeForce 7050PV搭載マザーボードの例

GeForce 7050PV搭載マザーボードの例

 これとは別に、2007年に投入されたのが「GeForce 7050PV」「GeForce 7025」である。前回で触れた「GeForce 6150SE+nForce430」と同様に、名称だけなら2チップ構成のように見えるが、実体は1チップの構成である。

 さてこのGeForce 7050PV/7025。中身は「nForce 6150LE/SE」シリーズのマイナーチェンジである。統合されるGPUは、NV44(GeForce 6200 TC)コアをベースにパイプラインを半減させたもので、動作周波数も425MHzだからGeForce 6150LEと差はない。

 「では違いは?」というと、HDMI出力の内蔵とHDCPへの対応、PCIeレーンの増加(2×1→3×1)、パラレルATAを1チャンネルに減らしたといったあたり。3D描画性能に違いはない。細かいところでは、GeForce 7050PV/7025ではSocket AM2のみがサポートとされ、Socket 939はサポートされなくなった。これは技術的にどうこうという話ではなく、単にAMDのCPU製品ラインナップが切り替わったから、それにあわせただけだろう。

 ちなみに7050PVと7025の違いは、動画再生支援機能「NVIDIA PureVideo」のサポートと、テレビエンコーダーやHDMI対応の有無というあたりになる。また動画のスケーリングが、7050PVは「5x4スケーリング」をサポートするが、7025は「2x2スケーリング」だけとされている。

 「GeForce 7000シリーズはこの2製品で終りか」と思ったら、2年近く後になって、両者の中間にあたる「GeForce 7050+nForce 630a」なる製品も登場した。NVIDIAは公式にはアナウンスしていないが、GeForce 7025のHDMIを有効にさせたという製品のようだ。

 2007年当時はまだ、HDMIは製品が出始めたばかりの規格だったが、2009年にもなると「HDMI未サポート」では製品スペック上ちょっと見劣りするため、これをカバーしたものと思われる(デジタル入力がHDMIのみ、なんて液晶ディスプレーも登場している以上、仕方がないだろう)。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン